訪日外国人観光客が年々増加する中、呼び込むための海外プロモーションは無視できなくなりました。国内向けにPRするだけでも難しいと言われる中、海外にはどうやってプロモーションを行えば良いのでしょうか?この記事ではその手法と成功事例を紹介します。
海外プロモーションとは?
プロモーションとは、商品サービスを知ってもらったり、ブランディングをすることなどによって購買意欲を高める手法のことです。そのため、広告や宣伝だけでなく、無料サンプルやキャンペーンなどもプロモーションに含まれます。決して思い付きや当てずっぽうではなく、目的から逆算した戦略を定期的に遂行する必要があります。
国内のプロモーションは、マーケティングにより選定したターゲットに直接情報を届ける工夫だけで済みますが、海外プロモーションの場合は現地の公的機関や事業所などを経由して行う必要がありました。
しかし、現在ではインターネットの普及により、直接海外へ情報発信しやすくなっています。多くの企業や自治体、観光地などが海外プロモーションに力を入れています。
海外プロモーションが必要な理由
海外へのプロモーションが必要な理由は、インバウンド需要が高まっているからです。具体的には海外からの観光客数の増加したこと、日本の商品が外国で売れることが増えたことなどが挙げられます。
海外からの観光客増加
日本政府観光局(2019年10月発表)によると、訪日外国人の数は右肩上がりに飛躍しています。2003年には500万人だった訪日外国人の数は、2018年は3,000万人を突破し、たった15年で一気に6倍以上の人数となっています。
一大マーケットとして広がったインバウンド需要を巻き取るため、海外プロモーションが必須となっているのです。
訪日外国人の人数(単位:人) | 前年比伸び率 | |
2018年 | 31,191,856 | 8.7% |
2017年 | 28,691,073 | 19.3% |
2016年 | 24,039,700 | 21.8% |
2015年 | 19,737,409 | 47.1% |
2014年 | 13,413,467 | 29.4% |
2013年 | 10,363,904 | 24.0% |
2012年 | 8,358,105 | 34.4% |
2011年 | 6,218,752 | -27.8% |
2010年 | 8,611,175 | 26.8% |
2009年 | 6,789,658 | -18.7% |
2008年 | 8,350,835 | 0.0% |
2007年 | 8,346,969 | 13.8% |
2006年 | 7,334,077 | 9.0% |
2005年 | 6,727,926 | 9.6% |
2004年 | 6,137,905 | 17.8% |
2003年 | 5,211,725 | -0.5% |
※日本政府観光局 (JNTO) を参考に著者作成
日本の商品が外国で売れることが増えた
日本の商品が外国で売れていることも、海外プロモーションが必要な理由です。2018年の年末に放送された「ニッポン視察団」では、日本の商品が外国人に人気であることが報道されています。
また、インターネットの普及により、外国人が日本の商品を手軽に購入可能となりました。ECサイトでは衣類や服装雑貨、ホビーグッズ、教育図書のほか、宝飾品や時計、化粧品が売れ筋となっています。
海外プロモーションで成功するためのポイント
海外プロモーションで成功するためには、マーケティングを入念に行うことが大切です。外国人が何を求めているのかを理解した上で、サービス向上につなげなければなりません。
外国人とひと口に言っても、国ごとに文化や価値観、好みが異なりますので、ターゲットとなる外国人の理解が重要なのです。その上で、サービスのどの部分をどのように発信するのかが腕の見せ所となります。
たとえば、中国に日本文化を発信したい場合、お寺よりも神社を発信した方が良いでしょう。お寺は中国の方が歴史が深いため、日本特有の文化である神社が好まれます。ターゲットが誰かを想定した上で、その人に適したプロモーションが大切です。
海外プロモーションの成功事例
海外プロモーションをして行くためには、既に成功経験から学ぶことが大切です。そこで、海外プロモーションの成功事例を5つ紹介します。
1.伊藤久右衛門(京都)
伊藤久右衛門は京都府宇治市のお店で、抹茶スイーツが有名です。お店の前は常に行列となっており、日本人観光客にも人気店として知られています。そんな伊藤久右衛門はフェイスブックで台湾人に特化したプロモーションを行い、成功しました。
フェイスブックページでいいね!する人の割合として、台湾人が多いということに気付き、投稿エリア設定での絞り込みや、中国語の併記などで、多くの台湾人へ情報を届けています。
2.南部鉄瓶
南部鉄瓶とは、岩手県の伝統産業で、特に中国で人気となっています。そのため、工場見学に訪れる中国人観光客で賑わっています。
2010年の上海万博出店で話題を集めたのを機に、現地のプーアル茶専門雑誌へ広告出稿などのプロモーションをしました。一旦人気が出ると高品質であることが後押しとなり、現在の賑わいを創出しています。
3.岐阜県白川村
岐阜県白川村は、世界遺産の白川郷で知られています。岐阜県白川村はインスタグラムを活用して外国人観光客を呼び込みました。明媚な風景や雪深い情緒など、インスタ映えする写真により、多くの外国人を魅了しています。
2017年の訪日観光客数は前年度比9%増の65万人となっており、人口1,600人の村が活況となっています。
4.横浜市
横浜市はインスタグラムを活用し、2019年12月時点で5万8千以上のフォロワー数となっています。横浜市の名所を中心に英語表記で外国人にも読める投稿をしています。
公式ハッシュタグである「#myyokohama」を付けた一般ユーザーの投稿も多く、横浜市の魅力が数多く投稿されています。
5.清水寺
京都の観光スポットである清水寺も、インスタグラムを上手く活用しています。清水寺の伽藍や、清水の舞台からの景色、年中行事の様子など、その魅力を余すところなく発信しています。
もともと人気観光スポットではありましたが、現在訪日外国人で賑わいを見せ、常に初詣のような賑わいとなっています。
海外に広告する場合の手法
海外に広告する場合の手法はさまざまです。たとえば地元のテレビ、新聞、ラジオ、雑誌などのマスメディア広告や、インターネット広告などの手法があります。また、バズマーケティング(口コミ)やインフルエンサーマーケティングなども良いでしょう。
主流はオンライン広告
どれが正しいというものはありませんが、インターネットを活用すると、費用を抑えてのプロモーションが可能です。YouTube広告やWebメディアへの広告など、最適な媒体に広告を出すと良いでしょう。
また、前述のとおりフェイスブックやインスタグラムなど、SNSを活用すればほとんどお金をかけずにプロモーションする方法もあります。広告出稿した内容をSNSで二次利用するなど、効果性をアップさせることも検討しましょう。
海外プロモーションを積極的に行うべき
訪日外国人観光客数は上昇の一途を辿っており、万博やオリンピック開催によって今後更なる増加が見込まれています。そんな中、海外プロモーションの必要性は高まっており、効果的なプロモーションがテーマとなっています。
海外プロモーションを成功させるには、マーケティングをしっかりと行った上で、ターゲットに即した手法を取ることが重要です。これまで主流だったマスメディア広告だけでなく、現在主流のインターネット広告やSNSなど、さまざまな手法を検討しなければなりません。もちろん、インバウンドプロのようなWebメディアも有効な手段の1つです。