「韓国で利用されている検索エンジンについて知りたい」と考えていませんか?
インバウンド対策として、日本の情報を韓国に向けて発信したいと考えている企業も多いでしょう。デジタルマーケティングにおいて重要なのは、海外の人々がどのようにして情報収集を行っているのか、という視点です。この部分を深く理解しておくと、訪日外国人に向けて的確に情報を届けることができるようになります。
世界でもっとも利用されている検索エンジンはGoogleですが、韓国では実は利用率10%を下回ります。Googleの代わりに、韓国で主に普及している検索エンジンは「NAVER」です。
この記事では、韓国シェアナンバーワンの検索エンジンサービスNAVERについて、その概要を詳しく紹介しています。またNAVERを通してマーケティングを実施する際に知っておきたいSEOについての知識も合わせて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
韓国の検索エンジン「NAVER」とは何か?
NAVERは、韓国国民のインターネットユーザーのおよそ8割が日常的に利用している検索エンジンです。NAVER Corporationが運営しており、利用者は3,700万人にも達します。韓国国内最大手の検索エンジンであると言えるでしょう。
NAVERはもともとホームページビルダーなどのサービスを運営していましたが、2000年以降、ポータルサイトやブログ作成サービスなど事業拡大を続けていました。その中で「知識iN」と呼ばれるQ&Aサービスや、NAVERブログが韓国国民の間で大流行し、徐々に検索エンジンとしてのシェアを獲得していくようになったのです。
日本国内でもNAVERに関連するサービスがあります。代表的なのが、チャットアプリ「LINE」です。実はLINEを提供しているLINE株式会社は、NAVERの子会社なのです。その他にも、簡易的な記事を作成できる「NAVERまとめ」も、日本で広く普及しています。ちなみにNAVERは日本国内でも検索エンジンを提供していましたが、2013年頃にサービス自体を終了させています。
韓国の検索エンジン「NAVER」の特徴を解説
検索エンジンNAVERの、特徴的な部分を確認していきましょう。
ポータルサイトである
NAVERはポータルサイトの形式であるという点が特徴的です。ポータルとは玄関や入り口を意味する単語であり、さまざまなウェブページにアクセスする入り口のような役割を担います。Googleのトップページは、検索ワード入力欄があるだけですが、NAVERは「NAVERニュース」や「NAVERブログ」など多くのコンテンツがずらりと表示されています。Yahoo!のトップページのようなものをイメージすると分かりやすいでしょう。
NAVERは検索エンジン以外のサービスを運営しています。NAVERは、トップページや検索結果から、それらの独自サービスへユーザーを遷移させることで、多くのトラフィックを確保しているのです。検索結果の7割程度は、NAVER関連のサービスへ遷移する仕組みとなっているとも言われています。一定以上のトラフィックを実現することで、NAVERの検索エンジンは企業向けリスティング広告などで収益を上げています。
検索結果がカテゴリー分けで表示される
NAVERの最大の特徴は、検索結果がカテゴリーに分類されて表示される点にあります。これは他社の検索エンジンとの大きな違いでもあります。Googleなどの検索エンジンは、あるキーワードで検索した場合、膨大なウェブページからユーザーの検索意図に応じて、関連度合いの強いページから順に羅列されます。
しかしNAVERでは、まずキーワードからカテゴリーの順序が決まります。カテゴリーは、「ブログ」「ECサイト」「コミュニティサイト」「知識iN(Yahoo!知恵袋に類似したQ&Aサービス)」など、多岐に渡ります。各カテゴリー内におよそ5つ程度、ウェブページへのリンクが表示されます。つまり、検索結果画面が適切に構造化され、整理された状態で表示されるのです。また、一番初めには「リスティング広告」が表示されます。
検索結果がフォルダ分けされたような状態になっているため、ユーザーにとっては非常に使いやすい画面表示であると言えるでしょう。
一方で、このNAVER独特の仕組みは、企業がマーケティングを行う上で少々難点があります。企業のウェブページは、「ウェブサイト」のカテゴリーに分類されますが、そもそもこのカテゴリー自体が上位に表示されることはほとんどありません。ユーザーが企業名などで直接検索した場合のみでしか、検索結果に表示されないのです。
このため、韓国で自社サービスやブランドの認知拡大を試みる際には、NAVERの検索システムに合わせたマーケティングの方法を実践する必要があります。
NAVERのSEO対策の方法
NAVERは仕組みが独特なため、日本のウェブマーケティングとは異なるやり方を実践する必要があります。具体的な方法を見てみましょう。
リスティング広告(ClickChoice)を出す
韓国向けのデジタルマーケティングの手法として一般的なのが、リスティング広告です。これは、ユーザーの検索ワードに合致するウェブページを上位表示する仕組みで、NAVERにおいてもっとも上位のカテゴリーに常に表示されます。検索結果の一番上にページへのリンクを表示できるため、自社サイトへのアクセスを増やすことができます。リスティング広告は、背景が黄色になっており、もっとも目立つデザインになっています。
リスティング広告自体は、GoogleやYahooにもあり、仕組み自体はこれらと同じです。しかし、Googleの広告枠は3~4件であるのに対し、NAVERの場合リスティング広告は最大20件まで表示する仕組みとなっています。
またユーザーの広告への認識にも違いがあります。日本では、「広告」と表示された記事はスクロールして飛ばされたり、クリックされなかったりすることがありますが、韓国では意外にも広告枠のリンクもクリックされやすいのです。リスティング広告に表示されたリンクを比較して、ウェブページにアクセスするという文化があり、ユーザーが企業や商品を選ぶ際の参考となっています。
NAVERのリスティング広告は若干ハードルが高い
NAVERのリスティング広告は、やや難易度が高いという側面があります。というのも、NAVERのリスティング広告は、検索キーワードが完全に一致した場合のみ表示される仕組みとなっているからです。Googleのように、ユーザーの検索意図に応じて対応するものではないため、広告のキーワード選定を入念に行わなければなりません。
広告を出稿する段階で適切なキーワードを選定できるかどうかが、マーケティング成功の鍵を握っていると言えるでしょう。キーワードのクリック率などを検証し、改善していくこともできるので、PDCAサイクルを回すことも重要であると言えます。
NAVERのリスティング広告は、制約が多い点にも注意が必要です。例えば、文字数が最大45文字と決まっていたり、広告文に使うキーワードには回数制限が設けられています。さらに広告文に「人気No1」などの文言を入れる場合は、さまざまな書類をそろえてNAVERに提出する必要があります。
NAVERブログを活用したSEO
NAVERで多くのインプレッションを獲得する方法として有効なのが、ブログを活用したSEOです。NAVERでは情報を検索したユーザーのおよそ40%が、ブログにアクセスしているというデータが報告されています。
例えば、ある商品についての情報を知りたい場合、一般ユーザーが書いたブログから口コミやレビュー情報を収集し、最終的に買うかどうかの判断を行います。実際にNAVERは、ブログカテゴリーを優先して上位表示させる傾向が見られます。
ブログはオンラインショッピングはもちろん、旅行や観光スポットの情報収集でも活用されます。インバウンド対策として、訪日観光人に自社商品や観光スポットをプロモーションする際にも、有効な施策となります。
ブログSEOで用いられるのが、NAVER独自のブログ作成サービス「NAVERブログ」です。NAVERブログを使えば、誰でも簡単に自分のブログを作ることができます。日本におけるアメーバブログのようなサービスです。デザインのフォーマットがある程度指定されているので、操作に悩むこともなく、リーダビリティの高いブログで情報を発信できます。
NAVERブログでは、企業が情報発信を行うプラットフォームとして活用できます。インフルエンサーマーケティングとの組み合わせもトレンドです。
NAVERブログを上位に表示させる方法
NAVERブログへのアクセスを高めるために、NAVERがどのようなコンテンツを上位表示させるのかを理解しておきましょう。NAVERがもっとも重視しているのは、「情報の新しさ」であると言われています。
NAVERは更新年月日が新しいものを優先的に表示させる仕様となっています。このため、NAVERブログへのアクセス数を向上させるためには、なるべく高頻度でブログを更新し、ユーザーに新しい情報を提供し続けていくことが重要となるのです。
またNAVERブログの検索結果も特徴的です。キーワードに合致するブログカテゴリーには、ブログ記事が一覧で表示されますが、その際ブログに使われている画像がサムネイルとして表示されます。ユーザーの目を引く画像を使用することで、クリック率を高めることができるでしょう。
さらに検索結果では、ブログに挿入されている「画像の数」もあわせて表示され、この画像の数が多いほどクリックされやすくなっています。NAVERブログは、テキストと画像で構成されていますが、画像をふんだんに使うほど、ユーザーに読みたいと思ってもらいやすくなるようです。
NAVERの他に韓国で利用されている検索エンジンとは
韓国で利用されている検索エンジンは、NAVERだけではありません。シェアを占める割合は少ないものの、その他のサービスも使われています。
DAUM
DAUMは、韓国でNAVERに次いで利用されている検索エンジンです。こちらもポータルサイトの形をとっており、もともとは電子メールサービスとコミュニティサイトから派生したサービスです。国内のシェアは1割ほどなので、それほど広く普及しているわけではありませんが、歴史のあるサービスであるため、多くのユーザーが存在します。
特にDAUMが提供しているコミュニティーサービスは、根強い人気があります。これは日本におけるミクシィのようなサービスで、ユーザー同士のコミュニケーションを実現します。DAUMでは、韓流アイドルの情報が頻繁にやり取りされており、ファン同士の交流の場としても活用されているようです。
韓国国内ではGoogleが使われることもあります。しかしGoogleの利用率は1割を下回るほどであり、一般的に普及しているわけではありません。Googleの特徴は、検索結果表示の際に、コンテンツの質を重視している点にあります。コンテンツの内容を人工知能が分析することで、ユーザーが求めている記事を判断し、上位表示させているのです。
NAVERはどちらかといえばコンテンツの質よりも情報の新しさなどを重視しており、この点が両サービスの大きな違いと言えるでしょう。
NATE
NATEは韓国国内のポータルサイトです。検索エンジンとしても使われていますが、シェアは全体の数%しかありません。Cyworldと呼ばれるコミュニティーサービスや、チャットや音声通話を行うNATE ONなどのサービスを提供していますが、スマートフォンの普及などによるトレンドの変化が影響して、利用者数も減少しているようです。
韓国の検索エンジン最適化は、広告とブログが鍵になる
韓国で利用されている検索エンジンについて解説しました。韓国では国内独自のサービスが普及しており、検索結果表示の仕組みも独特なため、日本で行うSEO対策とは異なるやり方で情報発信をしていかなければなりません。インバウンド対策として、韓国へ情報発信をしたいと考えているのであれば、広告とブログを駆使して、効果的にマーケティングを実施していきましょう。