英語や中国語など、外国語で書かれたサイトを見たいという理由から、翻訳サイトを利用する人は多いでしょう。しかし、中には日本語訳が不自然なサイトもあり、「せっかく訳したのに、日本語訳が意味不明…」という体験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、数ある翻訳サイトを比較した結果わかった、精度の高い日本語訳を可能にする翻訳サイトを無料・有料別に6つ厳選してご紹介します。
1.日本語訳の精度で比較!おすすめ無料翻訳サイト3選
翻訳サイトに望むことは、外国語を高い精度で日本語に翻訳してくれること。でも、できれば無料のサイトがいい…という人におすすめの高精度翻訳サイトをご紹介します。
1-1.AIが優秀!Google翻訳
検索エンジンの権威、Googleが提供している翻訳サイト、「Google翻訳」。
従来のGoogle翻訳しか知らない人は、「あの自動翻訳丸出しの不自然な翻訳サイトがどうしておすすめなのか?」と思うかもしれません。しかし、Google翻訳の機能は拡張し続け、2019年現在日本のみならず世界で活用される翻訳サイトとなっています。
AIの中の革新的技術―他社と比較しても秀でるニュートラルネットワーク
実は、それまでもAIの開発に熱心だったGoogleが、2016年から翻訳サイトにも「ニュートラルネットワーク」と呼ばれる機械学習を取り入れたのです。AIが機械学習を内包し、機械学習がニュートラルネットワークをさらに内包しているととらえると分かりやすいでしょう。
本来、人間の脳では神経細胞同士が結合することで神経ネットワークを機能させています。ニュートラルネットワークでは、このような人間の脳で行われている神経ネットワークを再現できるということです。
ニュートラルネットワークを用いることで、あたかも人間が翻訳したかのような自然な翻訳を可能にしたGoogle翻訳の精度は、2019年現在、無料の翻訳サイトの中でもトップクラスだと言えます。
ニュートラルネットワークのすごさを体感!実際にGoogle翻訳を使ってみた
実際にGoogle翻訳を使ってみると、翻訳の精度の高さはもちろん、日常生活での使いやすさも感じることができました。
今回日本語に訳してみたのは、ビジネス場面でクライアントから来た英語メールを想定した以下の文章です。
「I am going to visit the Sendai office for 3days at the end of next week. During my stay, we would like to have a discussion with your team concerning the new shop in Kawasaki area.」
この文章をGoogle翻訳に入力してみると、以下のように翻訳されました。
日本語訳と原文が並列されているため、見比べやすく、訳自体もごく自然なのが分かります。
しかし、Google翻訳のすごいところは、これだけではありません。
原文のミスを指摘し、翻訳語の読み方もローマ字で表示する親切設計
原文には、「3days」とありますが、正しくは「3 days」のように、スペースを空けるのが正しい表記方法です。Google翻訳はこのミスを見つけて、「もしかして」と題して指摘してくれます。
日本語訳直下の文章を見てみると、ローマ字で日本語の読み方が表記されているのが見えるでしょうか。例えば外国人が伝えたい内容を入力して日本語訳し、口頭で日本語を話す際にも使えるという親切設計が施されているのです。
しかし、「来週末(らいしゅうまつ)」を「らいしゅうすえ」と読ませるなど、もう少し改善の余地はあるかもしれません。
なお、スピーカーマークをクリック(タップ)すると、音声としても再生することができます。ビジネスシーンから日常場面まで、幅広く活用できる高精度の翻訳サイトだと言えるでしょう。
1-2.専門用語の翻訳に強い!エキサイト翻訳
Google翻訳と比較すると、日本国内での利用者が多いエキサイト翻訳。英語から日本語に訳す際、不自然な訳になりがちなのが専門用語です。ビジネス、学習シーン、娯楽などで利用することが多い専門用語が訳すなら、エキサイト翻訳をおすすめします。
140万語以上の専門用語が追加され、専門領域の日本語訳も充実
エキサイトの公式サイトによると、2015年に専門用語を140万語以上も追加し、他領域に関する翻訳が可能になっています。
エキサイト株式会社は、月間400万人にご利用いただいている「エキサイト翻訳」に、
2015年4月22日(水)から140万語以上の専門用語の辞書を追加し、
翻訳時に選択できる8系統106分野を設置いたします。
(中略)
専門用語の辞書は、理学、工学、農林水産、社会学、人文学、芸術、スポーツ、
生活の8系統から、建築土木や農業、歴史、哲学、衣料、娯楽など106の分野を
お選びいただけます。(引用元:エキサイト株式会社)
他の翻訳サイトと比較しても、専門用語にこれほど特価しているサイトはなく、エキサイト翻訳の個性となっています。
本当に専門用語に強い?実際にエキサイト翻訳を使ってみた
Google翻訳との比較を行うために、先ほどと同じ英文をエキサイト翻訳で訳してみました。
Google翻訳にはなかった、専門分野を選ぶプロセスがあり、分野を選ぶことで、より精度の高い翻訳を可能にしています。Google翻訳と比較すると、若干表現は固めですが、ビジネス用として考えれば許容範囲です。
他分野の専門用語でも精度の高い翻訳ができるか試してみた
しかし、これだけでは本当に専門分野に特化できているのかは疑問が残ります。そこで、本当に専門分野に強いのかを確かめるために、心理学の論文から引用した一文を翻訳してみました。
The purpose of this study was to examine the experiences and meanings of crises and to clarify types of the vocational life-cycle the elderly recognized in life review.
(引用元:高齢者から見た生涯発達過程―職業生活に関する検討― 星野和実 心理学研究 第70巻 第5号)
「study」を「研究」と訳している点、「ライフレビュー」「ライフサイクル」を用語として訳している点は評価できます。しかし、全体的な日本語訳の不自然さは否めません。専門用語の訳には確かに強いようですが、肝心の長文訳にはまだ改善の余地があるようです。
1-3.選べる文体で自然な翻訳が可能!Weblio翻訳
オンライン英和、和英辞典として日本国内で人気のWeblio翻訳ですが、オンライン英会話、英単語帳機能もあり、英語学習の総合サイトとして活用できます。もちろん、英和・和英辞典としての機能から、翻訳サイトとしても活用することが可能です。
本当に自然な訳ができる?実際にWeblio翻訳を使ってみた
自然な訳ができるというWeblio翻訳。実際に上記2サイトと比較するために同じ英文を翻訳してみました。
確かにこのまま口頭で話しても不自然さを感じないほど、精度の高い翻訳だと言えます。
「3days」を「3日の間」と訳している点は今ひとつですが、それ以外はほぼ完璧です。
入力ミスにも対応できる?スペルチェック機能も使ってみた
翻訳サイトを利用する際、英文のスペルミス、入力ミスをすると、正しく訳されないことも多いものです。
Weblio翻訳には、「スペルチェック機能」があり、こちらを利用することで原文のミスから本来のスペルを予測し、より英文として正しい文章を提案してくれます。
そこで、あえて先ほどの文章の何か所かスペルミスをして翻訳してみました。
「スペルチェック結果」という欄に、赤文字で正しいスペルを提示してくれています。
これなら、もともとの英文に多少のミスがあったとしても、より精度の高い翻訳が期待できるでしょう。
2.無料と比較すると精度高め!おすすめ有料翻訳サイト3選
無料の翻訳サイトを比較すると、従来の機械的な翻訳ではないものの、完璧な翻訳とは言えないようです。
そこで、有料だけれど、その分精度が高いと評判の翻訳サイトを3つ厳選してご紹介します。
2-1.精度95%を誇るAI翻訳!T-400
有料翻訳サイトのT-400は、「専門分野データベース」と「御社専用データベース」を掛け合わせることで、自社が使う頻度の高い用語も95%の精度で翻訳できるという特徴があります。
非専門翻訳者以上、プロ翻訳者以下の高水準翻訳が可能
T-400を提供している明電商事によると、「プロの専門分野翻訳者以下、非専門の翻訳者以上」という精度の高さから、無料の翻訳サイトとは比較にならないほどのクオリティが期待できます。
専門分野の広さと使い勝手のよさは有料の価値あり
T-400の翻訳は、ビジネスシーン、研究シーン等でも高い精度を実現するために、2,000にも及ぶ専門分野に対応しています。
(引用元:T-400)
さらに英語で表記されたサイトを、サイトのレイアウトはそのままに英文のみを翻訳することも可能。PDFファイル、Office2013をそのまま翻訳できるため、仕事や研究で使用するには最適の翻訳サイトだと言えるでしょう。
2-2.課金でさらに制度アップ!Google翻訳の有料プラン
Google翻訳の精度の高さについては、無料翻訳サイトとして前述しました。
しかし、Google翻訳には有料プランがあり、有料の場合は更なる精度の高さを体験することができます。
ウェブサイト・アプリを瞬時に訳す圧巻の高精度翻訳
Google翻訳の有料プラン(Translation API)では、100以上の言語を一瞬で翻訳することが可能です。しかも、サイトまるごと、アプリまるごとの翻訳も簡単に実行できます。
特筆すべきは50万字までは無料で利用できることです。50万字からは100万字単位で課金が必要となるものの、使用する規模によっては十分無料で利用できるでしょう
専門用語もキレイに訳す!Google翻訳の有料プランのデモを試してみた
エキサイト翻訳では残念な訳に終わった、心理学論文の一文をGoogle翻訳の有料プランのデモンストレーションで翻訳してみました。
「本研究の目的は~」から始まる日本語文は、修正の必要がないほど流暢であることが分かります。「職業ライフサイクル」といった専門用語も適格に訳されており、有料の価値がある翻訳サイトだと言えるでしょう。
2-3.欧州言語の精度が高い!WorldLingo
WorldLingo自体は、無料の翻訳サイトとして気軽に使えるのですが、無料の場合は500単語までしか利用できません。
ビジネスシーンにおいて500単語では済ませられないことも多く、かつ有料プランが優秀だという理由からWorldLingoをおすすめします。
有料なら翻訳語数は無制限!
WorldLingoの有料プラン「my WorldLingo」では、翻訳対象の単語数に制限がありません。上記でご紹介したGoogle翻訳の有料プランは従量課金制でしたが、こちらは正真正銘の無制限です。
海外の論文やビジネス書を翻訳したい場合でも、課金額の増加を気にすることなくストレスフリーで利用できます。
精度を上げる!カスタム辞書の登録で自分専用の翻訳サイトに
my WorldLingoでは、ユーザーが独自で単語を登録できます。
専門用語や、自社でよく用いるマイナーな英単語も登録できるため、独特な英文もスムースに日本語へと翻訳することが可能です。
Eメール、ドキュメント、テキストも簡単に翻訳できるため、長文翻訳を必要とする人には有料プランをおすすめします。
15か国語対応でグローバルな事業展開も可能
my WorldLingoの対応言語は15と、月額利用料金が$4.95という低料金の割には充実しています。
(引用元:WorldLingo)
複数の諸外国で事業を展開している、あるいはしようとしている人にとって、非常にコストパフォーマンスのよい有料翻訳サイトだと言えます。
3.無料でも有料でもサイト上での翻訳には限界あり
実際に複数の翻訳サイトを利用してみた結果、確かにどの翻訳サイトも、従来の機械的な翻訳からは一線を画した新たな段階へ進化しているようです。
しかし、実際に試してみたからこそ、気が付いた翻訳サイトの限界もあります。
3-1.AIが発達しても、日本語の微妙な表現は翻訳しにくい
AIの発達により、機械学習、ディープラーニングが進み、より自然で精度の高い翻訳ができるようになった翻訳サイト。
しかし、ビジネス英語のように固い文章は翻訳できても、口語の翻訳がまだまだ改善の余地があると感じました。
日本語には、日本語ならではの微妙な表現があります。
実際に試してみた翻訳サイトでは、「3日間」を「3日の間」と口頭で言う人は少なく、ちょっとしたところで翻訳された日本語に不自然さを感じることがありました。
この不自然さを自然にするためには、無料・有料にかかわらず、翻訳サイトの利用のみでは困難なのかもしれません。
3-2.ビジネス利用時は翻訳ミスが許されない
翻訳サイトの利用シーンはさまざまですが、特にビジネスシーンにおいて誤訳はもちろん、微妙なニュアンスをくみ取ることが重要です。
ニュアンスをくみ取り間違えると、商談・取引に影響を及ぼす恐れもあるでしょう。
自身の語学力に自信が持てずに翻訳サイトを利用している場合には、サイト上の翻訳が間違っていたり、本来相手が伝えたかったニュアンスとは異なるニュアンスで受け取ったりしていても気が付くことができません。
有料・無料にかかわらず、失敗の許されないビジネスシーンでは、プロの翻訳者未満の精度の翻訳サイトを使用することはおすすめできません。
3-3.翻訳サイトよりも翻訳会社へ依頼した方が精度は確実!
上記のようなビジネスシーンだけではなく、英語で表記された趣味のサイトを閲覧する時も、きちんと内容を把握するために、精度の高い翻訳を必要としている人は多いでしょう。
もしも最も精度の高い翻訳を希望する場合には、翻訳サイトを利用するよりも、翻訳会社へ翻訳を依頼することをおすすめします。
いくら機械の精度が上がったからと言って、プロの翻訳家にかなうわけではありません。
多くのスキルと経験を持つ翻訳家の翻訳文を見れば、すぐにその違いを実感できるでしょう。
翻訳サイトは英語文で書かれた意味を大枠で把握することに役立てるにとどめ、失敗の許されないシーン、本来の意味・意図をきちんと把握したい場合には、翻訳会社に翻訳を依頼しましょう。