全国地で広がるインバウンド集客のためのスリーレターコードとは

空港・都市・空港会社で使われる3つのアルファベットを並べたスリーレターコード。本来空港や航空コードを表すものとして使われるものが、近年街のいたるところでこのスリーレターコードが広がっていますがそれはなぜなのでしょうか。また訪日外国人客にとってこの文字が便利なわけはどこにあるのかもご紹介していきます。

スリーレターコードとは?

スリーレターコード(3レターコード)は任意の3つのアルファベットを組み合わせたものです。都市や空港名を略して表記する言葉で、全世界共通のコードです。

航空券を予約するときの出発地・目的地の表記されたチケットや、荷物タグの表記などで使用されます。

全世界で共通のスリーレターコードは下記の3つです。
・空港コード
・都市コード
・航空会社コード

スリーレターコードを決めている機関

スリーレターは以下の2つの機関によって決められています。

国際民間航空機関 (ICAO)

カナダのモントリオールに本部がある機関。読み方は「イカオ」が一般的で「アイカオ」「アイケーオー」と国々によって発音の仕方は異なります。

この機関が決めているのは、「航空会社コード」です。

国際航空運送協会 (IATA)

1945年にキューバのハバナで設立され、現在はカナダのモントリオールとスイスのジュネーブに本拠地がある機関。読み方は「イアタ」です。

この機関が決めているのは、「空港コード」「都市コード」です。

インバウンド対策でスリーレターコードが広がる背景

飛行機を利用する際にチケットや発着・到着ボードへ表記されるスリーレターコードですが、現在インバウンド対策として日本各地で広がりつつある3つのアルファベット表記にはどんな背景があるのでしょうか。

まずインバウント客は2018年度では3,119万人、2019年度は3,301万人、オリンピック開催の2020年度には4,000万人突破になるのではないかと予想しています。

2014年に訪日中国人による高級ブランドや日用品を大量に買い込む「爆買い」が話題になりましたが、現在では落ち着き日本でしかできない体験・経験をする「コト消費」へと価値観が移り始めています。

これは大都市ではなく特に地方都市へ行っての日本の四季を楽しむためスキー・スノーボード・ハイキングなどのスポーツから、日本の文化を楽しむ陶芸・着付け・コスプレ体験などがあります。

スリーレターコードでのインバウンド対策3選

迫りくる2020年東京オリンピック・パラリンピックと毎年急増する訪日観光客の対応として、旅行客が日本語を読めなくても理解できるように数字やアルファベットを使ったスリーレター(ナンバリング)の導入が増えてきています。

どんな場所でスリーレターを使ったナンバリングが設置されているのかご紹介していきます。

JR首都圏「駅名」「路線図」のナンバリング

2016年よりJR東日本で主要駅を3桁のアルファベットで表記しています。路線名は2桁のアルファベットで、駅番号は2桁の数字を組み合わせた表記です。

訪日外国人が日本国内で最も移動手段に使うのが鉄道・地下鉄・モノレールです。それは全ての移動手段の約6割を占めていますが、日本語(漢字)が読めない・乗り換えが複雑で分かりにくい・今どこで目的地がどこか分からないといった不満の声が多くあげられています。

東京都内では路線図を2レターや3レターで表記することで利用者の満足度や安心感へと繋げることができます。

全国「高速道路」のナンバリング

高速道路の国道番号に2桁または3桁でアルファベット+数字を組み合わせたものを表記しています。

訪日外国人の増加とともに彼らのレンタカー利用率も急増していますが、レンタカー利用率増加への背景には2017年10月からスタートした訪日外国人限定の高速道路定額乗り放題「Japan Expressway Pass」が実施されたことも理由の一つにあります。

高速道路ナンバリングは地図やカーナビゲーションにも表記することができるので、日本語が読めないインバウンド客だけに限らず国内旅行客にとっても利便性が高いです。

高速道路では素早く標識を認識する必要があるので、標識やカーナビに目を向ける時間が短縮され事故のリスクも少なることにつながるでしょう。

「バス停」「バス系統」のナンバリング

公共バスのバス停名やバス系統をナンバリングしています。エリア・方面・行き先などバス会社によってナンバリングの付け方はバラバラですが、2桁または3桁でアルファベット+数字で表記しています。

日常でお風呂に浸かることのない文化や温泉環境がない国の人にとっては、日本での温泉や露天風呂を体験してみたいと箱根や大分別府などの温泉地に人気があります。そんな時に移動手段として使うバスにナンバリングされていることで、表記された地図を頼りにスムーズに目的地へ到着することができます。

訪日外国人のためにスリーレターコードが必要な理由

行く場所や日程が決められた団体ツアー旅行から、航空券・ホテル・目的地を自由に選択できる海外個人旅行(FIT)への増加傾向にあります。その理由には食事・体験するものなど旅行の目的が多様化しているため、FITの利用が全体の約8割以上となっています。

今まで貸し切りバスやツアー会社の大型車を使った移動から、FITの旅行により電車・バスなどの公共交通機関を利用した移動へと変化しています。

言葉の壁

訪日観光客にとって一番の壁は言語の理解です。コミュニケーションがとれない・多言語表記が少ないことで、買い物や食事での注文や移動先で日本語が読めないというのはかなり大変なことです。

スリーレターを使うことでそれらの問題は大きく緩和され、インバンド客にとって利便性が高いものとなります。

地方への観光

モノ消費からコト消費へ変化している訪日外国人客は、東京・大阪・名古屋などの大都市から地方への観光が増加傾向にあります。

日本の四季を楽しみたい・体験したいという訪日外国人客は地方へ足を運びますが、地方へ行けば行くほど現地方言が難しく多言語表記も少なくなってきます。しかし彼らにとって理解ができる言葉や表記があることは地方都市や駅へアクセスのしやすさがあるため人が集まり、そして地域にとって活性化にもつながります。

高速道路の利用

いくつかのサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)では礼拝所や免税店を設置するなど、インバウンド客の満足度アップ狙いのための環境を整備しています。

これはスキー・スノーボードやゴルフなどのスポーツを楽しむ方、大自然を楽しみたい方など車を利用することで自由に遠くへ行ける便利さがあります。さらに訪日客向けの定額料金高速乗り放題により高速道路を利用する訪日外国人客が多くなっています。

スリーレターコードの紹介

インバウンド向けのスリーレターはどんなものがあるのか例を紹介してきます。

航空会社コード

コード 航空会社
JAL JAL
ANA ANA
APJ ピーチ
JJP ジェットスター・ジャパン
WAJ エアアジア・ジャパン
VNL バニラエア
SJO 春秋航空日本
ADO エアドゥ
SKY スカイマーク
SFJ スターフライヤー
SNJ ソラシドエア

都市コード

コード 場所(都市)
NRT 東京・成田
HND 東京・羽田
KIX 大阪・関西
ITM 大阪・伊丹
CTS 札幌・千歳
FUK 福岡
NGO 名古屋・中部
KMQ 小松
KMJ 熊本
OKA 沖縄・那覇

電車コード(東京都内編)

コード 駅名
TYO 東京
KND 神田
AKB 秋葉原
UEN 上野
NPR 日暮里
IKB 池袋
SJK 新宿
SBY 渋谷
EBS 恵比寿
OSK 大崎
SGW 品川
HMC 浜松町
SMB 新橋

ちなみに路線記号は2レター(2文字)で表わされており、例えば山手線の場合はJY、東海道線はJT、中央線はJBなどとなっています。

高速道路コード

高速道路の表記は完全スリーレターではなく、一部2レターが混合しています。

コード 路線名
E1 東名高速道路、名神高速道路
E1A 新東名高速道路、新名神高速道路、伊勢湾岸自動車道
E2 山陽自動車道
E2A 中国自動車道、関門自動車道
E3 九州自動車道
E3A 南九州自動車道
E4 東北自動車道
E17 関越自動車道
E18 上信越自動車道
E19 中央自動車道(小牧~岡谷)、長野自動車道
E20 中央自動車道(高井戸~岡谷)
E23 東名阪自動車道、伊勢自動車道

今後インバウンド対策のためにスリーレターコードが増加していくと予想される

今回は全国地で広がるスリーレターコードについて解説しました。スリーレターコードは訪日外国人客が日本語表記の代わりに分かりやすく理解できることで、大都市から地方都市までインバウンド集客のために行われる目的があります。

さまざまな場所でスリーレターコードを付けることでさらなる訪日客を多く引き寄せられるとなると、今後も多くの場所でコード表記が増えていくと予想されます。

団体ツアーから個人旅行へ、物の購入から体験へと変化している訪日外国人客の需要に対応していきましょう。