越境ECの決済方法|決済サービスの選び方や世界で利用されている決済とは

越境ECにおいての決済では、クレジットカードや電子マネーといったキャッシュレスの利用率は高いです。

とはいえ、国内販売と利用されている決済方法が異なるため「どんな決済サービスを選んでいいのか分からない…」と悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、越境ECを展開する際、「決済サービスは何を選べばいいのか」「決済サービスの選び方のポイント」について解説します。

越境ECとは

越境ECとは、国をまたいでネットショッピングを行うことです。

例えば日本の事業者がアメリカの消費者相手にビジネスを行ったり、アメリカの事業者が中国消費者にビジネスを行うことを言います。

越境ECが注目され続けている理由

越境ECは世界各国で注目されていますが、日本でも益々期待されているビジネスです。その理由は2つあります。

理由①日本国内の少子高齢化と人口減少

日本は少子高齢化と人口減少が進んでいることによって、実店舗で購入してくれる人やインターネットを使って購入してくれる人も減り続けてきています。

こういった点から「これから自社のブランドやショップを拡大させていこう」と思っても、現実的には厳しいところもあるでしょう。

しかし、世界へ向けて販売することができれば新たな顧客を獲得することができるので、国外発展も必要となってくると考える事業者は数多くいます。

理由②日本製品の品質と信頼の高さ

日本製品は高品質・高性能・高機能・ハイテクなど、信頼性が高いことです。

日本へのあこがれや興味を持つ人、日本製品を高く評価し欲しがっている人は世界各国にたくさんいます。そのため、越境ECでの出店(出品)はビジネスを拡大させていくチャンスと言えます。

越境ECで利用されている主な決済方法

決済方法といっても決済方法は数多くありますが、越境ECで美辞根雨展開するにあたりどういった決済サービスを用意すればいいのか分からない方もいるでしょう。

ここでは越境ECで利用されている代表的な決済方法を紹介します。

・クレジットカード
・デビットカード
・電子マネー
・オンライン決済サービス
・代金引換
・コンビニ払い
・口座振替

クレジットカード

クレジットカードは越境ECで最も利用されている決済方法です。

消費者にとって商品選び・購入・届くまで全て自宅でできるため利便性が高く、事業者にとってはチャージバック(返金)のリスクはあるものの、料金の未回収率を少なくできるのがメリットです。越境ECを行ううえで、導入するべき決済方法のひとつといえます。

デビットカード

デビットカードは決済と同時に銀行口座から代金が即座に引き落とされる決済方法です。

日本ではあまりなじみがありませんが、越境ECにおいては特にアメリカで普及されています。つい使い過ぎてしまう方にとっておすすめの決済方法です。

電子マネー

電子マネーは現金をデータ化して決済する方法です。

電子マネーには現金や銀行口座から事前にチャージして決済する「プリペイド式(先払い)」と、決済した分が銀行口座やクレジットカードから引き落とされる「ポストペイ式(後払い)」の2種類があります。

さらに、決済にはSuicaやnanacoのように「カードタイプ」のものか、「スマートフォンでかざすタイプ」の2つの方法があります。

オンライン決済サービス

オンライン決済サービスは、クレジットカード情報や銀行口座情報をEC販売事業者に直接伝えずに決済できる方法です。

EC販売事業者と消費者の間に決済事業者が入ることから、「第三者支払いサービス」とも呼ばれています。日本では馴染みがあまりない決済方法ですが、海外では「Paypal(ペイパル)」や「Stripe(ストライプ)」がよく利用されています。

代金引換

代金引換(代引き)は商品を受け取ったタイミングで料金を支払い、宅配業者が代金を回収する決済方法です。

消費者はクレジットカードや銀行口座の情報を送信せずに購入できるため、安心感があります。海外全体でみると利用率は低いですが、台湾を含めた一部の国・地域をターゲットにする場合は導入しておきたい決済方法です。

コンビニ払い

コンビニ払いは商品に同梱されたコンビニ払い用紙で支払う場合や、QRコードやシリアルナンバー等の決済画面をコンビニへ持ち込むなどして決済する方法です。

代金引換同様に、クレジットカードや銀行口座の情報を販売事業者へ送信したくない方にとっておすすめです。コンビニ払いは海外では一般的ではありませんが、台湾を含めた一部の国・地域ではよく利用されています。

口座振込

口座振込は指定した自分の口座から代金を振り込む決済方法です。

銀行やATMからだけでなく、ネットバンキングを通じてオンラインで支払うことができます。日本ではよく知られている決済方法ですが、海外ではあまり利用されていません。

越境ECの市場規模(トップ10)

ECモールはどういった国が盛り上がっているのか、市場規模を見ていきましょう。

下記は2019年と2020年において、BtoC-EC市場規模のトップ10を表したグラフです。

国別EC市場規模

出典:経済産業省「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」

越境ECの市場規模が最も大きいのが「中国」2兆2,970億USドルです。続いて「アメリカ」7,945億USドル、「イギリス」1,804億USドル、「日本」1,413億USドルの順となっています。

1位の中国の市場規模と2位の米国を比べると、約3倍以上の差があります。

 

「越境EC市場規模の推移」や「越境ECの今後の予測」について知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

拡大し続ける越境EC!世界・国別の市場規模や今後の予測を徹底解説

2022.03.31

越境ECの決済方法ランキング(米中)

越境ECの市場規模トップ10を紹介しましたが、群を抜いて市場が大きい「中国」と「アメリカ」の人気の決済方法について紹介します。

中国の決済方法

下記はJETRO(日本貿易振興機構)で2017年に発表されたデータです。

・第三者決済(82.9%)
 支払宝(アリペイ)、微信支払(WeChat Pay)など
・ネットバンキング(65.3%)
 クレジットカード、デビットカード
・クイック支払(53.8%)
・携帯電話(52.6%)
・現金引換(49.7%)
郵便局・銀行振込(14.4%)
商品券およびプリペイドカード(9.0%)
その他(0.6%)

参考:JETRO「中国の越境EC」

中国は偽札問題があり現金は信用されていないため、第三者決済が非常に人気です。ネットショッピングだけに限らず実生活において利用されているため、何カ月も現金を使ったことがないというのはよくあることです。

そのため中国での展開には「第三者決済」「クレジットカード」「デビットカード」の決済サービスは導入するべきといえます。

アメリカの決済方法

続いては、経済産業省が2017年に発表した、アメリカ消費者のEC上での決済手段の割合データです。

アメリカ消費者のEC決済手段で最も多いのが「クレジットカード(55%)」です。続いて「デビットカード(25%)」「Paypal(12%)」となっています。アメリカへのEC出店(出品)において、この3つの決済方法は欠かせません。

アメリカ消費者がEC利用でカードやモバイル決済を好む理由は以下の通りです。

・より速く簡単に支払えるため(34%)
・セキュリティの安全を信用しているため(26%)
・ポイント等の特典を得られるため(21%)
・財布に現金を入れる必要がないため(19%)

利便性が高いカードやモバイル決済が人気ですが、セキュリティの安全を確保できないECサイトに関しては購入率が減少する傾向にあります。そのため、自社構築サイトや人気があまりないECモールでの出店(出品)する場合は注意する必要があります。

参考:経済産業省「平成 29 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」

決済サービス選びのポイント

越境ECの決済方法はさまざまあるとお伝えしましたが、闇雲に導入すればいいというわけではありません。

ではどういった点に気を付けるべきなのか、3つのポイントを紹介します。

≪決済選びの3つのポイント≫
・ターゲット国に適した決済サービスの導入
・クレジットカードは基本的に導入
・信頼できる決済代行会社と契約する

ポイント①ターゲット国に適した決済サービスの導入

越境ECの決済方法は国・地域によって大きく異なるため、対象国・地域に合わせた決済サービスを導入することです。

決済サービスが満足するものでなければ、いくら魅力的な商品でも購入には至りません。普段使い慣れている決済方法であるか、価格・年齢・性別によって決済方法を使い分けているのかなどを、ターゲット国の事情をリサーチしたうえで決済手段を選定しましょう。

ポイント②クレジットカードは基本的に導入

どの国においても決済利用者いるため、クレジットカード決済は必ず導入しておくべきことです。

クレジットカードの所持人口が少ない国・地域もあれば、クレジットカードの利用率が最も高い国・地域と差はありますが、利便性が高く機会損失を防ぐため必ず導入しておきましょう。

ポイント③信頼できる決済代行会社と契約する

決済会社と個々で契約するのではなく、決済代行会社と契約することです。

各決済機関と契約すると手間や時間がかかりますが、決済代行会社を利用すれば売上をまとめてくれたり、振込日を同日してくれるなど管理がしやすくなります。

また、決済代行会社は信頼できる業者かどうかしっかり見極めることです。セキュリティーが甘いと消費者の個人情報を漏洩させてしまったり、人的ミスした場合の対応が悪かったりとトラブルの原因になってしまいかねません。

まとめ

今回は、越境ECを展開する際に悩む「決済サービス方法」や「決済サービス選びのポイント」について解説しました。

ターゲットとする国・地域、年齢、性別、販売金額などさまざまな条件によって適した決済方法は異なります。そのためターゲットとする属性を明確に設定し、適した決済方法を用意していきましょう。

 

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