免税店になるには|登録メリットや申請方法、手続書類や費用を解説!

「訪日旅行客」が急増しています。2018年に日本を訪れた観光客の数は約3,120万人。日本での消費額は4兆5190億円となり、人数でも金額でも過去最高を記録しました。

とりわけ最も多く使われるのがショッピングです。2018年の買物代は1兆5763億円で、全体の消費額に占める構成比も35%近くとトップ。訪日外国人1人当たりの支出額は約153,000円で、そのうち買物に使われる金額は5万円を超えました。

そこで注目したいのが免税店制度。免税店になれば消費税の負担はゼロになり、多くの訪日客を引きつけることができます。審査は書類のみ。小規模店舗でも無料で申請が可能です。免税店登録のメリットや申請方法を解説します。

免税店とは

いま日本の免税店(消費税免税店)が急増しています。観光庁の発表によれば、2019年10月1日時点の日本全国の免税店数は52,222店。2014年10月は9,361店だったので、わずか5年で5倍以上に増えた計算です。

免税店とはどのような仕組みで、どのような条件があるのでしょうか。免税店になることのメリットも含めて解説します。

観光庁「都道府県別消費税免税店数(2019年10月1日現在)について」

免税店の条件

「免税店」とは、税務署の許可により、商品販売時に消費税を免除できる店舗のことをいいます。いくつかの条件があり、まず販売対象となるのは外国人旅行者や非居住者に該当する日本人です。

「輸出物品販売場」の許可を受けた店舗であれば、特定の物品(免税対象物品)について、定められた方法(指定された包装で梱包し、購入者誓約書、購入記録票を作成)で販売する場合に限り、免税が認められます。

基本的には、国外へ持ち出すもので、通常生活の用に供される物品(一般物品、消耗品)が対象です。その他、同じ日に、同じ店舗で、同じ人が5,000円以上を購入した場合など、いくつかの条件があります。

なお2020年4月からは電子化されることが決まっており、購入者誓約書や購入記録票の作成手続きが廃止になります。購入記録情報をネット等を通じて提出するだけでOKになるため、より便利になります。

免税店になるメリット

続いては免税店になることのメリットです。税務署から認められて免税店になると、どのようなメリットがあるのでしょうか。主に3つのメリットをご紹介します。

免税店シンボルマークの使用が可能に!

申請をすることで「免税店シンボルマーク」が使えるようになります。公的なマークなので信頼もあり、店舗に掲示したりパンフレットに掲載したりすることで免税店としての認知が広がります。

また、日本政府観光局(JNTO)が運営する免税店情報発信サイト「Find Tax-Free Shops」や観光情報アプリ「Japan Official Travel App」に自社の店舗情報が掲載されるのも大きなメリットです。

Find Tax-Free Shops
Japan Official Travel App

消費税ゼロが差別化になり、集客力が向上!

同じ1万円の商品を購入するにも、普通のお店なら11,000円になるのに対し、免税店なら1万円です。お店の努力で値下げをしなくても、免税店としての認可を受けるだけで、値引きと同様の効果を打ち出すことができるのです。

5,000円以上の購入が必要のため顧客単価がアップ!

免税が認められる条件の1つに「購入額が5,000円以上」というルールがあります。少額のお土産を買おうとしている人でも「5,000円以上にすればお得になる!」との顧客心理がはたらくと言われています。結果として購入単価の向上が期待できるわけです。

免税店になるための申請手続き

それでは具体的に免税店になるための申請方法を説明しましょう。申請方法や必要な書類、審査される項目や費用と期間についても解説します。

申請の方法と手順

免税店の申請方法は簡単です。申請の場所は、納税地(会社の本店所在地や主たる事務所の所在地)を所轄する税務署です。「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」を記入して2通を提出します。

注意点は、許可を受けたい店舗ごとに申請が必要だということです。例えば大阪の店舗の申請でも、本店が東京にあれば東京の税務署に申請をする必要があります。

輸出物品販売場許可申請書(一般型用)

申請に必要となる書類

申請に必要な書類は上記の「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」ですが、他にも資料を求められるケースがあります。国税庁のウェブサイトに「添付書類自己チェック表」があるので、チェックしておきましょう。

具体的には、会社案内やウェブサイト、店舗の見取り図とスタッフの配置状況、免税販売手続の社内マニュアルや取扱商品のリストなどがあります。

輸出物品販売場許可申請書添付書類自己チェック表(一般型用)

審査の項目と期間

免税店申請では、次のような項目が審査されます。

(1) 消費税の課税事業者かどうか。
(2) 国税の滞納がないか。
(3) 店舗の場所は、非居住者の利用が見込まれる場所にあるか。
(4) 免税販売手続に必要な人員と、そのための設備が整備されているか。

なお非課税事業者の場合、税務署に申請することで課税事業者となることができます。また「免税販売手続に必要な人員」の外国語の能力については、特別に流暢である必要はなく、パンフレット等を使いながら手続きが説明できる程度で良いとされています。

「設備」については免税販売の手続きが可能な状態であればよく、免税販売のためだけの特別なカウンターを設ける必要までは求められていません。

審査に要する期間は早ければ2週間程度です。免税店申請が承認されると「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」の控えが返送されてきます。これをもって免税店になることができます。

申請費用は無料!代行業者も

免税店申請にあたっては、どれくらいの費用がかかるかを心配する人もいるかもしれません。申請は無料です。申請や登録にあたって高額な費用が請求されることはありません。書類審査だけなので、手続きはとても簡単です。

なお、「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」の記入や提出を代行してくれる業者もいます。税理士や専門の代行業者にお願いする場合は、それぞれ代行費用が発生します。

しかし申請書の記入や書類の整備は簡単なので、まずは記入すべき内容や整備すべき書類などをチェックするところから始めてみましょう。

免税店の申請における注意点は?

すでに説明してきた通り、免税店の申請は簡単です。申請書を記入し、必要な書類とともに提出すれば、早くて2週間で結果が出ます。最後に注意点を2つほどご紹介します。

シンボルマークの利用には申請が必要

免税店申請のメリットの一つは「免税店シンボルマーク」が使えるようになることです。しかし「免税店シンボルマーク」には別途の申請が必要なので注意しましょう。

方法は簡単です。免税店の許可を得た上で「免税店シンボルマーク申請事務局」へウェブ申請をするだけです。以下の3点を用意すれば、2週間から1ヶ月程度で承認作業が行われます。

(1) 免税店シンボルマーク使用申請書(別記様式第1-1号)
(2) 免税店一覧(別記様式1-2号)
(3) 輸出物品販売場許可書の写し

免税店シンボルマーク申請の手引き

一般型消費税免税店と委託型消費税免税店の違い

ここまで紹介してきた免税店申請は「一般型消費税免税店」と呼ばれるジャンルについて取り扱っています。これとは別に「委託型消費税免税店」という種類の免税店もあります。手続きに必要な書類や許可の条件が異なるので注意しておきましょう。

「一般型消費税免税店」は、その店舗が独自に免税販売手続きを行うというスタイルのお店です。多くの店舗の場合は、これが当てはまるのではないでしょうか。

それに対し「委託型消費税免税店」は、ショッピングセンター(大規模小売店舗)や商店街(商店街振興組合や事業協同組合)など、複数のお店が合同で免税店になるケースを指します。免税販売手続きを代理する業者が「免税手続きカウンター」を設置し、複数店舗の免税販売手続きを代行するというスタイルです。

今回は「一般型消費税免税店」の免税店申請について解説をさせていただきました。

免税店の申請は簡単、インバウンド強化でビジネスチャンスを!

免税店の申請について、申請方法や手続書類、申請に要する費用などについて解説してきました。申請は簡単にできること、また免税店登録のメリットも複数あるということがご理解いただけたのではないでしょうか。

訪日旅行客の数は増えており、2018年には約3,120万人と過去最大に。訪日外国人1人当たりの買物代も5万円を超えるなど消費は活発です。大きなビジネスチャンスだと言えるでしょう。

そんな外国人需要に応え、インバウンド対応を強化するためにも、小売店ならぜひ検討したいのが免税店への登録申請です。小規模な店舗でも無料で簡単に申請することができるので、ぜひ検討されることをおすすめします。