【日本・世界】コロナウイルス現在の状況|業種別の感染症対策まとめ

新型コロナウイルスは中国武漢市で発生してから、約一年が立った今もなお感染力は増してきています。そして2020年12月には感染力が高いと言われる変異種が世界各国で発見されています。イギリスやアメリカではワクチン接種が始まってきていますが、変異種に対してワクチンの効果があるのか、いたちごっこになってしまうのか、収束するまで長期化を覚悟する必要があるかもしれません。

感染症が長期化すると多くの業界で事業継続は難しいものとなり、さらなる経済悪化となってしまいます。しかしこのピンチの時期をチャンスと捉えて一歩ずつ進んでいくことで、将来的に大きく成長できる可能性もあります。

そこで今回は明るい未来を取り戻すために、「今すぐできるコロナ対策」と「客足が戻ってきた際に他社と差別化できるようにする」ための方法を紹介します。具体的には業種別では

  • どのような感染対策をとっているのか
  • どのような新しい取り組みを始めているのか

についてです。他業種の対策内容を知ることで、新しい発見や新たな取り組みのヒントに役立てていただければ嬉しいです。未来はどのように変化していくのか予想しながら、準備を整えていきましょう。

日本と世界のコロナ状況


新型コロナウイルスの影響で株価の暴落、失業率の増加、生活や事業を維持していくのが厳しい状況が続いています。ニュースやインターネットでは多くのコロナ情報が飛び交っているため、現状を把握しきれていない方も多いのではないでしょうか。まずは日本と世界は現在どのような状況になっているのかを見ていきましょう。

日本のコロナ状況


出典:SmartNews「新型コロナウイルスリアルタイム状況(日本)1/7時点」」

2021年1月時点の日本の新型コロナウイルス感染症者数は27万人、回復者数21.3万人、死亡者数3,904人となっています。上記のグラグを見て分かる通り、寒い冬になるにつれて感染者数、重症者数、死亡者数は加速してきています。

医療現場ではコロナ患者が入院するコロナ病棟だけでなく、食事や排せつ、着替えなどの介護業務や通常業務、感染症以外の患者が搬送されることもあります。そのため医療資源(病床数や医療スタッフ)が足りていない地域が出てきているため、感染者の搬送先や入院先を見つけることが困難となってきました。

そのように医療現場では休みもなく激務に追われ、さらに感染リスクが高いことから、退職希望者が多く募っていることも合わさって、医療崩壊の危機に迫っているのです。

企業は感染拡大を防ぐことを目的としたリモートワークが急遽導入されてから、半年以上が立ちました。そのため2020年は「テレワーク元年」と言われる年でしたが、テレワーク実施率は全国平均25%程度と低いのが現状です。これには「仕事とプライベートの切り替え」や「生産性の低下」、「自宅でできる業務内容ではない」などが理由となっています。

世界のコロナ状況

外務省:新型コロナウイルス国別感染者数の推移(12/18時点)

2020年12月18日時点の世界の新型コロナウイルス感染症者は8,800万人にも及びます。その中でも最も多い感染者となっているのが、アメリカ(2,170万人)です。次いでインド(1,040万人)、ブラジル(787万人)、ロシア(327万人)、イギリス(284万人)の順となっています。死者数が多い国も先ほどとほぼ同じ順位で、アメリカ(36万人)が第1位、次いでインド(15万人)、ブラジル(19万人)、ロシア(5万9,137人)、イギリス(7万7千人)となっています。

日本は臨床試験など手続きがまだ終わっていませんが、2020年12月から世界でいち早くワクチン接種が開始されたイギリス、感染者が最も多い国アメリカなど、各国で供給と準備が整ってきています。世界各国で新型コロナウイルスのワクチン臨床試験の中間報告でしたが、次々と使用許可が下りたのには理由があります。

それは感染力が最大70%高いと言われる変異種がイギリスや南アフリカで見つかったためです。その他に日本を含めたタイなど、38の国と地域で確認されています。これまで感染者の抑え込みができていたタイやインドネシアなどでは、この変異種の確認、クラスター、感染経路の変化によって再び感染者が増加しています。累計感染者が少ない国や地域でも第2波や第3波が来る可能性があるとして、緊迫感が増してきている状態です。

コロナ禍による訪日外国人の推移


JNTO(日本政府観光局)のデータによると、新型コロナウイルス発生以前の訪日外国人客数は、2017年2,869万人、2018年3,119万人、2019年3,188万人と順調に増加し、2020年は4,000万人を目標に受入体制を整えてきました。

しかし新型コロナウイルスが発生した2020年は、397万人の前年比87.5%減という結果に終わりました。2019年11月の訪日外国人観光客数は244万人でしたが、入国規制が厳しくなった2020年11月は5万人で、前年同月比97.7%減となっています。

年度          訪日外国人観光客数     
2017年 28,691,073人
2018年 31,191,856人
2019年 31,882,049人
2020年(目標) 40,000,000人
2020年(実際)   3,973,096人

業種別の新型コロナウイルス感染症対策


お客様も働くスタッフ側も個人でできる感染症対策は「手指消毒」「手洗い」「うがい」「マスクやフェイスシールドの着用」「三密(密閉・密集・密接)を避ける」「不要不急の外出はできるだけ避ける」「席エチケットを心がける」は今では当たり前となりました。

お店や店舗など事業を行っている場合は先ほどの項目に加え、「体温測定」「健康チェック」「お店や施設内でのアルコール設置」「定期的な消毒」「一定の距離が保たれるような注意書き」「換気」は徹底していることが多いです。その他にどのような対策が取られているのか、業種別の感染対策方法を紹介していきます。

飲食店

■仕切り(パーテーション)の設置
テーブル、カウンター、座席間、受付、会計スペースに仕切り(パーテーション)を設置し飛沫感染防止をすることです。向かい合わせで仕切りが置けないスペースの場合は、対角線上に座るような椅子の配置となっています。

■店外での飲食提供コードを読み取る
三密(密閉・密集・密接)を避けるため、店舗敷地のテラスや路上にテーブルやイスを配置して新たな提供スペースを確保することです。衛生管理・騒音・臭気の発生などがあることから設置場所や設置規模には条件があるため、国土交通省などのサイトで確認することや営業許可の申請が必要となります。

■テイクアウト(持ち帰り)・デリバリー(宅配)
以前まではテイクアウトやデリバリーサービスは行っていなかったレストランでも専用メニューを考案し、新しいサービスを開始しています。その際にお店で提供していたビールやワインなどのアルコール類と一緒に販売することで売上アップに繋げることが可能です。

テイクアウトやデリバリーには自社サイトでオーダーできるだけでなく、UberEATSや出前館などのサービスも数多くあります。注文から決済までオンラインで全て完結することができ、テイクアウトの場合はピックアップのみで行うこともできます。

■ミールキット
外出しなくても家庭でレストランの味を手軽に味わえるのがミールキットです。ミールキットを利用することで食べたい物の材料が注文ボタン一つで揃えられ、料理は温かいまま食べられます。特に伸びてしまいがちな麺類、冷えて硬くなってしまうピザなども、おいしい状態で味わえるのがメリットです。

学校閉鎖などで自宅で過ごすことが多くなった子供と一緒に調理が楽しめるキットや、ミシュランなど高級レストランが販売する贅沢なキットと、飲食店を救う新たなサービスとなっていくでしょう。ミールキットは店舗での購入はもちろんですが、UberEatsなどのデリバリーサービスを利用することで、一歩も外に出ずに食べられるのも魅力的です。

■食品廃棄を格安販売やコロナ支援で配布
経営不振での閉鎖や一時閉店を余儀なくされた店舗では、食材ロスになってしまい破棄を防ぐため、格安で販売を行ったり、失業した方や生活が厳しい家庭へのコロナ支援として無料で配布する活動を行っています。

■紙メニューの廃止
紙のメニューから電子メニューへの切り替えです。これまでメニューは紙に記載されたものが当たり前でしたがその場合、感染防止策のためメニューを定期的にアルコール消毒する手間が必要となっていました。しかし店内に置かれたQRコードを読み取ることで自分のスマートフォンからメニューを閲覧し、従来の紙メニューを廃止することができます。

さらに注文から会計までもできるため、感染対策、業務効率、コストの削減、多言語対応を行うことも可能となります。飲食店でのメニュー以外にも病院での記録用紙など紙を使用したい場合は、金属イオンなど抗ウイルス作用を持った特別な用紙を使用することで、99%のウイルスカットができるものも中にはあります。

スーパーマーケット・小売店

■デリバリー(配達)
スーパーマーケットや小売店でのデリバリー(配達)サービスです。これまでもスーパーマーケットや小売店でデリバリー(配達)サービスはありました。しかしコロナ禍の中、生活に欠かすことのできない食品・日用品・医薬品を購入するため、混雑しているスーパーへの来店は感染リスクが上がってしまいます。コロナ禍で注文数が一気に増えるほど人気となっています。

■セルフレジの導入
来店客自らが会計を行うセルフレジです。ほとんどのお店では会計をレジスタッフが行うのが一般的ですが、従業員と客との接触を極力抑えるためにセルフレジが増加してきています。コンビニエンスストアは特に人材不足が問題となり、多くの外国人労働者が助け舟となっていました。しかしコロナの影響で母国へ帰国している人材も多いため、セルフレジの需要は高まっていくことでしょう。

宿泊・温泉施設

■貸し切りや時間制を設ける
宿泊施設内でスタッフ以外とすれ違うことがないよう、一棟や1フロア貸し切りにすることです。大浴場やレストラン(食事処)などでは時間制を設け、料理の提供時間や清掃時間を行うことができます。

■ビジネス環境を整える
個室であることを利用し、テレワーク対応ができるようなビジネス環境を整えていることです。出張や旅行での宿泊利用者が少ないため、別な用途として利用してもらうことで売上に繋げることができます。自宅では子供やペットがいるため集中できない人、オンオフの切り替えが難しいと感じる人からの需要があります。

■チェックイン・チェックアウト時の時間コントロール
チェックイン・チェックアウト時に密にならないように、顧客を誘導することです。宿泊施設を予約する際におおよその到着時間を入力することは以前もありましたが、コロナ禍になってからは密を避けるための対応に役立てることができます。厳密な時間コントロールは難しいため、どうしても混雑してしまう際には車で待ってもらうか、決められたロビー席に案内するなどの対策を行います。

博物館、美術館、展示会、劇場、イベント会場

■人数制限・歓声制限
三密にならないようにするため、人数制限を設けます。チケットの購入には事前予約や日時予約制をとることで、人数をコントロールすることができます。さらにオンライン事前決済やオンラインチケットによって、受付スタッフとの非接触が可能となります。劇場やイベント開催では大声での声援はマスク越しとなりますが、博物館や美術館などでは密にならない程度に人数制限を緩和している地域もあります。

■SNSなどでオンライン配信
作品を解説するためのテキスト・音声・動画を、YouTube、fulu、Zoomなど共有サービスを利用してオンライン配信を行うことです。オンラインを利用することで来店時間や来店人数に制限を設ける必要がなく、遠方でアクセスすることが難しいと感じていた人にも、いつでもどこでも楽しんでもらうことができます。

知識や関心を高めつつ、新たな集客ができる方法として注目を浴びています。さらにオンライン映像はVRを利用することで、実際に会場にいるような臨場感あふれる雰囲気を味わうことができるのも魅力です。

全ての業種に共通するウィズ・アフターコロナ対策


先ほどは業種別の感染対策を見ていきましたが、次はすべての業種に当てはまる感染対策を紹介していきます。

対策①リスク分散させる

インバウンド事業一本で行うのは危険なため、リスク分散をさせていくことが大切です。今回の新型コロナウイルスだけでなく、リーマンショックや東日本大震災などでもインバウンド需要は大きく落ち込んだ時期がありました。その他にもジャパンボイコットにより韓国人旅行者の減少、尖閣諸島問題により中国人旅行者の減少というように、特定の国からの観光客が激減したことで旅行会社などのインバウンド関連事業者にダメージを与えtこともありました。

このような事例を合わせてみていくと、限られたターゲットに焦点を当てすぎるのにはリスクが高いと言えるのです。事業を継続していくためにはターゲット国を増やすことやオンライン集客を拡大させるなど、新たな集客方法を考えていくことが重要となります。

対策②国内旅行者から囲い込んでいく

海外旅行者より、まずは国内旅行者から呼び込んでいくことです。コロナの感染が収束に向かっていっても、以前のような訪日外国人観光客数にはすぐ回復するとは限らないため、インバウンドビジネスのみを頼りにすることは経営が難しいと言えます。そのためこれまで海外からの観光客をメイン集客としていた事業者は、「国内から回復させる」という意識でビジネス戦略を練っていく必要があります。

例えばカラオケ店や宿泊施設では個室であることを活用して、Wi-Fiや電源コンセントを完備しテレワークができるビジネス仕様にしたり、火やガスが使える場所であればオフライン・オンラインで少人数のお料理教室を開くなど、空間をどのように生かしていくかがポイントとなります。

対策③SNSで情報を発信する

国内・海外の両方の顧客に向けて、SNSで発信していくことです。ウィズコロナであれば商品やサービスの魅力、スポット情報、価格情報以外にも、「どのような感染対策が取られているのか」「衛生面や安全性は確保できるのか」といった点を心配している声が多くあがっています。

実際に行ったことのない場所や使ったことのない商品・サービスの魅力を伝えるためには、まずは自社サイトで文字や写真を投稿するのが一般的です。しかし今の時代YouTubeやInstagramなど世界各国で簡単に繋がれるSNSを利用することで、多くの人に情報を発信することができます。SNSの種類によって年齢層や趣味などの属性が大きく異なることから、幅広い層にリーチさせることができるだけでなく、情報が拡散されやすいのも大きなメリットとなります。

訪日外国人向けであればスポットや商品の紹介だけでなく、食べ方や使い方のマナーなど、日本の文化を学べるものとして有益な情報を発信するのも良いでしょう。費用はかかりますがアニメーションに乗せて発信することで、子供から大人まで楽しめるコンテンツを作成することができます。

対策④キャッシュレス決済を導入

キャッシュレス対応を行うことです。日本ではクレジットカード、電子マネー、モバイル決済(QRコード)などのキャッシュレス決済比率は20%程度ですが、主要国は平均40%~60%と大きく差があります。日本政府は2025年の決済率を40%、将来的には80%を目指しているものの、都市部より地方部の方が深刻な高齢化社会となっているため、キャッシュレス利用人口は増加しにくい傾向にあります。

しかし現金を触らないキャッシュレス決済を行うことのメリットは多くあります。例えばコロナウイルスやインフルエンザなどの感染リスクを防ぐこと、訪日外国人観光客の購買意欲促、レジ締めの作業時間や現金紛失などのトラブル減少に繋げることができます。

新型コロナウイルス発生以前の訪日旅行者の動向として、東京や大阪といった都市部よりも、自然溢れる地方部の人気が年々に高まってきています。今後の旅行先を決める方法として「密を避けた行動をとること」「自然や歴史、文化を味わえる地方で過ごす」人が多くなっていくため、都市部・地方部ともにキャッシュレス決済を導入する事業者は増加していくことでしょう。

見方や思考を変えて、新しい取り組みを行っていこう

今回は「現在の新型コロナウイルスの状況」と「業種別の感染症対策方法」を中心に紹介しました。新型コロナウイルスの発生によって、「100年に1度の危機」と言われるほど経済や生活が180度大きく変わりました。感染症予防策のために日常生活や働き方を大きく変えた「新しい生活様式」は、収束していく間は長期にわたり続いていくと予想されます。

事業を行っている方は柔軟な考えを持ってビジネス戦略を練っていくために、他業種のやり方をヒントにして取り組んでいくことが必要となってきます。国や自治体の補助金・助成金などの支援制度をうまく利用しつつ、固定観念にとらわれず新しいことをどんどん取り入れていきましょう。

 

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