世界で利用されているスマホアプリはさまざまありますが、その中でも中華圏で生活になくてはならない存在となっているのが「WeChat(微信)」。このアプリがインバウンド市場にどう影響をあたえるのでしょうか。今回は「WeChatが中華圏の人に使われる理由」「WeChatの機能」「インバウント向けにお店に導入するべき理由」をご紹介していきます。
目次
WeChat(微信)とは?
世界中ではさまざまなSNSアプリが利用されています。例えばFacebook、Twitter、Instagramなどが代表的なSNSアプリになります。
日本ではあまり聞きなれないですがWeChat(ウィーチャット=微信)は中国・台湾・香港の中華圏3か国が主に利用する、中国版「Line」のようなものです。月間ユーザーは10億万人を超え、モバイル決済では年間7億円を超えていると言われるほど中華圏の生活には欠かせない巨大SNSアプリです。
中国ではスマホQR決済が使えないところがないというほど利用できる場所が急激に増え、WeChat Pay(ウィーチャットペイ=微信支)とAlipay(支付宝=アリペイ)の2つのアプリがシェアを争っています。
訪日外国人がWeChatを使用している理由
中国では世界的に使われるSNSアプリは政治的要因などにより利用制限がされていますが、中華圏(中国・台湾・香港)の人それぞれに共通しているのが「WeChat」の使用です。なぜWeChatが選ばれているのか詳しくご紹介していきます。
台湾・香港で使用される理由
台湾の場合主なSNSアプリは日本同様にLineになります。WeChatも使用しますが、台湾国内であまりプロモーションをしなかったためLineユーザーが多いと考えられています。しかしコミュニケーションや支払いツールとしてWeChatを使用するため、両方のアプリを利用している状況になっています。
香港の場合も台湾同様、コミュニケーションツールや支払いツールとして利用しているものの、メインはFacebookやWhatsAppと別なSNSアプリを使用しています。
中国で使用される理由
一方で中国の場合は「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる中国政府によって運営された検閲システムあることで、Lineなどの外部SNSの利用ができない=中国国内で開発・運営されているWeChatを使用しています。
このシステムの機能は、外部からの不正アクセスの防止・サイバー攻撃により国内内部のネットワーク犯罪をさせないために、外部からのアクセスを全てブロックしています。
よって中国国内にいる全ての人が中国国外の情報を「閲覧・投稿・アクセスできない」ということになります。システムは24時間監視されているため、利用を試みると瞬く間にブロック(閲覧不可)されてしまいます。
中国国内で利用できないサイトは下記になります。
・SNSアプリ(Facebook、Twitter、Instagram、WhatsApp、Line など)
・動画サイト(YouTube、ニコニコ動画 など)
・検索サイト(Google、Yahoo! など)
・ニュース(政治的問題、批判的内容、中国にとって都合が悪い内容、他の国の文化情報 など)
・アダルトサイト
・宗教サイト
しかしこのシステムを使う理由は、ネガティブなことだけではありません。中国国外からライバルが入れないため、中国国内で市場を独占できるということです。WeChatやウェイボー(中国版Twitter)などのIT企業が急激な拡大成長を遂げ、国内ライバルで品質向上につながることができた良い例もあります。
生活する中で使う頻度が高い
中国圏内特に中国では、WeChatは生活に欠かせない存在です。友達同士や家族でのプライベートだけでの連絡手段に限らず、学校での資料配布やコミュニティイベント、名刺に自分のアカウント情報を記載してビジネスや出張においても利用している人は数多いです。
現金と財布は不要なキャッシュレス社会
WeChatではモバイル決済機能が充実しています。キャッシュレス拡大化が進みモバイル決済が6割以上を占めているとも言われる中国では、中国人の40%が100元(約1,500円)以下しか現金を持たないほど、現金を持ち歩かなくても十分に生活ができる環境が揃っています。
WeChatを利用するメリットとしては「おつり(小銭)が不要」「割引特典」「偽札の回避」の3つが主にあげられます。その他の良い点はATMで都度現金を降ろす必要が無く、スマホをかざすだけでデビットカードのような即時決済が手軽にできることです。近年ではスマホすら不要の顔認証決済も普及されています。
加盟店の手数料を実質ゼロで審査も不要なため、販売側も簡単に設置することができる両方へのメリットがあります。
WeChatにはどんな機能があるのか
WeChatはLineと似ているSNSアプリで連絡を取りあうコミュニケーションツールだけの利用にとどまらず、生活を充実させる機能が備わっています。どんなものがあるのかご紹介していきます。
メッセージ
ラインやメールと同じくテキストでのメッセージ作成や、写真・動画・ボイスメッセージの送受信ができます。グループチャットでは最大500人のチャットが可能です。メッセージは簡単に20以上の言語を翻訳する機能があります。
無料通話・無料動画通話
Wi-fiを利用すれば通信料がかからず無料通話や無料動画通話が可能です。Wi-Fiを利用しないまま通信料での通話利用も可能です。
モーメンツ
ラインで言う「タイムライン」機能で、テキスト・写真・動画などをアップし友達へ共有することができます。
ステッカーギャラリー
ラインで言う「スタンプ」機能で、テキストと合わせてアニメやキャラクターのスタンプを送受信することができます。
シェイク
ラインで言う「ふるふる」機能で、互いのスマートフォンを振るだけで相手との連絡先が交換できます。
WeChat pay(微信支付=ウィーチャットペイ)
モバイル決済(スマートフォン決済)機能です。支払可能な場所はコンビニ・スーパー・飲食店・電車・バス・カラオケ・タクシー・カラオケ・レンタル自転車など、あらゆるシーンで使用することができます。
Red Packet(紅包)
ほかのSNSアプリにはない世界でも珍しい「ご祝儀」機能です。ご祝儀やお年玉など、お祝いや感謝の気持ちを伝える時に利用します。食事の割り勘にも手軽に200元(約3,500円)までWeChat間で送金することができます。
送金
友達登録している相手に、WeChat間で送金することができます。
ミニプログラム
アプリの中に小さなアプリが入っているようなイメージで、経済や生活などのニュース情報・音楽・ゲーム・買い物・バイクのレンタルなどができます。さらには公共バスの時刻などを調べられ、検索サイトの役割をも果たしています。
WeChat Payをインバウンドで導入するといい理由
旅行消費額の割合は国籍別で言うと中国が6割、その他として台湾・韓国・香港の順になっています。WeChatは約12億人ほぼ全ての中国人がアカウントを取得している高いシェア率です。
生活には欠かせない存在となっているため、それを旅行先の日本でも使えるのは安心感と手軽さから満足度をあげることに繋げることができます。
お店(販売)側の手続き・オペレーションが簡単
準備にはタブレット端末を用意し、専用決済アプリをダウンロードするだけです。そして決済をする際には、まず代金を打ち込みスマートフォンに表示されたQRコードを読み込むだけと準備から決済まで簡単にできます。
現金を取り扱わなくていいので、日々の現金管理などスタッフのオペレーションも最小限に抑えることができます。
事前のチケット販売が可能
「ミニプログラム」機能を利用し、遊園地や温泉施設などの入館料を事前に決済することが可能です。訪日外国人が当日チケットブースで長蛇の列に並ぶことなく、さらに言語の不安を抱えることがないままストレスフリーで施設を利用することができます。
施設内にあるお土産売り場などの支払いにもWeChat Payの導入をすることで、訪日外国人にとって使い慣れない日本円の使用に時間をとられることがありません。そういったことは販売店での混雑を避けスタッフの負担も減らせるため、訪日客・お店側にとってもとてもメリットがあるでしょう。
クーポンや情報発信
公式アカウント(企業側)からフォロワーへ向けたクーポンやメルマガを発信することができます。フォロワーだけのお得なクーポンやメルマガを配信することで新規来店・再来店へと繋がり、公式アカウント内にてショップページを置くことで帰国後の購入と日本を滞在中でない時間も長く利用してもらえるでしょう。
インバウンド向けWeChat Payの活用場所
訪日外国人のためでもあり販売側にもメリットがあるWeChat の活用場所は、多くのシーンで取り入れることができます。参考例は下記の通りです。
・ドラッグストア
・スーパー
・お土産売り場
・空港
・遊園地
・温泉地
・電気屋
・免税店
・飲食店
・宿泊施設
・博物館や美術館等の施設
・公共施設やタクシーなどの乗り物 など
訪日外国人向けにはWeChat Payの導入で囲い込め
中国巨大SNSアプリWeChat(微信)を導入する理由について解説いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
訪日外国人向けのプロモーションに使わない理由はないWeChat Pay(微信支付)です。年々増え続ける訪日外国人、特に中国人は購買意欲もあり平均使用単価が高い傾向があるため、彼らへ向けた広告には効率よく売上アップに期待できそうです。
そしてWeChat Payの導入で他店と差別化を図り、顧客満足度・売上ともに上昇させていきましょう。