「Airbnb(エアービーアンドビー)」とは世界最大級の旅行コミュニティプラットフォームで、簡単に言うと民泊の大手仲介会社です。Airbnb、民泊ともになんとなく知っている方はいても、実際に利用したことがないから「具体的な特徴や良さはよく分からない」という方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では
- インバウンド対策のために、今Airbnbを運用するべき理由
- 2021年に100項目以上アップデートした機能とは
- 外国人から予約殺到している、日本で人気の宿泊先
などAirbnbについて詳しく紹介していきます。
目次
民泊サイト「Airbnb」とは
ここ10年で訪日外国人旅行者数が毎年増加傾向にあり、そしてコロナ禍である今、民泊のAirbnbを運用するべき時代がやってきたと言えます。まずは「民泊とはホテルや旅館とどのような違いがあるのか」「Airbnbとはどのようなものなのか」について理解していきましょう。
そもそも民泊とは
「民泊(みんぱく)」とはもともと「一般の民家に泊まること」を指していました。しかしインターネット仲介サービスが数多くリリースされたことをきっかけに、留守にしている間の戸建住宅やマンション、別荘、投資物件などの「住宅の全部または一部を有料で貸し出すビジネスのこと」を民泊と呼ぶようになってきています。
日本語では「住宅民泊」、英語では「バケーション・レンタル」とも呼ばれています。「空き家を有効活用させるために貸したい人(ホスト)」と「ホテルとは違い現地の文化や生活を体験できる宿を安く借りたい人(ゲスト)」をマッチングさせる民泊サービスは国内外ともに注目を集めています。
都心部ではなく地方都市部をメインに訪れる訪日外国人が増加してきたことに伴い、ホテル施設を建設するも追いついていない地域が多いのが現実です。しかし民泊であれば宿泊スペースをすぐに確保できるだけでなく、少子高齢化社会で利用されなくなった空き家の有効活用や地域活性化に繋がるとして、民泊ビジネスに大きな期待が高まっています。
また消費行動や旅行トレンドが変化してきていることも民泊の需要を後押ししています。以前は生活用品・便利品・高級品などのモノの所持に価値を見出すための「モノ消費」=「爆買い」というキーワードが流行だった年もありましたが、旅先でのアクティビティやイベントに参加し非日常を体験する「コト消費」へと時代は変わってきました。
そして2017年頃からは訪れた国・土地でグルメやリラクゼーション、文化体験など“その時・その場でしか味わえない”「トキ消費」へと変化してきているのです。
民泊の魅力
ホテルや旅館、民泊とでは「どのような違いがあるの?」「利用シーンがいまいち分からない」と疑問に思う方も多いでしょう。民泊の魅力や利用できるシーン、Airbnbとはどういうものなのかについて紹介します。
【民泊の魅力】
①ユニークな宿泊施設で現地の生活ができる
ホテルは隙のない洗練された空間が魅力的ですが、民泊は現地でしか味わえない生活や文化を堪能しながら暮らすように泊まることができます。
②比較的価格が安い
同じ地域にあるホテルや旅館と比べると、価格は低い傾向にあります。料金相場よりも価格が高い場合は大人数でワイワイ宿泊できる広いスペースがあったり、プライベートプールやジャグジーが備わっていたりと、特別な価値が提供されていることが多いです。
③ゲストとホストが交流できる
宿泊施設によってはホストが同じ建物で生活していることもあり、ゲストとホストが気軽に交流をすることができます。ゲストにとってはその土地の文化や歴史、旅の情報を得られ、ホストにとっては地域の魅力を世界各国の旅行者に発信し地域活性化に繋げることができます。
【利用シーン】
①1人で利用
先ほどもお話ししたようにホストとゲストが同じ建物で宿泊する場合は、知らない土地へ1人で行っても全く寂しくありません。ホストと関りを持つことで旅行雑誌には載っていない有益な情報を得たり、旅の満足度を上げることにも繋がるでしょう。
②カップルや夫婦で利用
特別な日であればラグジュアリーな雰囲気を味わえる場所、思い出づくりには満点の星空が見える家やツリーハウスの家など、タイプ別に非日常を満喫できます。
③家族やペットで利用
お子様がいる家族やペットと一緒にいく2人以上の旅行では、まるまる貸切にした一軒家やヴィラでプライベートを堪能するのがおすすめです。周りを気にせず旅行を楽しめるので、BBQをしたり思いっきり走り回ったりすることができます。長期滞在する方には生活用や家電が部屋に備わったコンドミニアムタイプのお部屋も良いでしょう。
Airbnbとは
「Airbnb(エアビーアンドビー)」は略して「エアビー」や「エアビ」とも呼ばれ、アメリカ・サンフランシスコに拠点を置く、世界最大級の旅行コミュニティプラットフォームです。
宿泊施設を借りる利用者(ゲスト)はAirbnbのウェブサイトやアプリを利用して、本人登録、宿泊検索、宿泊予約、料金支払い、貸し出す側(ホスト)との連絡、レビューなどインターネット上で全て完結することができます。
宿泊施設を貸し出すためのホストになるためには、大きく分けて下記の3ステップとなっています。
- 自治体への届出(住宅宿泊事業法の施行に従った手続き)
- リスティングを作成(お部屋の説明・宿泊人数・写真の登録)
- ゲストを迎える(お部屋を掃除し必需品を用意)
ホストになるための手続き方法やステップの詳しい情報については、Airbnb公式サイトをご覧ください。
Airbnbのホストをはじめる方法
民泊の行い方・各自治体窓口の案内・民泊の登録方法・旅館業法など民泊についての詳しい情報は、国土交通省が運営する民泊制度ポータルサイト「minpaku」をご覧ください。
Airbnbがアップデートした機能とは
Airbnbは米国時間2021年5月24日に公式ウェブサイト・アプリ、コミュニティサポート、ポリシーなどホストとゲストのために100件以上のイノベーションとアップグレードを実施しました。具体的にどのような機能が追加・更新されたのでしょうか。
- 全体のアップデート
- ゲスト向けのアップデート
- ホスト向けのアップデート
の3つの項目に分けて、アップデートした100個の中から厳選して一部紹介していきます。
①全体のアップデート
新しい旅行のカタチに合わせた柔軟性ある検索方法の導入として、特に大きなポイントとなっているのは「柔軟な宿泊先検索」「柔軟なマッチング」「柔軟な日付設定」の3つの機能です。
■柔軟な宿泊先検索
これまでは宿泊したい国・地域を入力したり、地図で検索する方法でした。しかしユニークな宿泊先を探すため「ツリーハウス」「ビーチフロント」「キャンピングカー」「お城」のように、Airbnbがおすすめするカテゴリから検索できるようになっています。このようなユニークな物件は2019年から2021年にかけて94%増加し、件数にすると17万件以上にも及びます。
また草花が美しく咲く国立公園付近、オーシャンビューの景色、暖炉や薪付きなど宿泊先の魅力別に検索できる機能も付いています。
■柔軟なマッチング
これまでは宿泊したい国・地域・地図・カテゴリで指定した宿泊先が表示されていました。しかしそれらの指定条件から少し外れたリスティングを表示することによって、より多くのリスティングを検索することができます。例えば1泊1万円の予算でインフィニティプールが付いた物件であれば、1泊2万円と予算は超えるもののインフィニティプールにプライベートビーチが備わった物件も表示させる検索表示です。
■柔軟な日付設定
これまでは出発日~到着日まで1日単位で設定することが必要でした。しかし週末の短期滞在、1週間の休暇、1ヶ月以上の長期滞在まで幅広い日程での検索ができるようになっています。
②ゲスト向けアップデート
■分かりやすくシンプルな予約
宿泊先にはアメニティや設備(暖炉や薪を燃やすタイプか等)はどのようなものが揃っているのか、詳細説明が表示されるようになりました。また目的地に関連する観光スポット、宿泊先とAirbnb体験の位置関係がマップに表示されることで視覚的に把握しやすくなっています。
■Airbnb体験の多様性
Airbnbは宿泊だけでなくヨガや夜市散歩、クッキングなどの体験ができる「Airbnb体験」という楽しみ方があります。Airbnb体験は家族での参加がしやすいようなファミリー向け割引、障害のある方も楽しんでもらえるよう無料の料金設定、会社の仲間と一緒に参加できるグループ向け体験の予約ができます。また体験によっては特別なライセンスや保険加入の有無など、事前に把握できるポイントが増えました。
■旅行計画のアイディア
旅行計画のアイディアを提案されたり、「旅行」タブには旅行中に近くで楽しめるアクティビティを提案されることで、より充実した旅行ができる=つまり満足度が上がるような設計となっています。
③ホスト向けアップデート
■情報タブの管理
新しい予約のリクエスト、今後の予約、現在のゲスト詳細などクイックリンクが表示されることで、予約や日々のタスクを一箇所で簡単に管理できるホーム画面に生まれ変わりました。
■受信トレイの検索や自動メッセージ送信
受信箱に届いたメッセージをさまざまな検索条件でメッセージを探し出せ、以前より最大10倍速く読み込めるようになったことでスムーズに扱うことができます。
またゲストからよく聞かれる質問にはワンクリックで返信できるよう、パーソナライズされたクイック返信機能が追加されました。またチェックアウトの手順など自動でゲストにメッセージが送信される機能も加わり、より簡易的でスピーディーなやり取りが可能となっています。
■データから今後の戦略を練る
これまで宿泊したゲストの合計人数、ゲストが高く評価している点など通算実績を把握することができます。自社ではどのような点を強みにしていけばいいのか、改善していくべきなのか、データを見ながらビジネス戦略を練ることが可能です。また実績データはSNSでシェアもできることから、ダイレクトにゲストへPRすることができます。
インバウンド対策にAirbnbを利用するべき理由
コロナ終息後を見据え、インバウンド対策としてAirbnbを利用するべき理由は3つあります。具体的にどのようなことなのか紹介します。
理由①個人旅行客の増加
冒頭でもお話ししたように世界の旅行トレンドは「モノ消費⇒コト消費⇒トキ消費」、訪れる場所は「東京や大阪などの都心部⇒山や海、文化を体験できるような地方部」への人気が急増してきています。ウィズコロナ時代では人との接触や密をなるべく避けるためという理由も加わり、安心・安全に過ごせる地方部が主軸となってきています。
また旅行人数にも変化が見られています。モノ消費時代は大型バスに乗り団体行動が当たり前でしたが、安心・安全かつパーソナライズされた旅行をするためには、少人数で行動する個人旅行客(FIT)の割合が多くを占めているのです。
つまり航空券・宿泊・ツアーがセットになったパッケージプランを予約するのではなく、個々で訪れたい場所や時間を自由に決定できる個別での予約が一般化しています。ユニークな宿泊施設や現地ならではの体験をできる旅行が、さらなる人気となっていくことでしょう。
理由②空き家を活用する
日本経済新聞が発表した「2018年の住宅・土地統計調査」の資料によると、日本の空き家は848万9千戸、空き家率は13.6%と過去最高を記録しています。少子高齢化と人口減少社会が進めば、さらに空き家率が増加していくこととなります。
空き家を宿泊施設として活用することで「日本のリアルなライフスタイルを感じながら旅行したい」「リーズナブルに宿泊したい」という旅行者の声に応えることができるだけでなく、地域活性化にも繋げていけると大きな注目を集めています。
理由③旅行市場の回復に備える
訪日外国人旅行者数は2011年頃から毎年右肩上がりとなり、2019年には約5倍の3,188万人もの人々が日本を訪れていました。近い将来4,000万人を突破するとも言われていましたが、2020年の訪日者数は新型コロナウイルス感染症の影響により412万人にとどまりました。
とはいえコロナ終息後の訪日意欲は非常に高いことから、世界的に感染者数が減り以前のように他国を行き来できるようになれば、再び訪日外国人旅行者数が増加していくはずです。そのために今から宿泊施設の整備が必要となってくるでしょう。
【2020年】最も「お気に入り」に選ばれた日本の人気の宿泊先一覧
画像:Airbnb「Yui Valley-Tradition & Nature」
2020年にAirbnb宿泊先(リスティング)で最もお気に入り(ウィッシュリスト)にされた物件の特徴は、こたつやヴィンテージ家具が設置された古民家や、畳・庭園などの日本らしい雰囲気のある宿がランキング上位に入っている傾向にあります。
具体的には古さを生かしたレトロな建物の場合であれば、畳の上の布団ではなく厚みがあるベッドマットレスを利用し、建物や家の雰囲気にマッチさせつつ快適に過ごせる空間となっています。反対に真新しい家の場合にはあえて布団を敷き、着物や掛け軸など日本らしい一面を見せることで、文化をとことん味わえるような世界観へと作り上げられています。
このように「昔ながらの日本の良い文化」と「現代の快適な暮らし」を上手く融合させているのが、外国人にとって魅力的に映っているのかもしれませんね。
≪2020年 最も「お気に入り」に選ばれたトップ10≫
■Japan Charm&Tradition-Yui Valley(静岡県・藤枝市)
■J’s APT(東京都・葛飾区)
■Sanson Terraceー山村テラス(長野県・佐久穂町)
■Pine House(東京都・葛飾区)
■Shinjuku! Free Wi-Fi + Good Location + Clean Room(東京都・新宿区)
■Sakura River Inn I(京都府・京都市)
■apartment hotel TASU TOCO room1(東京都・杉並区)
■Shin-Osaka Nightingale on plum tree(大阪府・大阪市)
■Walk to Churaumi Aquarium thr Ocean Expo Park(沖縄県・国頭群本部町)
■Kyoto Guesthouse Bokuyado Mini Japanese Room(京都府・京都市)
参考:Airbnbニュース
【2020年】最も「予約」された日本のオンライン体験一覧
Airbnbは宿泊先だけでなくユニークな体験も数多く提供されています。現在、体験には下記3つのテーマが用意されています。
- ホストと直接対面して独自の世界を体験できる「近場の体験」
- ライブ配信で世界各国から参加できる「オンライン体験」
- トップアスリートと交流できる「オリンピアン・パラリンピアン」
2020年に日本で最も予約された体験トップ10は、コロナ禍により人との接触をしないオンライン体験が主軸となっていました。トップ10にランクインしたオンライン体験の価格帯は500円の手ごろなもの~3,000円前後と幅広く、所要時間は気軽に楽しめる45分~しっかり堪能できる90分までそれぞれでした。
≪2020年 最も「予約」された日本のオンライン体験トップ10≫
■Family Magic Show and Magic Lesson(2,800円~)
■日本の僧侶との瞑想(1,500円~)
■東京の酒蔵二十三代目当主から学んだビギナー向け日本酒入門(1,100円~)
■10か所以上の人気スポットをめぐる東京バーチャルツアー(1,800円~)
■京都の聖なる山で森林浴(2,000円~)
■Origami and the Essence of Japan(1,200円~)
■ユニークな古の神々が住む京都を探索しよう(1,850円~)
■1,200体の羅漢像が立ち並ぶ京都のお寺を散策しよう(1,900円~)
■地元の人と渋谷での一日(500円~)
■チェロ奏者と和尚による癒しのコンサート(707円~)
参考:Airbnbニュース
Airbnbの運営をサポートしてくれる会社
Airbnbだけに限らず民泊を運営するためには、大きくわけて「運営前の準備」と「運営中の業務」の2つを行わなくてはなりません。具体的には下記があげられます。
【民泊運営前の準備】
- 民泊新法に沿った書類作成、申請手続き
- 物件探し
- インテリアコーディネート
- 部屋や外観の写真撮影
- 料金やハウスルールの作成
- 民泊サイトアカウントの作成
【民泊運営中の業務】
- ゲストからの問い合わせ対応
- 宿泊料金の最適化
- 鍵の受渡し
- ゲスト利用後の部屋の清掃・補充
- トラブル発生時の対応
- レビュー管理
これだけ作業が多いと「副業で民泊を始めたいけど、本業が忙しくて運営ができない」「複数の物件を取り扱っているため、手が回らない」という方もいるでしょう。そのような方は民泊運営代行会社を利用するのがおすすめです。
民泊運営代行会社は上記で記載した業務をサポートしてくれるので、業務を一部依頼して効率的に運営していくことが可能です。
インバウンドプロは数ある民泊代行会社の中から厳選して10社ご紹介しています。民泊代行会社の探し方が分からないという方はぜひ参考にしてみてください。
>>【全国対応】おすすめの民泊代行会社10選!料金から業務内容まで
まとめ
Airbnbとはゲストにとって快適な宿泊施設を提供するだけでなく、宿泊や体験を通じてそれぞれの国や地域の文化を知れる価値ある宿泊施設となっています。
今後はホテルや旅館などの宿泊施設にはない体験ができるからこそ、ますます民泊の需要は高まっていくはずです。空き家の活用、地域の活性化に繋げるためにも、民泊事業を検討してみてはいかがでしょうか。