海外向けにネットショップを出店(出品)するとき、「自社でECサイトを作る方法」と「既に世の中にあるECモールを利用する方法」の2つあります。
世の中には数多くのECモールがあり、それぞれさまざまな特徴があるため、「どれを利用して出店すればいいのか分からない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、海外で人気のECモールを国別に紹介します。コストをなるべく抑えつつネットショップを始めたいという方はぜひ最後までご覧ください。
目次
越境ECの出店方法は2種類ある
インターネットで商品を出店・出品したいと考えた時にまず知っておくべきことは、「自社EC型」と「モール型」の2種類の出店方法があるということです。
これは日本国内で出店・出品するだけでなく、海外ユーザー向けの越境ECも同様です。それぞれどういった特徴があるのか簡単に説明します。
自社EC型の出店(出品)とは
「自社EC型」の出店(出品)は、海外のサーバーやドメインを用意した上で自社サイトを構築し、運用する方法です。
現地言語や決済の設定、配送の管理まで全て自社で行うのが基本です。
モール型出店(出品)とは
「モール型」の出店(出品)は、1つのサイトにさまざまな店舗が集まった、インターネット上のショッピングモールで販売する方法です。
決済や配送のシステム等がECモールに必要な機能やシステムが既に組まれているので、テナント料や手数料などを支払って出店(出品)することができます。
自社EC型とモール型のどちらで出店するべきかお悩みの方はこちらをご覧ください。
ECモールを利用して出店(出品)する場合どのECモールを使えばいいのか、「中国」「アメリカ」「台湾」「東南アジア」の4つに分けて、利用ランキング上位のECモールを紹介します。それでは順番に見ていきましょう。
【中国】おすすめECサイト3選
・天猫
・京東商城
・拼多多
中国①:天猫(Tmall )
■特徴
・中国でのECシェア率No.1
・厳しい審査を設けることで高い信頼性を得ている
・中間所得層、30歳以下のデジタルネイティブユーザーが多い
「天猫(T-mall/テンマオ)」は、アリババグループが運営する中国最大・世界最大のECサイトです。中国国内では半数以上のシェアを占める人気のECプラットフォームです。
天猫はこれまで偽物や粗雑な製品を取り扱う業者、顧客対応の悪い業者が溢れ、顧客満足度が低かったことが課題でした。しかし、サービス料金とデポジットを大幅に引き上げてそういった悪い業者を排除し、信頼性と高い評価を得ることで、顧客からの信頼性によって集客と売上向上に繋がっています。
天猫は日本でいう楽天市場のような店舗場所を貸し出しているBtoCサイトとなりますが、「天猫国際(T-mall Global)」はBtoCの越境EC専用のプラットフォームです。現地法人を作らずとも日本から出店が可能なところが天猫との大きな違いです。
天猫国際は日本商品の人気が高く、越境ECにおける国・地域別流通総額ランキングでは4年連続第1位を獲得しています。
また、同グループが運営する「淘宝網(タオバオ)」は日本でいうメルカリやヤフオクといったCtoCのプラットフォームで、それぞれ異なったユーザーを抱えているのが特徴です。
中国②:京東商城(JD.com)
■特徴
・中国のEC市場第2位
・全体売上の半数が家電と家電製品に強いECサイト
・自社巨大倉庫でスピーディーな配送を実現
「京東商城(JD.com/ジンドン)」は中国のEC市場で約30%を占めている人気のモールです。店舗に場所を貸しだして外部企業が出店することはもちろん、自社で仕入れて販売する直販の2つから構成されています。日本でいうところのAmazonのようなモデルです。
現在では家電・PC・家具・衣類・食品・書籍などの商品が販売されていますが、もともとPCや周辺機器、家電を販売するECサイトとしてスタートしたこともあり、家電に強いECサイトとなっています。
自社で巨大な倉庫を各地域に構えているため、購入から2.3日程度で届ける一般配送と、最短2時間以内に届ける急速達でのスピーディー配送サービスが魅力です。
天猫国際と同様に越境EC専用のモール「京東全球購(JD Worldwide)」もあり、海外に法人がある海外企業のみ出店が可能です。
京東全球購には日本企業の商品を専門に扱う「日本館」を2015年にオープンしたことや、天猫国際より審査が通りやすいこともあり、カシオやキャノンなどの有名企業の出店が急増しています。
中国③:拼多多(pinduoduo)
■特徴
・中国のEC市場第3位
・共同購入の仕組みを採用し出店企業とユーザーはWin-Win
・地方の低・中所得者がターゲット
「拼多多(pinduoduo/ピンドゥオドゥオ)」は共同購入のシステムを持ち、中国のEC市場では第3位を獲得しているサイトです。
共同購入システムは販売数とSNSでの拡散(シェア)数によって値引きされる仕組みのため、出店企業にとっては広告費を抑えられ、ユーザーにとっては安く購入できるWin-Winの関係になれるのが魅力です。
【アメリカ】おすすめECサイト3選
続いてはアメリカで人気のECサイトを紹介します。
・Amazon.com
・Walmart
・eBay
アメリカ①:Amazon.com
■特徴
・アメリカ国内のEC市場第1位
・有料会員は右肩上がりで1億人超え
・出品のしやすさと楽な発送システム
「Amazon.com(アメリカアマゾン)」はアメリカのEC市場シェア約40%を占め、世界で見ると20ヵ国に展開している世界最大級のECサイトです。有料会員「Amazonプライム」になることで、配送料無料やスピーディーな発送、映画や音楽を楽しむなどの特典が楽しめます。
サービス向上のため年会費が日本では3,900円から4,900円に、アメリカの場合は119ドルから139ドルに値上がりしました。アメリカでは段階的に年会費が値上がりされていますが、会員数も右肩上がりとなっている理由は、それだけ生活になくてはならないサービスとなっていることです。
出品側にとっても出品にかかる手間が少なく、手数料が低いなどのメリットは沢山あります。商品の在庫管理や梱包・発送、顧客管理を代行してくれる「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を利用することで、オペレーションを短縮できるのも魅力です。
アメリカ②ebay
■特徴
・世界最大規模のECモール
・圧倒的な対象国数と商品販売数
・低価格希望の購入者がターゲット
Amazonは20ヵ国に展開しているのに対し、ebayは190ヵ国に展開している世界最大規模のECモールです。そのためアメリカの二大ECモールとして名を挙げています。売上はAmazonの約半数しかないものの、商品数が圧倒的に多いのが特徴です。
ebayは日本のヤフオクのようなBtoC、CtoC向けのオークションサイトとして設立され、新品・中古品と低価格で購入したい層が多く集まっています。
アメリカ③Walmart
■特徴
・アメリカ最大のスーパーマーケットチェーン
・世界最大の売上額
・新鮮さと早さが強み
「Walmart(ウォルマート)」はアメリカ最大のスーパーマーケットチェーンです。2019年の総売上高は実店舗が43.1%、ECサイトでは56.9%と実店舗を越えています。新型コロナウイルスの影響で自宅時間が増加したことで、Eコマースの売上はさらに伸びています。
Amazon同様に有料会員システム「Walmart+」があり、生鮮食品の無料配送や実店舗におけるガソリンの割引などのサービスを受けられるのが特徴です。全米に約5000弱の実店舗を構えていることから、より新鮮な食品をより早く届けられるのはスーパーマーケットチェーンならではと言えます。
【台湾】おすすめECサイト3選
親日家の台湾への出店をお考えの方は参考にしてみてください。
・Yahoo!奇摩購物中心
・PCHome
・博客来
Yahoo!奇摩購物中心
■特徴
・台湾と香港向けのECモール
・CtoC、BtoC、BtoCtoCの3業態で展開
・24時間以内のスピーディー発送
「Yahoo!奇摩購物中心」は台湾版Yahoo!が展開しているECサイトです。中国ではネット規制の関係上、Yahoo!やGoogleなどの海外で一般的に利用されている検索エンジンやSNSを使用することはできませんが、台湾や香港ではYahoo!の検索エンジンとYahoo!ショッピングが利用できます。
Yahoo!奇摩購物中心はCtoC、BtoC、BtoCtoCの3業態で展開しているのが特徴です。家電製品や化粧品、ファッションジャンルが人気で、これらのジャンルでは男女比3:7と女性からの支持が圧倒的です。日本商品のニーズも高く、お菓子やコスメ等が人気アイテムとなっています。
台湾市内からの注文では8時間以内の配達、それ以外の地域では24時間以内の配送とスピーディー対応が魅力です。
PCHome
■特徴
・アイテム数が豊富
・複数のECサイトを展開
・24時間以内のスピード発送を実現
「PChome」は台湾で老舗のBtoC型ECモールです。先ほど紹介したYahoo!奇摩購物中心の約5倍、170万点以上のアイテムを取り扱っている巨大な規模となっています。
PChomeは複数のECサイトを運営しているのが特徴です。代表的なサービスは24時間以内に消費者に届く「PChome24h購物」、日本でいう楽天のような「PChome商店街」、CtoCオークションの「露天拍賣」です。
PChome24h購物の特徴でもある24時間以内の発送が実現できなかった場合は、100台湾ドル(約380円)のポイントが購入者に付与される仕組みになっているのも人気の理由となっています。
momo購物網
■特徴
・台湾で利用者第3位のECサイト
・女性向けのアイテムが豊富
・台湾、香港、中国がターゲット
「momo購物網」は台湾で利用者3位を誇る知名度の高いECサイトです。台湾で知らない人はいない携帯キャリア、富邦グループが運営しています。
主力商品はコスメ、ファッション、生活用品、グルメ、旅行券で、女性好みのデザインや商品が多いのが特徴です。2019年には台湾だけでなく中国への発送も可能になったため、より幅広いユーザをターゲットにすることが可能です。
【東南アジア】おすすめECサイト2選
最後に東南アジアで人気のECサイトを紹介します。
・Shoppe
・Lazada
東南アジア①Shopee
■特徴
・企業以外にも個人輸出も可能
・世界ショッピングアプリランキング1位
・セラーとユーザーともに爆発的な増加率
「Shopee(ショッピー)」は東南アジアと台湾の14地域に展開している、東南アジア最大級のECサイトです。2021年の世界ショッピングアプリランキングでは、総合ダウンロード数世界1位を獲得した実績があります。
2021年3月時点では1,000万以上のアクティブセラー、2020年の注文数は昨年比232.8%で流通総額354億USドルとなり、セラーとユーザーともに大きく成長しています。
初期費用・維持費用がかからず、日本語対応のスタッフが販売業者のサポートをしてくれること、お得な国際配送が可能など手厚いサポートが魅力です。
東南アジア②Lazada
■特徴
・Amazonのような自動梱包・配送システム
・初期費用を抑えられる
・一度で複数の国や地域に掲載可能
「Lazada(ラザダ)」は中国企業のアリババが親会社となっており、Shopeeに続き東南アジアで知名度を誇るECモールです。Amazon同様にあらかじめ自社倉庫に商品を送り、購入された時点で自動的に梱包・配送を行ってくれる仕組みがあるため、東南アジア版Amazonとも言われています。
新規アカウント費用や出店費用はかからず、販売額に応じて手数料を支払うシステムのため、低リスクで参入できるのが魅力です。出店アカウントは2つ。1ヵ国だけに出店できる「ローカルアカウント」と、一度商品を登録することで複数国・地域に同時掲載できる「グローバルアカウント」の2種類が用意されています。
Lazadaは基本的に法人名義のみで、グローバルアカウントは限られた企業のみと条件はあるものの、カスタマーからの問い合わせやトラブル対応はLazada側が行ってくれることから、オペレーションをなるべく少なくしたい方におすすめです。
越境EC対応の日本国内サイト2選
日本国内のECモールの中にも、海外向けに発送することができるモールもあります。どういったモールがあるのか紹介します。
・Amazon.co.jp
・Yahoo!ショッピング
①Amazon.co.jp
■特徴
・日本国内にいても自動で梱包や発送を行ってくれる
・カスタマーサービスが充実
・国が異なってもシステムや仕組みは同じ
アメリカ向けの「Amazon.com」と、日本向けの「Amazon.co.jp」のように国別でWebサイトがあるため、商品も国別で別れています。しかし、海外発送を有効に設定することで、日本のAmazonから海外へ発送することができます。
先ほども紹介したようにAmazonの専用倉庫に商品をあらかじめ送り、商品が売れた時点で自動で梱包・発送を行ってくれるサービス「FBA」を利用することで、海外に発送するための書類手続きや配送するための記載、梱包・発送、返品対応まで全て任せることができます。多言語ができる人材にかかる費用や手間が不要なことも魅力です。
出品する国が異なっても出品アカウントの作成や商品の登録、商品ページの作りなど仕組みが同じだけでなく、日本語での操作ができるので不便に感じることなく安心して利用できます。
②Yahoo!ショッピング
■特徴
・代理購入サービスを利用してお届け
・翻訳、決済、海外発送、カスタマーサポートまで人材不要
・台湾をターゲットにしたい方におすすめ
自社で海外発送向けの書類を作成したり、関税についての通知を行うなど手間はかかりますが、Yahoo!ショッピングやYahoo!オークションで出品する商品を海外発送することができます。(国や地域によって配送できない禁制品を除く)
自社から直接海外のユーザーへ発送するためには複雑な書類作成や手続き等が必要ですが、Buyee(バイイー)などの代理購入会社を利用することで、海外発送に関わる手続きを代行してくれます。海外発送のための知識や多言語対応できる人材を自社で抱えなくても良いのがメリットです。
台湾のネットオークションサービス「ヤフー奇摩(キモ)オークション」では、日本の「ヤフオク」で出品されている商品を中国語(繁体字)で閲覧・検索できます。さらに、翻訳・決済・海外発送・カスタマーサポートなどもBuyeeが行ってくれるので、台湾をターゲットにしたい方におすすめです。
まとめ
今回は、海外で人気のECモールを国別に紹介しました。モールによってユーザーの属性が異なれば、出店・出品するための条件も大きく異なります。自社で利用するECモールに合ったものをぜひ探してみましょう。
自社ECサイトを構築したい方はこちらの記事もぜひご覧ください。