世界から見た日本の魅力|日本の良さをさらに広げるための課題も解説

日本人も多く訪れる観光スポットならまだしも、「なんでこんなところに?」「交通が不便な地域にどうやって来たのだろう?」と疑問に思うところへ外国人観光客が集まっている光景を見たことがありませんか?

日本人にとって当たり前のことでも、世界から見ると珍しい・驚いていることが多いようです。では、日本のどんなところが魅力と感じているのでしょうか。

今回は、「世界から見た日本の魅力」「日本に興味を持ったきっかけ」「日本の魅力をもっと多くの人に伝えるための課題」について解説していきます。

外国人が訪日や居住で感じる日本の魅力

ここでは下記9つの日本の魅力について、順番に紹介していきます。

  1. 治安の良さ
  2. 街の清潔さ
  3. 食体験が豊富
  4. 四季を楽しめる
  5. 歴史や伝統を感じる場所
  6. 伝統文化
  7. サブカルチャー
  8. 買い物天国
  9. ハイレベルなおもてなし

治安の良さ

日本の治安の良さは世界トップクラスです。東京や大阪のような大都市であっても、スリや置き引き、強盗など、身の危険を感じる犯罪はほぼありません。

そのため、小さな子供連れの家族旅行でも安心できることから、海外旅行先として日本が候補の一つにあげられています。

次の行動は日本人にとって当たり前の光景ですが、世界から見ると驚きの光景に映っている内容です。

  • 電車やホーム、路上などで酔っぱらいが寝ている
  • 店内だけではなく店外に商品を並べている
  • 貴重品の落とし物が高確率で戻ってくる
  • 貴重品をパンツの後ろポケットに入れたまま歩いている
  • 大人が同伴せず子どもだけで歩いている(または通学している)
  • 学生や女性一人でも深夜の一人歩きができる
  • 飲食店で貴重品やパソコンをテーブルに置いたまま席を離れている
  • 自動販売機が町の至る所にある

確かに、海外旅行へ行ったら「荷物は肌身離さず持ち歩く」「夜道は出歩かない」とよく言われるのは、日本とは治安が大きく異なることを表していると言えるでしょう。

街の清潔さ

日本の街にはゴミが落ちていないため清潔で、嫌なニオイもしないと言われています。路上喫煙をしている人も今は少なくなっているので、煙臭さもありません。

世界一の利用者数を誇る都心の駅構内、駅周辺であってもゴミが溢れかえっている様子を見ることは少ないでしょう。

日本では「学校生活で掃除時間があった」「遠足でゴミ袋を持つためのリストがあった」のように、自分が使用した周辺を清潔に保つための教育が小さなころからされてきたと思います。

外国人観光客と関わる仕事であれば、このような説明ができるようにしておくと仕事の役に立つかもしれませんね。

食体験が豊富

外国人が「訪日前に期待していたこと」や「訪日中にしたいこと」の上位に入るのは、日本食(和食)を楽しむことがあげられます。日本食を食べることを目的に訪れる人がいるほどです。

日本人の伝統的な食文化「和食(washoku)」として、2013年(平成25年)にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)無形文化遺産に登録されました。

和食はヘルシーフードとして人気が高まっていますが、次のような点でも高い評価を得ています。

  • 健康につなげる栄養バランスが考えられている
  • 自然・四季を表現するための飾り付けや器の使い方が美しい
  • 各地域で採れた多様な素材を生かすため、調理技術や調理道具が発達している

このような理由から世界的に広がり、各国で日本を感じられる和食ブームとなりました。

料理と合わせて日本酒やウイスキーなどのアルコール類の注目も高まっています。お酒をただ飲むだけでなく、作る工程が知れる酒造工場見学も注目となってきています。

四季を楽しめる

日本には四季があるだけでなく縦長の地形から、同じ時期でも異なる気候や自然の変化を感じることができます。母国では四季を感じられない、特に南国エリアに住む人にとって魅力に感じられるようです。

春は桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪のように、季節ごとに名所が存在するのも足を運ぶきっかけとなっています。また、その季節で採れる旬の食材を使った料理を堪能できるのも魅力の一つです。

歴史や伝統を感じる場所

日本国内には25個(令和3年7月時点)の世界遺産があります。全国に点在しているため、美しい姿を一目見ようと、長期間かけて旅行する観光客も少なくないでしょう。

世界遺産に登録されているものだけではありません。

神聖な雰囲気が漂う神社や寺、季節によって表情を変える日本庭園、サムライの世界観を感じられる城や宿場町など、歴史ある施設や伝統的なものも日本らしさを感じられるスポットとして人気です。

伝統文化

古来から伝えられている伝統文化が数多くあります。外国人に人気の伝統文化は以下のようなものがあげられます。

  • 「武道」相撲、空手、柔道
  • 「衣服」着物、浴衣、甚平
  • 「楽器」和太鼓、三味線、琴
  • 「ものづくり」畳、漆器、ガラス
  • 「芸能・技能」書道、歌舞伎、能・狂言

伝統文化に限らず、歴史や伝統を感じるスポットでもそうですが、近年では見て楽しむ観光から実際に体験する旅行スタイルが人気となっています。例えば次のような体験があげられます。

  • 忍者になりきる体験
  • 着物を着てある雰囲気のある街並みを探索
  • 神社や寺などの歴史あるスポットで行う瞑想・座禅・ヨガ体験

サブカルチャー

海外のアニメや漫画と比較すると、日本はクオリティーが高くジャンルが豊富と言われています。

さらに、ストーリー性の複雑さやリアルな世界観を舞台にしているのも日本アニメの特徴です。子供から大人まで楽しめる作品が数多く存在するため、世界中の幅広い層に認知されています。

グッズをお土産に買うだけでなく、聖地巡礼の旅に出掛けたりキャラクターになりきったコスプレでコミケ(コミックマーケット)に参加したりと、幅広い楽しみ方があるようです。

買い物天国

訪日旅行前・旅行中で外国人が楽しみにしているもののランキング上位に入るのがショッピングです。

日本製品は洗練された技術を駆使し、高品質・高機能のモノが作られているため、ものづくりとして海外から高く評価されています。

古くから代々受け継がれてきた伝統工芸品、和を感じさせる骨董品や盆栽までお土産として持ち帰る外国人観光客もいます。

その他には化粧品や薬、電化製品、ファッションアイテム、お菓子、アニメ・キャラクターグッズなども人気で、まさに日本は買い物天国と言えます。

ハイレベルなおもてなし

日本のおもてなしはハイレベルとして、世界でも高い評価を受けています。日本人にとって当たり前ですが、外国人にとって驚かれるのは次のようなものです。

  • どんなところへ行っても笑顔で対応してくれる
  • 正確な運行時間を守り、充実した路線や本数で運営する電車
  • 飲食店では店員が巡回しているので、注文や困りごとで声を掛けやすい
  • 家電量販店では豊富な知識を持った販売員が、欲しい商品に合わせて説明や提案をしてくれる

お客様を喜ばせるための心構えとして「お客様は神様である」と古くから言われているので、異なるお店や業種であっても幅広い充実したサービスが提供されているのでしょう。

外国人が日本に興味を持ったきっかけ

世界から見て日本はさまざまな魅力があるとお伝えしましたが、そもそも日本に興味を持ったきっかけはどういったものなのでしょうか。

内閣府 知的財産戦略推進事務局が発表した、「クールジャパンの再生産のための外国人意識調査(平成30年1月)」の資料を参考に解説していきます。

訪日した5カ国(アメリカ、フランス、オランダ、中国、フィリピン)の方々、合計420名にアンケートを行っています。

アンケート結果では「欧州」「アジア」「北米」の3つに分けて紹介します。

大陸によって大きく差が開いていますが、全体的に高い割合を占めていたのが「アニメ・マンガ・ゲーム」がきっかけで日本に興味を持ったようです。その中でも興味を持った大陸は、欧州(75%)とアジア(56.6%)でとても高い数値となっています。

次に高い数値を出しているのが「日本食」です。「アニメ・マンガ・ゲーム」を通じて日本食や伝統文化を知り、「実際に食べてみたい・行ってみたい」という思いに発展しているのかもしれませんね。

その他目立ったジャンルは「音楽」「映画・テレビ番組」「俳優・芸能人・アイドル」で、アジアが最も高い数値となっています。海外でも日本の映画やテレビが放送されるチャンネルがあります。小さいころから見聞きしてきた人も多いので、自然と日本に興味を持っていったのでしょう。

日本の魅力をさらに引きだすための課題

日本の魅力はたくさんありますが、さらに多くの外国人へ魅力を伝えるためにはどうすればよいのでしょうか。

  1. 宗教食の対応を増やす
  2. SNSでの情報発信
  3. 言語の壁

順番に解説していきます。

宗教食の対応を増やす

冒頭で、外国人にとって魅力と感じているものの一つに「食体験が豊富」であるとお伝えしましたが、宗教食の対応には不十分であるという声がアジアを中心にあがっています。

例えばイスラム教の食事について見ていきましょう。イスラムの教えでは、豚肉やアルコールを摂取するのは禁じられています。

そこで、食べることが許されている食品や料理の「ハラル(ハラール)フード」を展開したり、安心して選べる・食べられるような情報を発信していくことが大切です。

SNSでの情報発信

今はさまざまな発信方法があるので、無料で簡単に始められるSNSを使って、日本の文化や名所、その他外国人にとってのメリットを伝えることが大切です。

日本には季節ごとに美しい景色が広がり、雪まつりや花見などのイベントや観光名所が多数あります。伝統文化と現代のライフスタイルを融合させた体験なども外国人観光客には人気です。

このような日本の情報を写真ならInstagram、動画はYouTube、テキストはFacebookのように使い分けて発信するのがポイントです。有名インフルエンサーと協力して発信力を高めるのも効果的です。

先ほどのハラルフードの場合でも、SNSを使って魅力を発信していくと良いでしょう。

言語の壁

外国人に優しい環境づくりが必要です。

訪日外国人旅行者が困ったことで連続トップになっているのが「施設などのスタッフとコミュニケーションがとれない」ことです。「多言語表示の少なさ・分かりにくさ」も上位にランクインしています。

同じ日本人同士でも見知らぬ人に話しかけるのを苦手としており、外国人であればさらに苦手意識が働くのが日本人の特徴です。

訪日外国人にとって電車やバスを利用するとき、日本食の食べ方が分からないときなど、誰かに聞きたそうにしていても気づかないふりをする人も少なくないでしょう。そのため、その光景が不親切だと思われてしまいます。

多言語の案内表記を増やす、字ではなくイラスト表記に変える、個人でコミュニケーションスキルを向上させるなどの方法はありますが、少しずつでもできることから始めることが大切となるでしょう。

まとめ

日本人にとって当たり前のことが、外国人観光客にとって魅力的に見えていることがたくさんあるとお伝えしました。。一方、親しみやすい環境づくりにはまだまだ不十分な点も多いと言えます。

地域の魅力を最大限引き出し外国人観光客数を増やすためには、地元の企業や地元住民にこだわらず、地域外・海外からの多様な人材を受け入れることも重要となります。

違った考え方や意見を聞けたり、新たな観光資源を発掘することにも期待できるので、これまでとは少し異なる戦略をとるのもよいかもしれませんね。