訪日外国人数における過去5年の推移と2030年までの訪日者数を予測

訪日外国人の年別推移 ここ数年で、日本を訪れている外国人観光客が急増しています。 どのくらい増えたのか、下記のグラフを元に見ていきましょう。 1964年から2012年に至るまでは緩やかな増加数でしたが、2013年から急速に増加し始めました。 2014年からの2018年までの過去5年で見てみると、

  • 2014年 13,413,467人
  • 2015年 19,737,409人
  • 2016年 24,039,700人
  • 2017年 28,691,073人
  • 2018年 28,560,080人
たった5年間で2倍以上に増加し、訪日外国人数が横ばいだった2012年までと比較すると3倍以上にもなっています。

訪日外国人数の上位5か国における年別推移と増加背景

一体どこの国から訪れる人が多いのか、なぜこんなにも訪日外国人数が増えたのか、訪日外国人数の上位5か国を対象にデータを用いて順に解説します。 2013年までは韓国と台湾が1位2位でしたが、2014年以降は中国からの訪日外国人数が約6倍と大幅に伸びて1位になっています。 上位5か国すべてをみても訪日外国人数は、2013年以前比較すると米国は1.5倍、他の4か国は2倍以上の伸び率です。

たった5年で訪日外国人が3倍になった背景

たった5年でなぜ訪日外国人数が3倍にも増えたのか、各国の特徴と転換期の背景を見ていきましょう。

訪日中国人の推移

一番の転換期は2015年、一気に2倍となりました。
  • 2014年 2,409,158人
  • 2015年 4,993,689人
  • 2016年 6,373,564人
  • 2017年 7,355,818人
  • 2018年 7,780,948人
2014年に決定された、訪日中国人に対するビザ発給要件が緩和されたことが大きく影響しています。 2015年には中国人民元が元高・円安となり日本製品を購入する際の価格が低下し、「爆買い」と呼ばれる消費行動を起こす人が多く現れ始めました。 あわせて団体旅行ではなく個人旅行の市場が拡大したことから、地震や災害などの天災による訪日旅行控えは限定的だったのも、訪日者数の増加傾向の維持に繋がっています。 またビザや為替の影響以外にもLCCの就航やクルーズ船など、安価な移動手段が増えたことも急激に訪日中国人が増加した要因の一つとなり、わずか5年で訪日外国人数が1位となりました。

訪日韓国人の推移

長期にわたり訪日外国人数の上位に位置しています。 2015年、2017年が特に増加していました。
  • 2014年 2,755,313人
  • 2015年 4,002,095人
  • 2016年 5,090,302人
  • 2017年 7,140,438人
  • 2018年 6,857,386人
これは2016年に起きた熊本地震の影響で、観光需要が増加したものです。 日本と距離が近いため、日本の災害情報にも敏感に反応し、訪日外国人数にも顕著に表れる傾向にあります。 天災による訪日旅行控えを改善すべく、インフルエンサーやYouTuberとタイアップして正しい情報を伝え広告宣伝した結果、一度落ち込んだ訪日者数も回復しました。 またLCCの地方都市就航にあわせて、航空会社や旅行会社が共同広告を出したり、インスタグラムやFacebookを活用し、地方誘致を強化したことも訪日者数の増加に繋がっています。

訪日台湾人の推移

訪日台湾人数は2013年から増え始め、以降安定した伸びをみせています。
  • 2014年 2,829,821人
  • 2015年 3,677,075人
  • 2016年 4,167,512人
  • 2017年 4,564,053人
  • 2018年 4,421,468人
台湾は親日のリピーターが多いです。 また亜熱帯に位置する台湾は四季がないことから、季節の移ろいを感じられる日本に大して非常に興味を持っています。 ただ訪日韓国人と同じく天災による訪日控えをする傾向があり、メディアを使用したプロモーションが活発に行われました。 またLCCの就航にあわせて、ウェブサイトやSNSでの発信を元にリピーター層の地域分散化を行った結果、訪日者数は回復しています。

訪日香港人の推移

香港から日本への直行便が多く就航した影響により、5年で2倍の訪日数となりました。
  • 2014年 925,975人
  • 2015年 1,524,292人
  • 2016年 1,839,193人
  • 2017年 2,231,568人
  • 2018年 1,998,350人
香港も台湾同様、親日でリピーターが多いです。 リピーターの多さと、日本の主要都市だけでなく地方都市にも格安LCCが就航していることから、訪日者数を伸ばし続けています。 現在就航している都市は羽田・成田・中部・青森・花巻・広島・高松・熊本・鹿児島・石垣などで、今年1月から長崎にも直行便で行けるようになりました。 現在は地方都市への航路拡大にあわせ、オンラインで各地方の特集を組んだり訪日者参加型のキャンぺーンを取り入れたりして、地方への分散化を促進しています。

訪日米国人の推移

東日本大震災の影響で訪日数は一時落ち込んだものの、その後は回復し増加傾向にあります。
  • 2014年 891,668人
  • 2015年 1,033,258人
  • 2016年 1,242,719人
  • 2017年 1,374,964人
  • 2018年 1,399,557人
唯一英語圏からの訪日者数で1位になりました。 この背景には円安の影響が大きいとされていますが、2016年にオバマ大統領が原爆投下の地を訪れたことも、訪日者数を伸ばすきっかけでした。 またクルーズ船での周遊ツアーも人気が高まっており、今後も訪日者数は増えると期待されています。

訪日外国人の訪日目的とは?

ここまでは訪日外国人数の推移や急速に増加した背景についてご紹介しました。 台湾や香港といったリピーターの多い国も多数存在します。 日本のどういったものに対して魅力を感じ訪日するのか、各国における費用別の旅行消費額や1人当たりが旅行に使う支出額をみていきましょう。

各国における訪日外国人数の割合

まず2018年の各国における訪日外国人数は、下記の通りです。 前の項目でもお伝えしたように圧倒的に訪日中国人が多いですが、月別でみるとどうでしょうか。 中国は夏休みの重なる7~8月に大きな盛り上がりをみせています。 韓国は冬の時期に多く、短期休暇を使って距離の近い日本へ訪れるということが表れた結果といえるでしょう。 また韓国と日本の物価が近くなり、訪日した際にかかる食事などの費用も、さほど負担に感じられなくなったことも要因のひとつです。 比較的過ごしやすく楽しめるアクティビティが豊富な、春~夏の時期に訪日外国人数が増える傾向にあります。 しかし上位5か国ほぼすべての国において、9月は落ち込んでいます。 台風によって関西国際空港が閉鎖され、地震で千歳空港が運休となる2つの天災が重なったことによる影響が色濃く反映された結果となりました。 特に西の玄関口である関西国際空港が閉鎖されたことは、日本のインバウンド事業に大きな打撃を与えた出来事です。

訪日外国人の費目別旅行消費額

次に訪日外国人が何に対して、費用をかける傾向にあるのか具体的に見ていきましょう。

訪日中国人の費目別旅行消費額

「爆買い」の流行語を生みだした訪日中国人の、一番の旅行消費額割合は買い物代が1位となっています。 円安の影響で訪日しやすくなったことと、高品質な日本製品を求めた結果と言えるでしょう。

訪日韓国人の費目別旅行消費額

訪日韓国人においては土日などの短期間で何度も訪れる人が多く、旅慣れていることから中国とは反対に全体的に控えめな消費額となっています。 また娯楽を楽しむというよりは地方へ行き、地方都市ならではのモノを買ったり宿泊施設に泊まったりして楽しむ人が多い傾向です。

訪日台湾人の費目別旅行消費額

訪日台湾人は円安の影響で、求めやすくなった日本製品を購入する人が多いです。 また親日のリピーターも多数存在するため、訪日韓国人と同じく地方都市を楽しみに、主要都市を起点に移動する人が多いことから交通費の割合が高めになっています。 買い物もですが宿泊場所も比較的費用をかけて、日本の宿泊サービスを楽しむ傾向にあるため、宿泊施設における対応言語の拡大も必須課題でしょう。

訪日香港人の費目別旅行消費額

訪日香港人も買い物にかける費用は多めですが、日本食が好きな人も多いことから飲食費も割合として高めです。 特にラーメンや牛丼などの日本食を好み、リーズナブルに食べられるためリピート客が多いのも注目すべき点といえるでしょう。 また日本ならではのおもてなしを味わうべく、宿泊施設にも比較的費用をかけています。 直行便の格安LCCが就航している場所が増えたことがきっかけで、直接地方都市へ行き地方ならではのコト・モノを楽しむ人が増えているようです。

訪日米国人の費目別旅行消費額

訪日米国人の大きな特徴として、宿泊料金に費用をかける点です。 日本のおもてなしサービスが高く評価されている結果と言えるでしょう。 また上記のアジアの国々よりも、距離がかなり遠いことから滞在日数を多くとり楽しみたいという人が多いということも、宿泊料金の割合が大きくなっている理由にあげられます。 滞在日数を長くし、主要都市から別の主要都市へ訪れる人もいれば、主要都市から地方都市へ足を延ばす人も多いため、交通費の占める割合も高いです。 訪れた土地ごとに食事や買い物をして、様々な風景や場所を訪れることに重きを置いていることが垣間見える結果といえるでしょう。

訪日外国人1人当たりの旅行支出額

ここからは具体的に1人当たりの支出額と年別の推移を見ていきましょう。

訪日中国人の1人当たりの旅行支出額

訪日者数も1位ですが、旅行支出額においても1位となっています。 2013年以降は好調に伸び続け、円安となった2015年には一気に支出額が増大しました。 2016年以降も好調なまま維持しており、爆買いのブームは去ったものの高品質な日本製品を求めて、訪れる中国人が多くいることがわかります。 1人当たりの費目別推移は下記の通りです。 数年通してみても買い物に対する消費額が多く、いかに日本のモノに価値をおいているかが顕著に見てとれます。 中国では富裕層が増えているため、今後も日本の高品質なモノを求めて訪日する人は絶えないでしょう。

訪日韓国人の1人当たりの旅行支出額

訪日韓国人は比較的若い人が多いため、消費額としては上位5か国中5位となっています。 先述したとおり土日に訪れる人が多いことから、1度の旅行で1人当たりが消費する額が少ないことが理由です。 またリピーターで主要都市から地方都市へ訪れる人が多くいるため、交通費の占める割合が高めとなっています。 地方都市ならではの食べ物や宿泊地を楽しみ、短期滞在を繰り返す傾向が下記グラフよりみてとれます。

訪日台湾人の1人当たりの旅行支出額

訪日台湾人は日本の季節イベントに高い関心を持っていることから、季節に合わせて訪日する人が多いです。 ハイシーズンにあわせて渡航するため、1人当たりの旅費は高めの傾向にあります。 また台湾人は親日国で日本食が台湾国内でも浸透しており、日本には本場の日本料理を楽しみにしてこられる方が多いです。 台湾ではスーパーで納豆が販売されているほど、日本食が浸透しています。 訪日台湾人の求める日本料理とは高級な日本食ではなく、普段私たちが食べている家庭料理です。 1人当たりの費用推移はというと、2015年が円安の影響から需要が伸びています。 ここ5年で全体の費目が増加傾向にあり、日本人気の高さを感じられるでしょう。

訪日香港人の1人当たりの旅行支出額

訪日香港人数も他のアジアの国と同じく、2015年は円安の影響で消費額が増えています。 一度に大きな金額をかけて楽しむというよりは、何回も訪れて色んなコトやモノにふれられることを目的として訪日するようです。 直行便が複数都市間で就航していることから、交通費は低めとなっています。 ただ訪れた都市において食べられるものや買えるもの、宿泊施設には投資する傾向です。

訪日米国人の1人当たりの旅行支出額

ドルの円安が進んだことから2013年以降、訪日した際にかける費用は上がったまま維持しています。 他の上位国より距離が離れていて、1度の旅行で多くの経験や場所へ訪れる人が多いことから、宿泊料金は高めの傾向にあります。 滞在期間が長くなることで必然的に飲食費も高めです。 また最近では主要都市から地方都市へ行く人が増えたことや、地方ならではのコトを体験したい人も多くなってきたことから、それぞれの費目割合が上昇してきているのも注目ポイントとなっています。

今後の訪日外国人数の予測

ここまでは2018年までの訪日外国人数と、時代による変化をみてきました。 ここからは今後の訪日外国人数がどのように変化していくのか、日本開催のイベントと合わせて訪日者数の予測見込みを見ていきましょう。

4-1.2019年における訪日者数の見込み

2018年1月と2019年1月時点でのグラフは下記の通りです。 1月の時点ですでに2018年の訪日者数を上回っています。 東アジアはビザが緩和されたことにより堅調な伸びをみせているため、今後も長期的に訪日者数は増えるでしょう。 気になるポイントとしては、欧米豪と東南アジアからの訪日者数が増えている点です。 特にベトナムからの訪日者数が増加しています。 理由としては親日の人が多いことと、ビザ要件が緩和されたことで観光だけでなく、日本語を学ぶために来る人が多い点が挙げられます。 またベトナムでは雪が降らないため、美しい冬の景色を見に来ることが人気となっており、季節を選んでの訪日者も増加が顕著です。 欧米豪に関しては訪日した際に地方都市へ周る人もいれば、アジアを周遊するクルーズ船でツアーに参加する人も増えていることから、プロモーション等で地方誘致、分散化を図りたいところです。

4-2.2030年までの訪日外国人数の予測

観光庁は2020年には訪日外国人数4000万人、2030年には6000万人を超える観光立国となることを目標に、様々な施策を実施しています。
  • 1.地方創生のためインフラ整備や伝統工芸品の消費拡大、観光ルートの改善
  • 2.民泊サービスへの対応と訪日プロモーションの高度化
  • 3.キャッシュレス環境の改善、多言語対応、地方のLCC就航促進
など、訪日者に主要都市だけでなく、地方都市へも足を延ばしてもらい様々な日本文化を感じてもらえるような施策です。 また2019年から2025年に向けて、日本で開催の大きなイベントも予定されているため、施策とイベントの相乗効果で、訪日外国人数の増加が期待できるでしょう。 なお開催予定のイベントは下記の通りで、順にご説明します。
  • 1.G20大阪サミット
  • 2.ラグビーワールドカップ
  • 3.東京オリンピック・パラリンピック
  • 4.ワールドマスターズゲーム
  • 5.大阪万博

G20大阪サミット(2019年6月28日~29日)

主要国首脳会議G7に新興国を加えた、20か国・地域で構成されたグループがG20です。 2019年に大阪で首脳会議が開催されますが、G20において議長国を日本が努めることは今回が初めてとなります。 また日本が開催するサミットとしては最大規模で、日本全国8か所で行われる予定です。 訪日外国人の中でも注目度の高い東南アジアからはインドネシア、これまで上位を占めている中国、韓国が参画するため、日本を広く世界へPRできる絶好の機会となりそうです。

ラグビーワールドカップ(2019年9月20日~11月2日)

日本では認知度が低いかもしれませんが、世界規模でみるとサッカーと同じくらい注目度の高いスポーツです。 開催期間は44日間と長く、開催場所も北海道から熊本まで広い範囲で予定されています。 期間も長く、様々な地域で開催されることから、インバウンド効果は絶大でしょう。 特にラグビーはイギリス発祥であることから、欧米豪の訪日外国人が多く訪れると予測され、数として40万人を見込んでいるようです。 欧米豪からの訪日者は長期滞在をする傾向にあるため、ラグビーワールドカップのタイミングにあわせて楽しめるプロモーションやツアーを開催すると、大きな経済効果が期待できると思われます。

東京オリンピック(2020年7月24日~8月9日)

17日間にわたり開催され、世界中が日本に注目すると同時に試合を見に訪れる人もいるため、オリンピック期間にあわせて爆発的に訪日者が増加する可能性があります。 しかし期間が短いことと競技開催地が首都圏に限られていることから、ラグビーワールドカップのほうが地方へのプロモーション効果は高いかもしれません。

ワールドマスターズゲーム(2021年5月14日~30日)

ワールドマスターズゲームとは、中高年齢者を対象とした国際総合競技大会です。 10回目を迎える2021年は大阪、関西を中心に、鳥取県や徳島県で開催予定となっています。 比較的高齢者の参加が多い大会のため、欧米豪の富裕者が多数来日するのではと予測され、目標動員者数は5万人です。 東京オリンピックでは関東を中心としたプロモーションが期待できますが、ワールドマスターズゲームでは関西を中心としたコトやモノでプロモーションを打ち出すとより効果的かもしれません。

大阪万博(2025年5月3日~11月3日)

開催日数なんと185日間と長期間に渡ります。 1970年にも大阪で開催された万博ですが、来場者数は6,422万人、訪日外国人数は85万人でした。 当時は関西国際空港もLCCの存在もなく、日本国内での盛り上がりのほうが目立ちましたが、今回の万博では空港もありLCCもアジアを中心に直行便が数多く存在するため、かなりの訪日外国人数になるのではと予測されています。 数値目標としては5,000万人、1970年と比較するとおよそ60倍です。 また大阪万博の開催地である夢洲と、関西国際空港を直接行き来できる船便ルートが現在構想されています。 実現されると神戸空港や他の地域にも格段にアクセスしやすくなるため、さらなる訪日者の増加が期待できるでしょう。 訪日外国人数の推移、訪日目的、過去5年における訪日者数の増加について、2030年までの予測をお伝えしました。 東京オリンピックに向けてはもちろん、政府がインバウンド事業へ力をいれている今、訪日者数は爆発的に増える見込みです。 流れに乗ってインバウンド事業におけるコンテンツの充実や、サービスの向上をはかることをおすすめします。 出展元 訪日外国人旅行者数・出国日本人数 訪日外客統計の集計・発表 「2020年・観光を通じた日本の変革」国土交通省観光庁 訪日外国人旅行者の受入環境整備 各国・地域別の内訳 年別 訪日外客数の推移 各国・地域別の推移 訪日目的別の推移 1人あたりの旅行支出 費目別の推移 「明日の日本を支える観光ビジョン」概要 「明日の日本を支える観光ビジョン」3つの視点と10の改革h]]>