日本とこんなに違うの!?中国で使えるSNS・使えないSNSを一挙紹介!

中国に向けたSNSマーケティングの実施を考えていませんか?

日本政府観光局が行った調査によると、2018年に訪日外国人の数がもっとも多かった地域は、中国であるという結果となりました。その数は、およそ838万人。前年よりも100万人以上増加していることからも、インバウンド対策を考える上で、中国は重要なエリアであることが分かります。

中国人訪日客は、事前に徹底した情報収集を行うことが知られています。特にSNSなどを用いて、口コミを調べ、評価の高い商品を購入したり、魅力的な観光地を巡ったりしています。インバウンド対策を行う上で、SNSの運用は避けて通れません。魅力的な情報発信を行うことは、インバウンド消費に直結するのです。

しかし、中国でSNS運用を実施する際には、注意しなければならない点があります。それは中国で使われているSNSはかなり特殊なものであるという点です。中国では、独自のインターネット文化圏が成り立っており、情報の制限も極めて強いため、普段私たちが使っているSNSが、中国国内では利用できないことがほとんどなのです。

この記事では、中国のSNS事情や使えないSNSについて詳しく紹介するとともに、独自に発展してユーザーを増やしているSNSアプリについて解説します。

中国からの旅行者をターゲットとしたマーケティングを行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

中国のインターネット事情

中国は、非常に特殊なインターネット環境が敷かれています。まず基本的に海外製のインターネットサービスやSNSにはアクセスできません。さらにインターネット上のあらゆる情報が国家機関によって制限されており、国家にとって適切でないと判断された情報は削除される仕組みが確立されているのです。これは「グレート・ファイアウォール」と呼ばれており、中国語では「金盾」と表されます。

日本人が日常的に利用するようなインターネットサービスも使えない事が多いため、ビジネスシーンだけでなく、旅行や留学の際にも、これらの事情を知らないと困ることになるでしょう。

例えば、Googleは2010年に中国の市場から退いており、Google検索はもちろん、GmailやGoogleアカウントによるログイン認証などのサービスは一切利用できません。中国国内で販売されるAndroidスマートフォンには、GooglePlayStoreすらインストールされていないのです。

ただし、中国国内にSNS文化が存在しないわけではありません。中国では「独自のSNSサービス」が普及しており、インターネットを通したユーザー同士の交流や、情報のやり取りが行われています。

中国でSNSマーケティングを行う際には、どのSNSが禁止されており、代わりにどのようなアプリが使われているのかを詳しく把握しておく必要があるでしょう。

中国で使えないSNS一覧

まずは、日本ではポピュラーでありながら中国で使えないSNSを紹介します。

Facebook・Instagram

世界的に大規模なユーザー数を誇るFacebookは、中国で利用できません。Facebookが普及し始めた段階の2008年頃は一時的に利用できていましたが、いまではアクセス自体が完全に遮断されています。

またFacebookは2018年、中国に子会社を設立しましたが、一週間ほどで登記が抹消されたこともあります。FacebookMessengerなどのチャット機能はもちろん、Facebookが運営しているInstagramも中国ではまったく利用されていません。

LINE

日本国内のチャットアプリでは最大のシェアを占めるLINEも、中国では使うことができません。中国への旅行の際などは、代わりのツールを用意しておかなければ連絡が取れなくなため、注意が必要です。

Twitter

日本ではSNSというとTwitterのイメージがあるかもしれませんが、こちらも中国からのアクセスは不可能です。代わりに中国では、Weiboと呼ばれる類似サービスが普及しています。

Youtube

動画プラットフォームYouTubeは、Googleが提供しているサービスであるため、中国国内からの閲覧は制限されています。その一方で、独自の動画プラットフォームが複数存在しているという状況です。

代表的な例が、中国の検索エンジン「Baidu」が提供する「iQiyi(爱奇艺)」です。1日に1億人以上のアクティブユーザーが閲覧する動画メディアであり、オリジナル番組の配信も行っています。また日本国内のテレビ局との提携も行っており、日本のコンテンツを中国に配信するプラットフォームとしても活用されています。YouTubeとNetflixを掛け合わせたようなサービスであると言えるでしょう。

他にも、アリババグループが運営する「Youku(优酷)」も有名です。

中国で普及しているSNS一覧

続いて、中国で独自に普及しているSNSを紹介します。

Weibo(微博)

出典:https://www.weibo.com/

Weiboは、中国国内最大級のSNSです。テキストや写真を投稿する、中国版のTwitterといえるサービスで、微博という名称はミニブログを意味します。

2018年時点の月間アクティブユーザー数はおよそ4.6億人にも達するほどの人気SNSであり、今もなお3ヶ月に2000万人以上のペースで利用者を増やし続けています。Weiboにはリツイートのような機能が備わっており、拡散力があります。情報収集のツールとして使用している中国人も多いようです。

Weiboアカウントを開設し、中国へ情報発信をしている日本国内のアーティストや俳優も存在します。ユーザー数の多さからみてもWeiboは、中国でのSNS運用を行う上で、必須であると言えるでしょう。

TikTok

出典:https://www.tiktok.com/ja/

動画共有SNSであるTilTokは、中国の企業バイトダンスが運営・開発を行っています。近年急激にユーザー数を伸ばしており、特に若年層を中心に絶大な支持を得ています。

TikTokは、高度なデータ分析の技術を武器としています。ユーザー1人ひとりの趣味嗜好を分析し、それにあわせた動画を表示するアルゴリズムが特徴的です。これにより、バズと呼ばれる拡散を生み出しやすい仕組みとなっており、企業による動画マーケティング施策のプラットフォームとしての活用も行われています。

若者のトレンドを捉え、ユニークな動画を作ることができれば、大きなマーケティング効果が期待できるでしょう。

WeChat(微信)

出典:https://www.wechat.com/ja/

WeChatは、中国国内で広く用いられているチャットアプリです。中国語をはじめ17ヶ国語に対応しており、2018年の月間アクティブユーザーはおよそ9億人にも及びます。中国版のLINEのような位置づけのアプリと考えると分かりやすいでしょう。家族や友人間のやり取りはもちろん、ビジネスシーンでも活用されています。

WeChatを運営するテンセントは、チャットアプリを軸に決済の領域までサービスの幅を広げています。

中国のtoCサービスでは、プロモーションの手段として、WeChatのアカウントを運用している事例も多く見受けられます。WeChatのメッセージであれば、キャンペーン情報などをユーザーに直接届けることができるという利点が大きな魅力です。

Baidu Tieba(百度贴吧)

出典:https://tieba.baidu.com/index.html

Baidu Tiebaは、キーワードごとにスレッドが立ち、Baiduのユーザーがそれぞれコメントを書くことができるという掲示板サービスのようなサービスです。中国最大級の検索エンジンBaiduが提供しています。

トップページには、多くのユーザーが話題にしているキーワードのスレッド一覧が表示されます。国内のエンタメや経済などのトレンドを把握するツールとしても、役に立つでしょう。

Tencent QQ(騰訊QQ)

出典:https://www.qq.com/

Tencent QQは、WeChatの開発企業が提供しているSNSアプリです。実はQQは1999年にリリースされており、WeChatはQQの発展版とも言えるサービスなのです。

QQは、チャットや音声通話だけでなく、アバターの作成やコミュニティへの参加などの独自の機能を持ちます。若年層を中心に2018年時点も根強い人気を保っているため、SNSマーケティングにおける活用も期待できるでしょう。

RED(小红书)

出典:https://www.xiaohongshu.com/

REDは、口コミが投稿できるECサイトです。インターフェイスはInstagramのようなデザインをしています。もともとはInstagramと同様に、画像の投稿SNSでしたが、EC機能を追加したことでショッピングサイトとして利用されるようになりました。

中国では若者を中心に支持を集めていましたが、2019年、偽物販売などの疑いによって、一時的にアプリのインストールができなくなっています。登録済みのアカウントが消されることはなく、その後一部ストアで再度リリースされましたが、マーケティングやオンライン通販のプラットフォームとして利用するのは、難しくなったと言わざるを得ません。

ただしこのアプリ停止の直後、Weiboを運営する企業によって、写真投稿アプリ「緑洲」がリリースされるなどの動きもありました。中国ではアプリの移り変わりも早いため、独自のインターネット事情とあわせて、トレンドを見極める必要もあると言えそうです。

中国でSNSマーケティングを成功させるためのコツ

中国人向けのSNSマーケティングを行う際は、以下の点を意識しましょう。

口コミの拡散を狙う

中国人の特徴として、メディアよりも口コミを信用するという点が挙げられます。これはマスメディアを通じて届けられる編集済みの情報よりも、一般ユーザーがインターネット上でつぶやいた言葉の方を、より信用する傾向があるのです。

そのため、中国人は何か大きな買い物をする際にも、まずはSNS上の口コミやレビューを調べ、「高品質な商品か」「購入に値するかどうか」を判断します。

この購買傾向は、訪日中国人にも同様に見られます。中国人旅行者は、日本を訪れる前にまずはSNSやブログ、動画サイトなどから、観光スポットや購入する商品についての情報を集めます。

中国人の爆買いなどインバウンド消費を拡大するためには、商品の良さをネット上に投稿してもらい、口コミが拡散されるような施策を行うことが重要です。

動画の活用

中国人向けのプロモーション施策として、動画は大きな効果が期待できます。中国ではYouTubeの利用ができませんが、代替サービスはいくつもあり、日常的に動画の視聴は行われています。

特に中国では、KOLと呼ばれるSNSユーザーが話題に上がることも多くなりました。KOLは、Key Opinion Leaderの略称で、日本におけるインフルエンサーのような存在です。KOLに商品を使ってもらうことで、ターゲット層へ効率的に認知を広げることが可能になります。

そしてこの施策は、動画との相性も抜群です。例えば、コスメなどの商品をテキストや画像で魅力的に伝えることは難しいでしょう。しかし動画であればKOLが実際にメイクをする様子を配信することで、具体的なイメージを伝えることが可能になります。

中国は通信インフラも整備されており、スマートフォンの普及率も高いため、今後ますます動画を視聴するユーザーも増えていくでしょう。中国人向けのプロモーション施策を行う際は、動画の活用も視野に入れてみるとよいかもしれません。

代行業者に依頼する

海外に向けたマーケティング施策に不慣れな企業にとって、中国語でのSNS運用はハードルが高いでしょう。中国人の国民性を深く理解しながら、トレンドを見極め、適切な施策を打っていく必要があります。SNS運用を行いたいという場合は、代行業者に依頼するのも一つの方法です。代行業者であれば、アカウントの開設から投稿の代行、サイトのカスタマイズ、効果測定などをトータルでサポートしてくれるサービスがあり、より効果的なマーケティングを実現できるでしょう。

中国独自のSNSを効果的に活用しよう

中国で使えるSNS・使えないSNSについて紹介しました。日本のSNSとは全く異なるため、中国でSNSマーケティングを行う際は、少々戸惑う部分もあるかもしれません。しかし、中国はインターネットユーザーも多く、人口の数も膨大であることから、巨大なマーケットが存在する国であると言えます。積極的な情報発信を継続すれば、インバウンド消費や爆買いにつなげることもできるでしょう。