2020年のインバウンド業界を振り返って

2020年を振り返り、本年は新型コロナ感染症拡大という未曽有の非常事態により、東京オリンピックの延期、出国・入国制限措置が実施されるなどインバウンド関連事業者の方々にとって大きな打撃を受けた年でありました。米国、英国でワクチンが承認され、少しずつコロナ感染症に対する対策も講じられてきていますが、変異種ウィルスの発生等、依然収束の兆しが見えない状況が続いています。訪日客数は前年比約98%減(2020年11月現在:日本政府観光局調べ)となっており、2021年もしばらくは厳しい状況が続くと予想されます。

ただし、ビジネスを中心に少しずつですが訪日数も増加傾向にあります。特に韓国、中国、ベトナム等、日本近隣、東南アジア圏を中心に増加傾向にあります。これはビジネストラック・レジデンストラック※運用開始によるものですが、コロナ変異種ウィルス拡大の水際対策の為、2020年12月28日より2021年1月末まで一時的に運用が停止されることになりました。

(出所:訪日外客数 2020年11月推計値:日本政府観光局)

※ビジネストラック、レジデンストラックとは
(1)ビジネストラック:「本邦活動計画書」の提出等の条件を満たすことで、相手国又は本邦入国後の14日間の自宅等待機期間中も、行動範囲を限定した形でビジネス活動が可能となる(行動制限が一部緩和される)。主に短期出張者用。

(2)レジデンストラック:相手国又は本邦への入国が認められるものの、相手国又は本邦入国後の14日間の自宅等待機は維持される。主に駐在員の派遣・交代等、長期滞在者用。

以上の通り、まだまだ先行き不透明な状況となっており、事業者の方々にとっては相応の対応が迫られます。
キャッシュに余裕のある事業者の方々については、インバウンド需要復活を見据え今からその備えを強化していくことが必要でしょう。
一方、事業存続すら厳しい事業者の方々も数多くおられると思います。そうした事業者の方々にとってはとにかく事業を存続させること、そして場合によっては事業転換を視野に入れていくことも必要になってくるでしょう。

事業存続、業態変換の資金調達については政府補助金を有効に活用されることをおすすめします。とりわけ業態変換については2020年12月15日に臨時閣議決定された「事業再構築補助金」が最大で1億円規模の補助(総額1兆1400億円)を予定しており2021年の大型補助金案件として期待が寄せられています(本情報については2020年12月末現在のものであり、今後変更される可能性もあります)。

ただし応募には以下の要件がありますのでご注意ください。

1.申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している
  中小企業等。

2.事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。

3.補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)
以上増加の達成。

詳細については経済産業省(中小企業庁)の以下ページを参照ください。

事業再構築促進事業 【随時更新・補助金】  | 経済産業省 中小企業庁 (mirasapo-plus.go.jp)

また、本年多くの補助金事業が施行されていますが、種類も多岐に渡り複雑化してきています。また短期間に募集終了する案件も多く、補助金を希望されている事業者の方々にとっては自身の事業に合致する補助金がないか常に新規案件を注視しておく必要があります。
そうした中、経済産業省が支援情報をパンフレットにして一元化していますのでご自身の事業にお役立て下さい。

新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ(支援策パンフレット)

その他、独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営するJ-NET21にて国や都道府県などによる中小企業向けの支援施策情報を集めた検索システム「支援情報ヘッドライン」を提供していますので併せてご活用下さい。

J-NET21支援情報ヘッドラインアプリ 

厳しい外部環境の中、皆様にとって少しでも明るい未来が創造できるようインバウンド・プロは2021年も情報を発信し続けていきます。皆様の明るい未来を祈念して2020年の振り返りとさせて頂きます。2021年もどうぞよろしくお願いします。