日本から入国できる国はどこ?世界の入国制限状況【5/26更新】

世界の新型コロナウイルス感染者数は2021年5月26日の時点で1億6736万人を超え、インドやイギリスなど変異株に悩まされる国もあれば、いまだ感染を抑えられている国と両極端です。

世界約200ヵ国のうちの8割が渡航中止勧告を行っている中、沈んだ経済を取り戻すため入国制限を緩和している国もいくつか出てきています。

今回は「世界のワクチン接種状況」や「どの国で入国制限の緩和がとられているのか」など、国際的な人の往来再開に向けた情報をお届いたします。

コロナ感染症対策の入国制限とは


日本を含め、世界では新型コロナウイルスの国内感染拡大を防いだり、感染リスクを抑えるための水際対策として「入国制限」が厳しく行われています。

国によって入国制限の要件が大きく異なりますが、多くの国では以下のような制限が課せられています。

  • 出国前48時間~72時間以内に検体接種したPCR検査の陰性証明書を提出/提示
  • 入国時に空港でのPCR検査(無料/実費)
  • 入国後14日間前後の隔離

世界のワクチン接種状況と集団免疫獲得の予測


ある一定数ワクチン接種をすることで感染が流行しなくなる「集団免疫」を獲得することで、パンデミックが終息すると言われています。ここでは世界ではどれだけワクチン接種が行われているか、終息する時期はいつなのか予測も合わせてみていきましょう。

世界のワクチン接種状況

新型コロナワクチンの接種は2021年5月25日現在では世界190カ国・地域で累計16億7322万回超え、1日平均2718万回を接種している状況となっています。

2020年12月にイギリス。アメリカ、イスラエルを筆頭にワクチンの接種がスタートしましたが、最も多く接種している国は「中国」の5億1085万8000回です。1日の平均接種回数は1000万回以上の早いペースで進められているため、世界全体の約3/1を占め、接種回数は圧倒的に高くなっていることが見て取れます。

次に多いのが「アメリカ」2億856万2000回、そして「インド」1億9171万9000回と3つの国が群を抜いて高いですが、人口100人あたりの累計接種回数では「アラブ」「イスラエル」「チリ」「イギリス」「アメリカ」の順に高くなっています。

日本の総接種回数は946万7000回、人口に占める割合はわずか7.5%と低く、ワクチン確保と接種できる環境づくりが課題となっている状況です。

出典:日経経済新聞「チャートで見るコロナワクチン世界の接種状況は」

集団免疫獲得までの予測

ワクチンを接種しても十分に効果が出るまでには2週間程度の期間が必要であることや、変異ウイルスによって効果がなくなってしまうなどの理由から、未だ多くの国で封じ込めに苦戦しています。いくつかのワクチンは輸送や保管の際に低温管理が必要なため、経済力が劣る発展途上国では管理態勢が不十分として、どうしてもワクチンの到着や供給に時間がかかっています。

新型コロナの場合の集団免疫獲得は70%と言われています。日経経済新聞が発表しているデータによると現在のペースでワクチン接種が進められていくと、イギリス、アメリカ、チリ、ドイツでは2021年9月頃、韓国は2022年2月頃、イスラエルに関しては2023年月頃に集団免疫が獲得できると予想されています。

変異株の出現やワクチンの有効性によって前後するとは思いますが、韓国よりも累計接種回数が低い日本は、2023年以降であると予想できるでしょう。

出典:日経経済新聞「チャートで見るコロナワクチン世界の接種状況は」

「海外」から「日本」へ入国できるのか


世界全体をみてもそうですが、日本は観光目的での外国人の入国は一時停止されています。そして2021年5月26日現在、海外から日本へ入国するには外国人/日本人ともに厳しい制限が課せられています。制限の内容は以下の通りです。

  • 出発する国で出国前72時間以内のPCR検査を受け、陰性証明書を取得し、搭乗前に提示
  • 入国時に再度PCR検査を受ける
  • 空港検疫所へ誓約書の提出
  • 誓約書の提出ができない場合は、検疫所が用意する宿泊施設で14日間の待機

書類ミスなど手違いがあった場合は、外国人だけに限らず、海外に在住する日本人の帰国者であっても日本への入国は認められず、出発国に送還されるケースも多くなっています。イギリスやインドなど変異株流行国・地域から出国した場合は、さらにさらに厳しい制限措置がとられています。

また誓約違反した場合には国籍や氏名などインターネット上に公開される可能性があるため、専用アプリなどを通じて健康状態や位置情報を保存するなど常に対応をとっていくことが必要です。

「日本」から「海外」へ入国できるのか


EUヨーロッパ連合は2021年6月の夏の観光シーズンに向けて、観光客受け入れに動き出しています。渡航が許可される条件は

  • ワクチン接種を完了している人(EUが承認したワクチン接種証明書を提示)
  • 感染をある程度抑えられている国(新規感染者数10万人当たり75人以下)

となり、現在この基準に該当する国は7ヵ国のみとまだ少ない状況です。

日本から入国可能な国

現在下記の国で、日本からの入国が認められています。

日本から入国可能な国
・ハワイ       ・エジプト
・メキシコ      ・スペイン
・モルディブ     ・イタリア
・ドバイ       ・マルタ
・トルコ

ここで注意たいのは、入国できるからといって安心して旅行を楽しめるわけではありません。人口は日本より少なく、1日の新規感染者数は日本よりも多い国であっても、観光客を受け入れている国もあります。入国制限の情報だけに限らず、現地感染者や医療状況はどうなっているのかなども合わせて慎重に考えて行動するべきと言えます。

また上記の入国可能な国へ行く場合でも、出発国前72時間以内に行ったPCR検査で陰性証明書を提出することや、宿泊施設での隔離、公共交通機関の使用禁止、夜間外出禁止など国や地域によって制限があります。感染拡大が悪化することで突然の入国拒否や、出国不可、ロックダウンなどあらゆることが起こることを想定したうえで、海外へ入国する必要があります。

警戒レベルとは

日本外務省のホームページ「海外安全情報」には渡航の危険度を表した情報として、下記4段階の感染症危険レベルを発表しています。

レベル1
十分注意してください
その国・地域への渡航、滞在に当たって危険を避けていただくため
特別な注意が必要です。
レベル2
不要不急の渡航は
止めてください
その国・地域への不要不急の渡航は止めてください。渡航する場合
には特別な注意を払うとともに、十分な安全対策をとってください。
レベル3
渡航は止めてください
(渡航中止勧告)
その国・地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。
(場合によっては,現地に滞在している日本人の方々に対して
退避の可能性や準備を促すメッセージを含むことがあります。)
レベル4
退避してください
渡航は止めてください
(渡航中止・退避勧告)
その国・地域に滞在している方は滞在地から、安全な国・地域へ
退避してください。この状況では、当然のことながら、どのような
目的であれ新たな渡航は止めてください。


出典:外務省「海外安全ホームページ」

上記地図で色分けされているとおり、現在危険レベルは濃い紫色をした「レベル3(渡航中止勧告)」が多くを占めており、薄紫色の「レベル2(不要不急の渡航中止勧告)」はわずか一部であることが分かります。

危険レベルが最も高い国はアフガニスタン全土です。米国務省の2021年5月24日の発表された日本に対する警戒レベルは、「渡航警戒レベル3(渡航中止勧告)」から「レベル4(退避勧告)」へと引き上げられました。そのことによってオリンピックへ出場する予定の選手や関係者への影響、インバウンド業界はさらなる悪化がみられると予想されるでしょう。

海外旅行保険加入の「推進」と「義務」


現在世界各国において観光ビザで入国できる国は少なく、現地のパスポートを所有している方や配偶者ビザを取得している方、ビジネスビザの所有者など厳しく制限されている状態が続いています。

今後ビザの緩和で観光客の入国が許可され、世界各国へ自由に移動できるようになった際に「旅行旅行保険」というのが大きなキーワードとなっていくはずです。

海外旅行保険加入の「推進」

コロナ禍、コロナの感染が完全に終息した後でも、日本から海外へ行く際は海外旅行保険に加入することをおすすめします。コロナ禍以前に海外旅行へ行く際に海外旅行保険への加入をする人の割合は、およそ3割程度と少数派であることが分かっています。

加入しない理由としては「旅慣れしているから」「短期間だから」「病気やケガ、トラブルなんて滅多に遭わないから大丈夫」と考える方も多いと思います。エイチ・エス損保の調べによると、海外で実際の事故発生率は3.2%、31人に1人の割合で何かのトラブルに遭っていることになります。

海外旅行保険がカバーしているものは

  • 治療費(病気やケガで高額な医療費に補償)
  • 携行品損害(貴重品やカメラなどの盗難や破損への補償)
  • 航空機遅延費用(飛行機の遅延・欠航によってかかる宿泊費・食事代・国際通信費の補償
  • 賠償責任(他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったときの補償)
  • 救援者費用(被保険者が入院した際に救援者の渡航費や滞在費の補償)

などがあります。

海外では医療費が高額になるというのはよく耳にしますが、特にアメリカでは治療方法や入院期間によっては、数百万円~数千万円かかるケースも少なくありません。旅行中にコロナウイルスを含めた新しい感染症などで治療を行わなければならないくなった際にしっかりカバーできるよう、海外旅行保険は加入しておくべきと言えます。

海外旅行保険の加入が推進されている国

世界には加入義務ではないものの、海外旅行保険の加入を推進している国があります。具体的にはドイツ、フランス、オランダなどが推進している国です。

海外へ行く際にこのことと同時にもう一つ把握しておくべきことは、ヨーロッパ圏内で人やモノを自由に移動することができる「シェンゲン協定」です。「シェンゲン協定」は一度入国審査を受けることで、国境を超える際に改めて入国審査が免除されるものです。

シェンゲン協定は「ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、ベルギー、ノルウェー、スウェーデン」など26ヵ国(2021年現在)が加盟国となっています。注意したいのがこの「海外旅行保険の加入義務はないが、加入を推進している国」と「シェンゲン協定」を同じものと勘違いしてしまうことです。

新型コロナウイルスの感染によってヨーロッパの多くがロックダウンしていることや水際対策として国境検問を実施したり、特別な理由がない外国人の入国を禁止したりと、日々態勢を変えながら厳しい対応がとられています。そのため特に個人で旅行プランを立てる方は、これらのことを事前に把握しておく必要があります。

海外旅行保険加入の「義務化」


海外旅行保険は基本的に任意で加入するものですが、いくつかの国では加入を義務化し、加入していなければ入国拒否されるケースもあります。ただ加入すれば良いというだけでなく、国によって求められる補償範囲が異なるため、訪れる国での要件を事前に調べておく必要があります。

海外旅行保険の加入が必須の国

加入が義務化されている国は「チェコ、ポーランド、ブルガリア、リトアニア、エストニア、ラトビア、エクアドル、イラン」などがあげられます。求めらる補償範囲は「滞在中にカバーする保険の加入」「入国時に英文の証明書提示」「死亡の場合の遺体搬送」などがあり、罰則としては「パスポートと合わせて保険加入証明書を常時携行していなければ罰金」というものまであります。

海外旅行保険の加入が義務化する背景

外国人を多く受入れるインバウンドの効果は、雇用が生まれたり経済が回ったりと、国や街全体が活性化する大きなメリットがあります。一方で、インバウンド観光客が旅行先で治療を受けたにも関わらず治療費を払わず帰国してしまい、その後本人と連絡が取れなくなったため、最終的に医療機関や自治体などが高額な医療費を負担せざるを得ない状況が世界各国で起きています。このような問題から海外旅行保険の加入を義務付ける国が増えているのです。

厚生労働省の発表によると、調査した医療機関の約2割で外国人の医療費未払いがあったとされています。新型コロナウイルスだけでなく、感染力や致死率の高い感染症が新たに起こったときのことを想定すると、今後日本を訪れる外国人には海外旅行保険の加入を義務化することや、医療費用の前払い制度を設けるなど対策がとられていくことでしょう。

参考:厚生労働省「【資料2】未収金管理について」

まとめ

今の段階で世界を移動するためには、とても厳しい制限とともに、まだまだ感染の高いリスクがあります。いつか世界でコロナ感染症が終息をむかえ、パンデミック以前ようにさまざまな国を行き来できたように、世の中は戻っていくはずです。

日本から海外へ、世界各国から日本へ安心して旅行ができるためには、正しい情報を見分け感染対策をし、万が一のために海外旅行保険の加入などで自分自身を守れるようにしていくことがより大切になっていくでしょう。