予習旅になるオンラインツアーとは?家で体験できる新旅行業界に手応え

コロナの感染拡大が広がり2020年4月頃から徐々に増え始めた「オンラインツアー」。

この言葉を聞いたことがあっても「オンラインで旅行とはどういう仕組みなのか?」「動画を視聴しているだけなら、テレビやYouTube動画と変わりないのでは?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

人の接触や移動の制限がかかっているコロナ禍では観光業界が停滞し、事業を存続していくには非常に厳しい状態が続いています。しかしオンラインツアーを開始した企業は徐々に回復へ向かっているケースも多くあります。

そこで今回は

  • オンラインツアーとはどういうものなのか
  • オンラインツアーでできることは何か
  • オンラインツアーの需要はどれほどなのか
  • オンラインツアーを行うメリットとは

について紹介していきます。

コロナ禍で始まったオンラインツアーとは

そもそもオンラインツアーとは

「オンラインツアー」とはスマートフォンやパソコンでzoomなどの動画配信アプリを使用し、自宅にいながら国内外の旅行へ行ったような気分を味わえる新しい旅行形態です。

オンラインツアーという呼び方の他にも、下記のような呼び方もあります。

  • おうち旅
  • オンライン旅行
  • リモートツアー
  • バーチャルツアー
  • デジタルフライト
  • オンライントリップ

旅行を企画・主催する側は国内外に営業所を構えている旅行会社のスタッフや、観光施設・飲食店に勤務するスタッフなどが動画を撮影・配信し、旅客が視聴するような流れとなります。

オンラインツアーは新型コロナ感染症の影響で、県や国を移動する際に制限がかかったことによって流行となりました。移動や参加者と接触することがないため、安心して体験できるのが人気の理由となっています。

日本国内では東京、大阪、福岡、北海道、海外はヨーロッパ、アメリカ、アジアなど、さまざまな国・地域のツアーに参加することができます。料金は1,000円~3,000円ほどが最も多く、動画配信される時間や内容はツアーごとによってさまざまです。

オンラインツアーは3つの形式がある

オンラインで行うツアーには大きく分けて3つの形式があります。

  1. 録画された映像を閲覧するため24時間視聴が可能な「ビデオ・オン・デマンド形式」
  2. 決められた日時にライブ配信を行い「参加者が配信を閲覧する形式」
  3. 決められた日時にライブ配信を行い「ツアーガイド・参加者に加え、現地の人とも対話ができる形式」

③は参加者が見たいアングルや知りたい情報を要望することができるため、参加者の満足度を高めることに繋がります。

例えば参加者が「画面の端に見えるその食べ物は何ですか?」「どうやって食べるものですか?」という質問があった場合、まずはその物をアップで配信します。

そして販売しているスタッフは食べ物の説明をしたり、美味しい食べ方や調理方法、商品を購入できるサイトまで紹介してあげることで、参加者は満足度・配信者側は売上を上げることに期待できます。

オンラインツアーでできること

実際に「オンラインツアーへツアー客として参加」または「ツアー主催者として発信」する際は、どのようなツアー内容があるのでしょうか。

オンラインツアーの具体例

  • 旅行  (世界一周、絶景・大自然、美術館、博物館、動物園、世界遺産、お参り、宇宙旅行、宿泊)
  • 趣味  (ダイビング、登山、キャンプ、料理、ハンドメイド、占い、買い物)
  • 健康  (ヨガ、エクササイズ、ダンス)
  • 美容  (メイク、スキンケア、美姿勢)
  • 学習  (外国語、マナー教室、社会科見学、お料理教室、お菓子作り教室、フラワーアレンジメント)
  • グルメ (世界各国料理、ワイン、日本酒、カクテル)
  • 実体験 (お肉・シーフード・果物などの食べ物、お酒、アクセサリー作り)
  • 乗り物 (電車、車、飛行機、船、ドローン)
  • 映像  (実写映像、CG、アニメーション、VR)
  • グループ(修学旅行、研修旅行、卒業旅行)                 など

オンラインツアーの楽しみ方は動画を視聴して街を散歩しているような気分を味わうだけではありません。リアルをもっと楽しんでもらうため、その地域・国の特産物をお土産としてツアー参加前に自宅に配送し、届いたものを参加中に飲食しながら現地の情報を知ることで、より体験しているような雰囲気で楽しむことができます。

例:
プラン内容:北海道函館ツアー
お土産内容:新鮮な海鮮類
ツアー内容:ガイド+鮮魚店の料理人に教わりながら、オリジナルの海鮮丼を一緒に作る

オンラインツアーの浸透状況

オンラインツアーが徐々に盛り上がってきていますが、興味を持っている人や実際に参加している人はどれほどいるのでしょうか。

オンラインツアーの歴史

  • 2020年3月~
    世界ではロックダウン、日本では緊急事態宣言が発令されたとともに、観光業界は停止・失業者多数
  • 2020年4月~
    オンラインツアー、その他オンラインサービスが開始
  • 2020年7月~
    GoToトラベルの開始。実際に出かける人とオンラインツアー参加者と分かれる
  • 2020年1月~
    2度目の緊急事態宣言が発令
  • 2021年2月~
    オンラインツアー会社が増加したことにより、オンラインツアー比較サイトが増える
  • 2021年4月~
    GW中に3回目の緊急事態宣言が発令。2回連続でGWに外出できず、オンラインツアーがさらに盛り上がる

オンラインツアーの浸透状況とは

旅行情報をメディアで発信しているトラベルズー・ジャパン株式会社がオンラインツアーの浸透状況として、日本国内のトラベルズー会員へアンケートを行った結果を見ていきましょう。


まず「いままでにオンラインツアーに参加したことがありますか?」という内容を調査したところ、調査1回目の2021年2月ではわずか9.2%程度でした。2回目の2021年6月に再度調査をしたところ、4ヶ月で約1.7倍、16%まで伸びたことが分かります。

そして「いままでにオンラインツアーに何回参加しましたか?」という質問回答には、2021年2月の段階で56.8%の人が1回のみの参加、4ヶ月後の2021年6月には1回目は38.2%と増加していることが分かります。

さらに2回・3回目は13.7%、5回目以上になると約3倍の26.5%まで急増し、短期間でありながらリピート率が非常に高くなることが分かっています。

非常に面白いデータとなっているのは「コロナ終息後も、オンラインツアーに参加したいと思いますか?」という質問の結果です。

2021年2月は56.8%、2021年6月には52.9%と減少していますが、そこまで大きな変化となっていないのはオンラインツアーならではの魅力を大きく感じている人が多いと言えます。オンラインツアーを利用する参加者・主催者の双方では、どのような魅力がありオンラインツアーに参加したいと思うのでしょうか。次の項目で詳しく紹介していきます。

【調査概要】
調査会社:トラベルズー・ジャパン株式会社
調査期間:2021年6月24日(木)~6月27日(日)
調査対象:日本国内のトラベルズー会員(うち調査回答数:644件)
調査方法:インターネットによるアンケート調査

出典:PRTIMES

オンラインツアー「参加者側」と「主催者側」のメリット

オンラインツアーを行うことで「参加者側」と「主催者側」の両方で大きな利点があります。具体的にどのような点があげられるのか紹介していきます。

参加者側のメリット

■①自宅にいながら手軽に参加することができる
スマートフォンやパソコンから観覧することができるので、移動時間やお金、感染リスクを負わずに都合のいい日時に手軽に参加することができます。

■②一人でもグループでも参加できる
移動距離が遠かったり少しマニアックな場所やツアーなど、友人や家族を誘って実際に行くことができなかった場所でも一人で参加することができます。動画配信中は自分の顔を写しても、写さなくても良いため、プライバシーを守りたい人におすすめです。

またオンラインツアーの参加者は5名~10名程度が多いため、見知らぬ人同士で参加するのも良し、家族・友人・会社のメンバーだけのプライベートグループで参加することも可能です。

■③現地に行かなくても飲食、買い物ができる
オンラインツアーの多くは旅行先や施設内を巡り、ガイドの話を聞いていくのが基本です。しかしその土地ならではの美味しい食材やお酒を事前に自宅へ届けておくことで、ツアー中にガイドや生産者の声を聞きながら堪能することができます。

また生産者や内部スタッフなど、旅行中に会うことがない人と直接会話したりチャットをして交流することができるのも魅力です。おすすめの商品や美味しい食べ方を聞きながら、商品を購入することもできます。

■④予習旅ができる
オンラインツアーに参加する人は「前から興味があった」もしくは「行ってみたい場所・国なので下見したい」という理由で参加する人が多いのが特徴です。

そして実際にオンラインツアーを体験した後は、

・実際に旅行へ行くときは、オンラインツアーに参加した場所へ行ってみたい
・現地の人との交流が楽しかったので、実際に会いに行きたい
・動画観覧だけでは満足できず、現地でしか買えない物を買いに行きたい
のように旅行計画や予習旅ができるのがオンラインツアーならではと言えるでしょう。

 

主催者側のメリット

■①アフターコロナで新規顧客を獲得できる
オンラインツアーに参加した人の多くは、「参加した場所・国へ実際に行ってみたい」という意見が多数です。そのためアフターコロナで安全に移動ができるようになった際に、オンラインツアー参加者が実際に訪れてくれる可能性が高いことです。

■②ツアー以外の旅行業界でもオンラインツアーを提供できる
オンラインツアーは旅行代理店がやるものだと思われがちですが、バス会社、航空会社、宿泊施設の会社など、多くの業界で自社の魅力を配信することができます。

安く泊まれる「ゲストハウス」「カプセルホテル」「ユースホテル」を運営している会社を例にみていきましょう。低価格で宿泊できる宿泊施設は、旅費をなるべる安く抑えたいバックパッカーや学生に人気です。

まだ利用したことはないけど興味を持っている人々にとっては、「寝室や共有スペースはどのようになっているのか」「個人スペースはどれだけ確保できるのか」分からないため利用できないという人も多くいるはずです。

そういった人向けに宿泊施設の使い方を案内、施設内でどのように過ごすのがオススメなのかなど自社の魅力を動画で紹介することで、新たな層を獲得することに繋げられます。

そして実際にその施設に宿泊しているかのように、他のツアー参加者や宿泊スタッフとのコミュニケーションを取れる仕組みを作ることで、施設やスタッフのファンになってもらい、実際に足を運んでくれるようにもなるでしょう。

■③実店舗に集客できなくても売上をあげられる
コロナによって緊急事態宣言が行われたり感染リスクを抑えるため旅行へ出かける人は激変し、観光産業をメインにしていた地域は活気がない状態が未だ続いています。

実店舗があるお店はいつまでもお客を待っていても集客が難しいことから、自社が販売している商品をオンライン販売へ誘導したり、ライブコマースによって生産者と直接取引したりすることで売上をあげることができます。

オンラインツアーに掲載したい方向けおすすめサイト3選


オンラインツアーサイトを運営している会社は数多くありますが、その中でもおすすめの会社を3つ紹介していきます。

1.ONTABI(オンタビ)

「ONTABI(オンタビ)」は25以上のサイトを取り扱い1,200件以上のオンラインツアーを網羅している、国内最大級のオンライン検索サイトです。80以上の国と地域、17のテーマ、自由に入力できるキーワード検索から検索できるため、検索しやすい便利な機能を備えています。

運営会社のトラベルズーは国内に100万人、世界に3,000万人の会員を抱える大手旅行メディアです。世界各国の旅行者の声や目線からツアーを開発・運営されているのが特徴です。

ツアーサイト  ONTABI(オンタビ)
運営会社   トラベルズー・ジャパン株式会社

 

2.アクティビティジャパン

「アクティビティジャパン」は大手旅行会社HISの子会社が運営しているだけあって、日本全国約4,000社の提携パートナーの取り扱い、400種目、15,000プラン以上のアクティビティ体験・オンライン体験サービスを提供しています。

HISは海外65か国133都市201拠点、国内200店舗(2021年2月現在)あるだけでなく、200社以上メディア媒体を使って、国内外に情報を発信しています。

言語は日本語、英語、中国語、韓国語、タイ語などで予約ができるため、世界各国から集客できるのが強みです。また旅行当日までインターネットで予約できる柔軟さも魅力的です。

ツアーサイト ACTIVITY  JAPAN(アクテビティジャパン
運営会社   株式会社 アクティビティジャパン(HISの100%子会社)

 

3.ほむすび


ほむすびは地元の方から直接話を聞くオンライン観光と、地域の美味しい食材を堪能できるオフラインがセットになった「地域応援オンラインツアー」に力を入れているのが特徴です。

これは名前にある「故郷(HOME) × 結ぶ(KNOT)」という想いから生まれた、地域と繋がることがサービスにも繋がっています。

運営会社のノットワールドは「外国人向けのツアー事業」「ガイドコミュニティ事業」「外国人旅行者向け・ガイドコミュニティ向けのメディア事業」を行っています。日本の魅力を国内だけでなく海外にも届くよう日本語と英語で発信されています。

ツアーサイト ほむすび
運営会社   株式会社ノットワールド

 

ツアー販売・企画者側の課題

本来、旅行とは実際に足を運び五感で体験するものです。そして旅先で新しい発見をしたり、人と交流することで人生に影響を与えたりすることもあるでしょう。

オンラインツアーの場合は三密を避けられることや、時間・お金をかけなくても手軽に行きたい場所を体験することができるのは良いものの、画面越しではやはり現実と同じような体験をすることが難しいと言えます。

そのためいかにリアルに近い体験を提供することによって、「実際にそこに行ってみたい」と思わせられるかがポイントとなってきます。

また訪日旅行者の多くは日本の「食」「自然・景勝地観光」「歴史・伝統的文化体験」「日常生活体験」への関心が高いことが分かっています。地域ならではの魅力を「多言語」「豊富な知識」「エンターテイメント性」「地域交流」で発信することができれば、

  1. 楽しいと感じた参加者が家族や友人に勧め、オンラインツアーで新たな集客に繋がる
  2. コロナ終息後、オンラインツアー参加者が訪日したいという意識に繋がる
  3. 実際に訪れたことで家族や友人に勧め、また別な新規顧客獲得へと繋がる

といった良い流れになっていくことが可能です。

コロナ禍、コロナ後の集客や継続的な事業に繋がるよう、「企画力」「演出力」「課金の仕組み」「他者との差別化を図り」、以前のような活気ある経済を取り戻していきましょう。

まとめ

オンラインツアーはコロナ禍だけの新しい旅行形態と思っていた方も多いとは思います。商品やサービスを使う前にサンプル品や一定期間の無料体験があるように、旅行業界においても「予習旅」や「体験旅」のサービスを提供することで新規顧客を獲得、実店舗の利用率や商品の購入率のアップに期待できます。

「旅行の代替」として始まったオンラインツアーは、今後「旅行者の背中を押す」コンテンツとして、今後もニーズは高まっていくと予想されます。集客や売上向上に悩まれている方は、ぜひオンラインツアーを企画し自社の魅力を発信していきましょう。

 

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