インバウンド向けの広告・制作業を展開する瀬戸株式会社。質の高いコンテンツ制作の秘訣や、日本の文化に対する思いについてお話を伺いました。

越智 茜 代表取締役社長(写真右)

2008年-2016年まで、英字雑誌の営業マネージャーとして3,700件以上の外国人向け広告プロモーションを担当。2011年、13言語で日本の観光情報を発信する観光サイトjapantravel.comの立ち上げメンバー。外国語での広告展開と紙・ウェブ媒体の制作を専門とし、内閣府、農水省、観光庁、JETRO、東京都、東京観光財団等のインバウンドプロジェクトで進行管理経験を経て、2016年5月に瀬戸株式会社を起業。2016年9月-2017年8月まで、外国人女性のキャリア支援をするNPO団体FEW Japanの役員。

サミュエル・トーマス(写真左)

コンテンツ・マネージャー。The Japan Timesをはじめとする英字媒体へライターとして記事を数多く寄稿。約120か国で放送されているTV番組Fashion One東京編集部の編集長を務めた経験がある。学校法人文化学園の非常勤講師であり、文化服装学院で文化などに関するセミナーを行っている。2017年に東京大学修士号を修了。2017年の環境省事業で国立公園7か所を訪問し、ライターとして記事を執筆するほか、各地で開催された意見交換会へ参加するなど、外国人目線でのコンサルティングを行う。

質の高い広告・コンテンツ制作で、日本の魅力を伝える

代表取締役社長の越智氏。アメリカに在住していたことも。

ー瀬戸株式会社の事業内容を教えてください。

越智氏 弊社は、インバウンド向けの広告・制作業を中心に、「外国人を集客したい」「地域や商品の魅力をもっと伝えたい」とお考えの企業や行政のお手伝いをしている会社です。

広告・マーケティング事業では、外国人向けメディアである『The Japan Times』などの紙媒体や『Japan Travel』などのWeb媒体へクライアントの広告を掲載したり、「Facebook」などのSNSに外国語で広告を掲載し、運用しています。

コンテンツ制作事業では、パンフレットやWebサイトなどの制作や、そこに掲載するコンテンツの制作を多言語で行っています。中でも訪日向けメディアに掲載されるタイアップ記事制作の依頼が多く、外国人に人気の観光地や博物館、アミューズメントパークをめぐる取材で、日々全国を飛び回っています。

その他、観光バスの音声ガイドの多言語翻訳や、魅力が伝わりにくい英文のリライト、インバウンド事業に関するコンサルティングなど、外国人対応におけるさまざまな事業を行っています。

トーマス氏 振り返ると、2016年の創業からこれまで、弊社のサービスはとても自然に広がってきたと感じます。はじめは日本人目線で作った英文のリライトから始まったコンテンツ制作事業も、今では外国人目線による質の高いコンテンツをお求めいただけるようになりました。

弊社のコンテンツ制作には3つの柱があります。まずは、訪日外国人が観光をするうえで困らないよう「必要に応えているかどうか」。次に、記憶に残り、SNSで発信したくなるくらい「魅力的かどうか」。最後に、実際に地域を訪れたり商品を購入する人が増えて「日本の文化を守れるかどうか」です。私自身日本の文化が大好きなので、未来に残していくために日々コンテンツ制作に当たっています。

コンテンツ・マネージャーのトーマス氏。日本文化に深い愛を抱く。

ー他の広告・制作会社と比べて、御社の強みを教えてください。

越智氏 各言語にネイティブな外国人ライターや編集者、翻訳者が制作をしている点です。弊社が制作するコンテンツは、英語や中国語など、ターゲットとなる層の言語でまずは執筆を行い、それを日本語に翻訳してクライアント確認・修正をしていくという、かなり丁寧な手順を踏んでいます。そのため、文章として面白く、読み応えのある記事が出来上がります。

また、紙媒体の制作の場合は、雑誌の編集経験を持つ編集者が必ず編集を行っている点も強みです。英文には編集ガイドラインを規定する「スタイルガイド」が複数存在しており、弊社はその中でも代表的な「シカゴマニュアル・オブ・スタイル」と「APスタイル」に沿って、ライターが書いた記事を編集者が編集・校正しています。経験者にしかできないこの工程を経ることで、質の高いコンテンツが生まれます。

長年メディアに携わってきた私たちだからこそ、品質の良し悪しを判断できて、レベルの高い外国人クリエイターと長く付き合うことができているのだと自負しています。

トーマス氏 外国人目線であると同時に、日本の文化を応援する視点も常に取り入れているのも弊社ならではの取り組みです。たとえば、10年前には英語の辞書に載っていなかった “ kawaii ” という日本語も、今では一つの英単語として辞書に載っているように、言語は常に進んでいくものです。だからこそ、“ onsen ” や “ kogei ” のような、今はまだ馴染みがなくても2〜3年後には広まっていそうな日本語は、イタリック体(文字を斜めに傾けたもの)ではない通常の表記で記載し、積極的に外国人に発信するようにしています。

もちろん、綿密なリサーチ力も強みです。広告のターゲットとなる国や地域ごとにSNSを使い分けられるよう情報を集めたり、SNS上で人気の写真や文章の特徴をいつもチェックしています。また、今の訪日東アジア人の行動パターンは前の時代の欧米人と非常に似ているため、現在の欧米人の行動から、次にアジアから求められる歴史的で文化的な経験を予測し、コンテンツ制作に活かしています。

行政や大手企業のインバウンド事業における制作実績多数!

京都にある鍛刀場での取材撮影の様子

京都のとある鍛刀場での取材の様子。ライターやカメラマンとともに、質の高いコンテンツを制作している。

ーこれまでの制作実績を教えてください。

越智氏 環境省の事業の一環で国立公園の英字パンフレットを制作したり、伊勢丹新宿店様のインバウンド向けSNSや富士通様のJAIMSプロジェクトサイトに掲載するコンテンツを制作したり、さまざまな業界・媒体で実績があります。

最近だと、とある新幹線沿線の12都府県を回って制作した広告動画が、東アジアで通常の5倍、欧米で2倍の運用効果をあげることができた実績があり、弊社のコンテンツやターゲティングの質が徐々に上がってきていることを感じています。

ー事業運営にあたって大切にしていることは何でしょうか。

越智氏 日本の素晴らしい文化を英語で魅力的に伝えたいという思いは、起業時から変わりません。私は日本人寄りの感覚を持っていますが、海外在住経験もあるため、どちらの視点も持ちながらコンテンツを作ることを意識しています。

トーマス氏 同様に、私もバランスが大切だと思っています。日本人と外国人の考え方を両方持ったうえで、その間でコンテンツを作りたいので、越智と二人でキャッチコピーを考えることも多いです。

地域や予算を問わず、必要な人にサービスを提供していきたい

東京・お台場に位置する「the SOHO」にオフィスを構える同社。さまざまなスタートアップ企業と交流しながら、日々事業に取り組んでいる。

ー会社として目指している今後のビジョンを教えてください。

越智氏 弊社のサービスは東京だけでなく地方にも必要だと思っているため、今後5年10年でスタッフや拠点を増やし、必要な人にサービスを届けられるような環境を作っていきたいです。

また、これまではコンテンツの質の高さにこだわってきましたが、今後は少ない予算でも対応できるようなコンテンツ制作もはじめていき、外国人対応にお困りの方のお手伝いをより幅広く展開していきたいと考えています。

トーマス氏 2020年の東京オリンピックをきっかけに、翌年以降も訪日外国人数は伸びると予測しています。そのため、常にオリンピックより先を見据えながら、たくさんの仕事ができるよう優秀な人材を育て、質の高いクリエイターが集まる会社となるよう努力していきたいです。

ー最後に、インバウンド事業に取り組まれている方々へのメッセージをお願いします。

越智氏トーマス氏 インバウンド向けのコンテンツ制作において、弊社は絶対の自信を持っています。日本の文化を守り、伝えていくための良いコンテンツをお求めの方は、是非ご相談ください。

会社情報

会社名 瀬戸株式会社 (SEDO Co., Ltd.)
代表 越智 茜
住所 〒135-0064 東京都江東区青海2丁目7−4
URL http://sedo.co.jp/

バウくんのひとことメモ

バウくん
外国人のクリエイターとともに、紙・Web問わず質の高いコンテンツを制作している会社だバウ。外国人目線の情報発信や、ネイティブによる正しい外国語での情報発信をご希望の会社さんはぜひ相談してみるのがおすすめバウ。