日本では2020年春頃に5Gのサービスがスタートすると予定していますが、アメリカやイギリスなど一部の国ではすでに開始しています。
そしてドローンやAIロボットなどハードウェアを作る高度な技術者を求め、IT企業は教育投資と人材確保に力を注いでいます。
台湾にはアメリカ大手IT業界であるGoogleやアマゾンなど、R&D(研究開発)センターの建設が増えています。IT業界は巨額な費用を投資し、そしてなぜ台湾に集まるのでしょうか。どういった視点で台湾に魅力があるのか、理由を紹介していきます。
目次
googleが台湾にアジア最大オフィスを拡張
Googleは台湾の新北市板橋區(Banqiao District, New Taipei City)に2020年に完成予定のR&D(研究開発)センターである複合施設を建設しています。
施設の場所は公園とテクノロジー工業団地が併設された、台北遠東テレコムパーク(通称T-park)内にあります。509mの高さの台北のシンボルである台北101には台北Googleの本部が入っており、その新しい施設までは車で20分くらいと近いところあります。
現在台湾では2,000人の従業員を抱えていますが、この新しいR&Dセンターではその2倍の4,000人が収容できるという巨大な施設です。Googleは女性を中心とした数百名の新たなエンジニア人材の雇用を確保しオフィスを拡張していく計画です。
HTCの買収で台湾がアジア最大のエンジニアリングハブへ
Googleハードウェア部門の責任者シニアバイスプレジデントのRick Osterloh氏は、「台湾をアジア最大のR&D(研究開発)拠点に位置付けている」と発言しています。
Googleは2018年1月にHTC(宏達国際電子)からスマートフォン事業の一部を11億米ドルの巨額の資金を投じ買収し、台湾はグーグルにとってアジア最大の開発拠点へと変わりました。
Googleに移籍した元HTC従業員約2,000人は、新北市店区にあるHTC本社でそのまま勤務でき、給料は年間で最大約100万元の増加になるようです。
台湾を研究開発拠点の強化する目的とは
台湾に重要な拠点構えようとしているのは、実はGoogleだけではありません。アメリカのアマゾンやマイクロソフトIT業界大手も続々と参入し、研究開発拠点として巨額な投資をしています。
Google台湾R&Dチームは、以下のようなハードウェア開発・実証実験の場として重要な役割があると示しています。
・5G(2020年に商用サービスが始まる第5世代移動通信システム)
・AI(人工知能)
・VR(仮想現実、バーチャルリアリティー)
・AR(拡張現実)
・IoT(モノのインターネット)
・360度カメラ
など
Googleだけに限らず他のIT大手も台湾全体でR&D拠点の地位をさらに高め、ソフトウェア事業を中心としたIT業界を盛り上げて行くこととなるでしょう。
台湾が選ばれる理由
なぜ台湾という地に巨大な投資しオフィスの拡大をしていくのでしょうか。台湾を重要視する背景にはハードウェア部門を強化したい狙いがあることです。
まずハードウェア面で台湾の人材は高度な技術を持ち合わせており、日本や韓国などアジアで比べると比較的低賃金で雇用できるからです。さらに生活費用が安いこともあります。
PCメーカーが多い台湾に拠点を構えることでその分野での人材が集まりやすいため、ハードウェアのサプライチェーンを構築するのに強みがあると考える企業が、新たな投資先として力を入れています。
インテリジェント台湾計画
2018年に始動したGoogleのAI人工育成支援プログラム「インテリジェント台湾」は1周年を迎えました。
この計画には人材・経済・エコシステムを軸とし、AI(人工知能)人材を強化するため、AIトレーニングに約5,000人の学生に教育訓練をし、デジタルマーケティングには約5万人の育成をしたと初年度の目標が達成されました。来年度はこの2倍の目標数値を掲げています。
AI関連の人材を育成するには、まずAI学習のハードルを下げることが必要となります。そこで学校向けのプログラムとして教師80人に育成をし、地方ではデジタルマーケティングのワークショップを開催するなど予定しています。
AI教育・デジタル教育の普及を強化し、より専門的で高度な人材を育成することが必要です。
台湾は今後もアジア最大のAIハブとして進化する見込み
IT業界大手であるアメリカのGoogle・アマゾン・マイクロソフトは続々と台湾にオフィスを拡張し、ハードウェアの研究開発拠点を強化するため巨額な投資をしていることが分かりました。まもなく始まる5Gの商業サービスにAIやIoTなどインターネットの世界はますます進化することで、私たちの生活は大きく変わっていこうとしています。
AIやデジタルマーケティングの教育を進め、より便利で素晴らしい時代の大きな変化には、さらなる強い後押しが必要になっていくでしょう。