訪日香港人観光客の特徴!動向データから読み解くインバウンド対策 

2019年の訪日香港人客数は第4位、そしてリピーター数は世界一を誇っています。訪日香港人の集客は、インバウンド対策で今や欠かせない存在です。

この記事ではそんな「訪日香港人観光客」と「香港人」の基本情報や特徴、そして「訪日香港人のインバウンドデータ」を詳しく紹介していきます。この記事を参考に訪日香港人客を魅了し、自社の商品・サービス・お店などの集客や購買率を上げるためのヒントを掴んでいきましょう。

訪日香港人観光客の基本情報

出典:日本政府観光局(JNTO)

1位:中国(959万人)
2位:韓国(558万人)
3位:台湾(489万人)
4位:香港(229万人)
5位:米国(172万人)
6位:フィリピン(61万人)

訪日外国人客数は2019年時点で3,188万人です。最も多いのが中国で、香港は第4位(229万人)にランクインし、全体の約7.2%を占めています。安倍元首相が議長とした「明日の日本を支える観光ビジョン」では、訪日外国人旅行者数を策定した2012年時点で年間836万人でした。

そして訪日外国人旅行者数を2020年には4,000万人、2030年6,000万人を目標とし、「戦略的なビザの緩和、航空ネットワーク拡大、出入国管理体制の充実、免税制度の拡充」などを行った結果、2015年1,974万人、2019年188万と順調に伸び続けてきていました。

しかし新型コロナウイルス感染症の発生で全世界を対象とした入国制限がかかり、4,000万人の目標達成は途絶えてしまったのです。しかし「終息次第、政府一丸・官民一体となって全力で取り組んでいく」と観光庁長官田端浩氏は発表し、インバウンドビジネスを行っている人にとってはただただ終息することを期待するしかなさそうです。

訪日香港人の「年間訪日客数推移」

出典:日本政府観光局(JNTO)

日本政府観光局(JNTO)の調査による訪日香港人の10年間の推移を見ていきましょう。2009年45万人、2010年50.9万人、2011年には36.5万人と一度落ち込んだものの、2012年からは急激に変化し2018年には220.8万人まで拡大してきました。2011年から2018年の伸び率は驚異の約4.9倍となっています。

2019年3188万と5年間ずつで見ても大きく拡大しています。2020年には4,000万人を超える予想をするほど順調に伸びていたものの、新型コロナウイルスによって、今では4,000万人の動きは止まってしまいました。

各国・地域別の内訳で訪日客が最も多い国は中国(954万人)、次に韓国(558万人)、台湾(489万人)、香港(229万人)の順となり、全体の7割が東アジアが占めていることとなります。

訪日香港人の「月別客数推移」


出典:日本政府観光局(JNTO)

訪日香港人が最も多い月は、クリスマスと翌年元旦の連休が取得できる12月(249,642人)です。次に学生の夏休み期間である6月(209,030人)と7月(216,810人)も人気があります。一方で最も訪日者が少ない月は、1月(154,292人)と9月(155,927人)です。

訪日香港人の「訪日回数」


出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」

訪日者数が多い上位4つの国と地域「中国、韓国、台湾、香港」の訪日回数を比べてみましょう。訪日者数が最も多かった中国は60%の人が初めての来日者ですが、4位の香港は訪日者全体の83%が2回目~9回目以上で訪日経験者です。さらにそのうち20%は10回以上も訪れたことがある、世界で最もヘビーリピーターが多い地域です。

性別・年代別で多いのは1回目20代、2回目~9回目30代、10回以上では40代が多い傾向にあります。男女の割合は約 4:6と、どの世代でも女性の割合が高くなっています。

訪日香港人の「旅行目的」


出典:JNTO(日本政府観光局)「訪日旅行データハンドブック2019年」

日本滞在中の香港人の行動を見ていきます。「旅マエで予定していたこと」「旅ナカで実際にしたこと」「次回したいこと」では第1位に「日本食を食べること」次に「ショッピング」「自然・景勝地観光」「繁華街の街歩き」「温泉入浴」の順で人気が高いです。普段お酒を飲む習慣がない香港人ですが、ヘビーリピーターは日本のお酒を楽しむこと行動が上位にきています。

訪日香港人の「滞在日数」


出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」

日本での滞在日数は訪日回数問わず、平均的に5泊~6泊となっています。10回以上訪日している人は14日間以上1年未満の数値が若干高くなっています。

訪日香港人の「消費額」


出典:JNTO(日本政府観光局)「訪日旅行データハンドブック2019年」

日本滞在中の1人当たりの支出額は2011年11.8万円から2015年まで増加していったのは、爆買いが流行った「モノ消費」の傾向が高まっていたことによるものと言えます。そして2016年からは15万円~16万円と落ち着いていっているのは、物では購入することができない、文化や自然体験などの「コト消費」へと変化していったことも要因となっています。

訪日香港人に「人気の都道府県」


出典:JNTO(日本政府観光局)「訪日旅行データハンドブック2019年」

都道府県別人気の訪問地は「東京都」「大阪府」「千葉県」「京都府」「福岡県」と大都市が上位を占めており、6位以降は「北海道」「沖縄県」「奈良県」「愛知県」「兵庫県」の地方都市が人気です。香港では味わえない雪景色、桜並木、美しいビーチなど自然を感じられることや、地域ならではの文化体験ができるコト消費傾向が訪問地への人気度へと繋がっています。

訪日香港人に「購入率/人気の買い物場所」


出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」

購入率が高いのは「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」「菓子類」「飲料・酒・たばこ・その他食品」「服・かばん・靴」です。そのため買い物場所は「ドラッグストア」「コンビニエンスストア」「スーパーマーケット」「百貨店・デパート」が人気です。また香港人は「限定」の言葉に弱いため、「地域・期間限定」の食べ物やグッズ商品を購入する人も多くいます。

訪日香港人観光客の特徴

人気の観光スポット

日本滞在の旅行で人気なのは「アミューズメントパーク」「自然や文化体験」「ショッピング」です。訪日香港人はリピーターが多いため、訪日回数が少ない場合はショッピングや香港には存在しないアミューズメント施設へ行き、訪日回数が増えるごとに四季や自然を楽しむ傾向が強くなります。また観光客が少ない穴場や地方へ行き、1つの場所だけに滞在するのではなく、さまざまな都市や観光地を短期間で巡りたいという願望があります。

・「アミューズメントパーク」:ハウステンボス、忍者村、スノーモービルランドなど
・「自然や文化体験」:温泉、山や海、お花見や紅葉、城、浴衣着など
・「ショッピング」:アウトレットモール、新しいショッピングビルなど

夜間の行動が好き

香港は屋台が立ち並ぶ夜市(ナイトマーケット)が開催されているため夜遊び好きで、深夜まで営業している商業施設やショッピング施設で時間を無駄なく使う人も多くいます。

日本食好き

香港人は「美食家で、健康によく、美味しい食べ物に目がない」ため、和食、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどの日本食が人気です。香港の食文化は、野菜、お肉、魚を生で食べる習慣がほとんどありません。しかし日本は高い衛生環境と管理が行き届いているというイメージから、カニ、カキ、寿司、刺身などの生ものを日本で食べる人が多くいます。

香港の基本情報

■国名
香港

■正式国名

中華人民共和国香港特別行政区
(Hong Kong Special Administrative Region of the People’s Republic of China)

■面積

約 1,106km2(東京の約半分)
主要の香港島・九龍半島・新界の3島と200以上の島々で構成され、面積は東京都の約半分ほどです。

■人口

約748万人(2019年)
全体の95%は華人(香港人)が占めています。残りの5%フィリピン・インドネシア人はメイドとして働く人、イギリス・アメリカ・日本人は香港でビジネスに関わる人たちです。

■民族構成
約92%が華人、約8%はその他の民族です。

■政体

社会主義と資本主義が併存する、一国二制度(一国両制)の世界で見ても独特な政体です。

■通貨

香港ドル(1香港ドル=13.59円)2020年9月時点

■宗教

仏教、道教、キリスト教(プロテスタント、カトリック)がメインで、その他にイスラム教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、シーク教などがあります。中華圏以外の国の人も多く住むことからさまざまな宗教が集まり、寺院やモスクなど建物もそれぞれあります。

■言語

広東語、英語、中国語の標準語(普通話)。
香港の公用語は中国語の方言である「広東語(カントンゴ)」「英語」を使い、公の場やイギリス系の会社では「英語」と「中国語の標準語(普通話)」の表示があります。

文字は「繁体字(画数が多く、日本の漢字と似ている)」を使っていますが、2000年頃からの中国本土が使用する「簡体字(簡略化した漢字)」の影響を受けているため、両方の漢字が融合する香港独特の文字表記です。
「中国語の種類」「繁体字・簡体字」について詳しい記事はこちら

■時差

日本より1時間遅いです。サマータイムはありません。

■歴史

香港は1842年~1997年までイギリスが統治し、1997年に中国に返還されましたが、それまでは自由貿易港によって世界有数の貿易経済都市として大きく発展しました。155年間という長い歴史があったことから、中国として完全に機能できるまで時間が必要とされているため、1つの国(中国)で二つの制度が存在する「一国二制度(一国両制)」が2047年まで採用されています。

香港の国旗(正式には区旗)は香港の市花であるバウヒニアの花(白色)が資本主義を表し、社会主義を表すカラー(赤色)の一国二制度を象徴するデザインとなっています。

■主要産業

金融業、不動産業、観光業、貿易業

■気候

香港は亜熱帯地域に属しているため、3月~9月までは湿度と温度が高く衣類にカビが生えてしまうこともある夏の時期です。10月~2月までは10度前後になるため日本の真冬ほどではありませんが冷え込み、ジャケットやコートが必要となることがあります。

■祝祭日

香港の祝祭日」について詳しい記事はこちら

香港人の特徴

国民性/性格

■お金の無駄使いが嫌い
損得勘定に敏感で価格の比較やお得な買い物をしたが傾向にありますが、旅行や買い物など自分の好きなことに関してはお金を惜しみません。

■中国人とは思っていない

イギリスの統治時代が長かったことから、国民の8割以上は「自分は中国人ではなく、香港人である」というアイデンティティを持っています。中国と香港は、政治・経済・文化・通貨・インターネット規制など多くのことが異なるため、その傾向は年々強くなっています。

■異国・外国人に慣れている

イギリスが統治していた時代と自由貿易によってビジネスで外国人と触れ合う機会が多いことから、異国文化や外国人に慣れています。

■助け合いや思いやりの心を持っている

知人・友人・観光客など困っている人がいれば、自ら話しかけ手を差し伸べてくれる人が多くいます。

■せっかち

要領が良く効率性を求めるあまり、歩くスピード・メールの返信・エレベーターでの開閉ボタンなどせっかちです。

■主張が強い

自立心や強いことや個人主義の人が多いため周囲の意見に流されず、自分の思っていることはしっかり伝える傾向にあります。

習慣

■一口ずつ分け合って食べる
さまざまな種類を少しずつたくさん食べたいので、料理をシェアすることや自分で自由に取って食べられるバイキングが人気です。

■お酒を飲む機会が少ない

結婚式や宴会などのお祝いの席ではお酒を飲みますが、日常的にはお酒ではなくご飯を食べにいく機会が多いです。

■健康意識が高い

香港人で太っている人があまりいないのは、健康やスタイル維持に意識が高い人が多いからです。そのためランニングしている人をよく見かけ、ジムやヨガスタジオも多くあります。また日本人よりも平均寿命が長く世界一なのは、この健康意識が高いことが要因となっています。

香港人と接する際に気をつけるべきマナー

■同意の時は首を横に振る
日本では「同意・賛成・YES」という場面では首を縦に振りますが、香港では「NO」と反対の意味を持ってしまいます。ただ年齢が若い人はそうではないこともあるので、ビジネスシーンで年齢層が高い時には注意が必要です。

■レディーファースト

料理の取り分けやお店に入る際のドアを開ける時など、レディーファーストで接することが大切です。

■自分で片付けないこと

レストランでは案内をする人、注文を取る人、配膳する人、食器を片付ける人と担当者が決まっています。そのため人の仕事を奪うようなことは悪い行為となってしまうので、自分で食器を片付けることはしないようにしましょう。

香港で人気の高いSNS

香港人が使うSNSのランキングは以下の通りです。(2019年の結果)香港ではFacebook、YouTube、WhatsApp(日本でいうところのLine)が上位を占めています。

第1位:Facebook(フェイスブック)85%
第2位:YouTube(ユーチューブ)83%
第3位:Whats App(ワッツ・アップ)82%
第4位:Instagram(インスタグラム)57%
第5位:WeChat(ウィーチャット)53%
第6位:FB Messenger(フェイスブック・メッセンジャー)50%

参考:slideshare「Digital 2019 Hong Kong」

中国本土とは違う、香港という地域を十分に理解することが大事

この記事では「訪日香港人観光客」と「香港人」の基本情報や特徴について詳しく紹介しました。訪日外国人客数は年間で3,188万人、香港人は年間229万人が訪れています。訪日回数、滞在日数、消費額が多い訪日香港人を集客するためには、中国とはまた違った「香港」という特別な地域の文化・歴史・国民性を十分に理解することが重要です。

そうすることで、自社ではどのようにしていけば訪日香港人に魅力に映るか少しずつ分かっていくはずです。現在は新型コロナウイルス感染症の影響で集客は難しいものの、アフターコロナでスタートダッシュするためにも、今から明確な戦略を練っていきましょう。