【2021年版】香港の祝日・休日はいつ?香港人に効果的なインバウンド対策

香港人は「お金」と「休日」の使い方が上手な国民です。まずお金の使い方に関して、普段の生活では割引できる方法やお得な情報を手に入れ、無駄な出費を減らす努力を欠かしません。

香港人は投資が好きなので自分で資産運用できるほど十分な知識を持っており、どんどんお金を増やしていきます。そして旅行や趣味など自分が好きなことにはお金を惜しまない使い方をします。

また休日に関しては、有給は少しも残さず100%取得するのは当たり前で、祝日と有給休暇を上手く組み合わせた長期休暇で世界各国を旅するのが特徴です。香港人の海外旅行先には日本も上位へランクインし、年間489万人が日本を訪れています。香港の人口は745万人(2018年時点)なので、1.5人に1人が訪日している計算となるのが驚きです。

訪日香港人向けのビジネスを行っているお店や企業で、少しでも多くの香港人を集客したいと考えている方は多いでしょう。しかし「いつ・どうやって集客すればいいのか分からない」と悩む方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では「2021年版!香港祝日・休日カレンダー」と「訪日香港人に効果的なインバウンド対策」について紹介してきます。この記事を参考に、多くの訪日香港人を効果的に呼び込んでいきましょう。

【2021年版】香港の休日・祝日


リピート率が高い訪日香港人を惹きつけるということは、お店・商品・サービスの売上や集客アップへと期待できます。訪日香港人のインバウンド対策についてお話する前に、まずは香港にはどのような休日・祝日があるのか、2021年のカレンダーから見ていきましょう。

香港の休日・祝日とは?

日本でも公休や新しいカレンダーが発売された際には、「長期連休を取得するためには、何日間有給を消化すればいいのか」と計算する人もいることでしょう。香港も同じで「いつ・どこで有給を取得すると、長期連休にできるか」と計算することを「連休攻略」と呼び、香港中で多くの話題となります。というのも香港では有給は100%消化するといっていいほど無駄なく有給を使うため、喜ぶ市民はSNSでこの攻略法をシェアしています。一方で経営者は顔を曇らせるのが恒例です。

香港の都心部は平日、超高層ビルやネオンが輝く場所で賢明に時を過ごしています。そのため週末には郊外にある海・山・ダムなどの自然溢れるところへ行き、長期休暇が取得できる際には非日常を味わうために海外旅行でリフレッシュする過ごし方も一般的です。また祝日に合わせた各都市のイベント開催や、実家でご馳走を並べ家族や親戚とのんびり過ごすこともあります。

「2021年版」香港の休日・祝日カレンダー

香港政府が2020年5月15日に、2021年度の香港の公休日を発表しました。日本の休日事情と同様に、基本的には毎週日曜日が休み、そしてほとんどの企業では土曜日と日曜日の週休2日制または土曜日の午後を休みとしています。カレンダーは祝日が土曜日になる場合は、振替休日は設定されません。

  【日付】 【休日・祝日の名称】    【最大取得連休】
  1月1日(金) 正月元旦 1月1日(金)~1月3日(日)
3連休
  2月12日(金)~15日(月) 春節 2月12日(金)~2月21日(日)
10連休(4日取得)
  4月2日(金)    ~3日(火) 那蘇受難節 4月2日(金)~4月13日(日)
10連休(3日取得)
  4月5日(月) 清明節     〃
  4月6日(火) イースター     〃
  5月1日(土) 労働節 5月1日(土)~5月2日(日)
2連休
  5月19日(水) 仏誕節 5月19日(水)~5月23日(日)
5連休(2日取得)
  6月14日(月) 端午節 6月12日(土)~6月14日(月)
3連休
  7月1日(木) 香港特別行政区成立記念日 7月1日(木)~7月4日(日)
4連休(1日取得)
  9月22日(水) 中秋節の翌日
9月18日(土)~9月22日(水)
または
9月22日(水)~9月26日(日)
5連休(2日取得)
10月1日(金) 国慶節
10月1日(金)~10月3日(日)
3連休(1日取得)
10月14日(木) 重陽節 10月㏭(木)~10月17日(日)
4連休(1日取得)
12月25日(土) 聖誕節
12月25日(土)~12月31日(金)
9連休 
12月27日(月) ボクシングデー     〃

参考:香港経済新聞

香港の祝日概要

香港は1997年までイギリスが統治していた歴史が関係し、宗教は「仏教、道教、キリスト教」また祝日によっては「旧暦、新暦」が混在されているのが特徴です。旧暦で定められた祝日は毎年日付が異なるため、注意が必要です。

■元旦
「元旦」は日本と同様に新暦の正月で、毎年1月1日が祝日となります。旧正月の方をメインとして祝いますが、香港では新暦の元旦も祝日となっています。

■春節

「春節(しゅんせつ)」は旧正月のことを指し、中国にとって大切な祝日の1つです。中華圏では新暦のお正月より、旧暦のお正月の方が盛大に祝うため、ほとんどの学校・会社・お店などが休みとなります。旧暦は月の満ち欠けの周期である29日で1ヵ月を決められているため、新暦のように1月1日と定めることができず、毎年春節の日が異なるのは当たりまえです。

■那蘇受難節
「耶蘇受難節(レント)」はキリストが十字架に張り付けられ、処刑された日(聖金曜日)のことです。香港の場合は、聖金曜日(グッドフライデー)と呼び、その翌日土曜日(レント)にキリストの死をしのび祈る日として連休になります。

■清明節
「清明節(せいめいせつ)」は日本で言うお盆のようなもので、春分の日から15日目に設定された中国の祝日です。この日は親族揃って先祖のお墓へ行き草むしりなどの掃除の後に、綺麗になったお墓へ故人が好んでいた食べ物・飲み物などご馳走をお供えします。さらに「あの世で満足に暮らしていけるように」という意味を込めて、紙で作られた偽の紙幣を燃やすのが習慣です。

■イースター
「イースター」は復活祭とも呼ばれています。キリストが十字架に張り付けられ処刑された日(聖金曜日)から3日後に蘇り、弟子たちの前に表れた日を祝う日です。

■労働節
「労働節(ろうどうせつ)」は毎年5月1日に制定され、世界の約80カ国が労働者を祝う日でメーデーとも呼ばれています。

■仏誕節

「仏誕節(ぶったんせつ)」は旧暦4月8日に誕生したお釈迦様(ブッタ)を祝う日です。旧暦のため毎年日付が変わります。イギリスから中国へ返還された2年後の1999年から制定された祝日です。

■端午節

「端午節(たんごせつ)」は旧暦5月5日に行われ、季節を分ける日として祝う日です。旧暦のため毎年日付が変わります。中華圏では「春節(旧正月)」「中秋節」「端午節」が中国伝統の三大節句とされています。香港では端午節の日に各地でドラゴンボートレース(龍船)が開催されたり、ちまきを食べたりして邪気払いや厄除けを行う習慣があります。

■香港特別行政区成立記念日
「香港特別行政区成立記念日」は1997年7月1日に香港はイギリスから中国へ返還されたことを記念する日です。毎年7月1日には香港コンベンション&エキシビジョンセンター前の返還記念碑で、区旗掲揚のセレモニーや花火大会などが盛大に行われます。

■中秋節の翌日
「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」は旧暦8月15日に行われるお月見を楽しむ日で、中国伝統の三大節句の1つでもあります。旧暦のため毎年日付が変わります。その年の豊年に感謝と翌年の豊作や健康を願い込めて、月見と月餅(げっぺい)を家族や親戚が集い食べながら過ごします。

「中秋節」についての詳しい記事はこちら

■国慶節

「国慶節(こっけいせつ)」は毎年10月1日に祝う、中国の人民共和国の建国記念日です。

■重陽節

「重陽節(ちょうようせつ)」は奇数(陽)が重なる日の旧暦9月9日なため、重九節とも呼ばれています。元々は疫払いの日でしたが、高いところには幸運が訪れるとされることから山へ登り、秋の紅葉やハイキングを楽しむこと、そして伝統菓子を食べる吉祥の日へと変化していきました。

■聖誕節
「聖誕節(せいたんせつ)」はクリスマスです。街はクリスマスのデコレーションとイルミネーションで、普段のネオンが広がる街並みよりさらに美しい景色へと変わります。

■ボクシングデー
「ボクシングデー」はスポーツのボクシングの意味ではありません。由来ははっきりしておらずいくつか諸説はありますが、貧しい人たちのために教会が寄付を募り、集められた箱(Box)に入ったクリスマスプレゼントを開け配った日とされています。香港だけでなく、イギリス、オーストラリア、カナダなどの国に多い祝日です。

訪日香港人の観光客数データ


実際にどれほどの香港人が日本を訪れているのか、訪日者数が多い他の国・地域と比べながらデータを見ていきましょう。

各国・地域別の内訳(2019年):訪日客が多い国の順番は?香港は何位?


出典:日本政府観光局(JNTO)

各国・地域別の内訳で訪日客が最も多い国は中国(959万人)、次に韓国(558万人)、台湾(489万人)、香港(229万人)の順となり、全体の7割が東アジアで占めていることが分かります。

訪日した総客数は2010年861万人、2015年1,974万人、2019年3188万と大きく拡大しています。2020年には訪日客数が4,000万人を超える予想をするほど順調に伸び続けていたものの、新型コロナウイルス感染症によって今ではその動きは止まってしまいました。新型コロナウイルスが終息次第、訪日客数はまた増え続けていくだろうと予想されています。

年別訪日客数推移:訪日香港人は年間何人来ているのか?

出典:日本政府観光局(JNTO)

過去9年間の訪日香港人の観光客推移は2011年(364,865人)、少し飛ばして2017年(2,231,568人)までは大きく拡大しています。2018年には(2,207,804人)若干減少しているものの、2019年には(2,290,792人)また増加しています。訪日香港人が段階的に増え始めた2011年から2019年の9年間の増加率は、驚異の約6.3倍という結果です。

月別訪日客数推移:訪日香港人は何月が一番多いのか?

出典:日本政府観光局(JNTO)

訪日香港人が最も多い月は12月(249,642人)で、6月(209,030人)と7月(216,810人)も20万人を超えるほど人気があります。その理由はまず12月にクリスマスと翌年元旦の連休を合わせると11日程度の連休が可能となること、6月7月は学生の夏休み期間のため訪日香港人が多くなっているようです。訪日香港人が最も少ない月は1月(154,292人)と9月(155,927人)となっています。

東アジア4カ国の訪日回数比(平成29年):リピート率が多い国の順番は?香港は何位?


出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」

訪日観光客数が多い中国、韓国、台湾、香港の東アジア4ヵ国でリピート率を見てみると、台湾も80%と非常に高いリピート率ですが、訪日香港人の方が83%と最も高い数値になっています。香港の訪日10回以上のリピート率は20%と高く、リピート回数が上がるごとに年代は20代、30代、40代へと上がる傾向にあります。

訪日香港人の3つのインバウンド対策


驚異のリピーター率を持つ訪日香港人ですが、「地理的に旅行しやすい」「LCC(格安航空会社)の利用によって金銭的負担が少ないこと」「観光庁のプロモーションの工夫」が大きな結果へと導いて言えます。今後も多くの香港人が日本を訪れると予想されていますが、どのような対策をとっていけばいいのでしょうか。

対策①訪日香港人が旅行前によく使う情報源を利用する

自社商品やサービスの魅力・情報を、香港人にどのように届けるかが重要です。インターネットで情報を発信する場合は「個人ブログ」が40%と最も多く、次に「観光局のホームページ」「旅行会社ホームページ」「SNS」が人気の情報収集源となっています。

香港人が使うSNSは以下が通りです(2019年の結果)。最も多いのがFacebook、YouTube、Whats Appなので、このSNSを活用してどれだけアプローチできるかがカギとなっていきます。

第1位:Facebook(フェイスブック)85%
第2位:YouTube(ユーチューブ)83%
第3位:WhatsApp(ワッツ・アップ)82%
第4位:Instagram(インスタグラム)57%
第5位:WeChat(ウィーチャット)53%
第6位:FB Messenger(フェイスブック・メッセンジャー)50%

参考:slideshare「Digital 2019 Hong Kong」

対策②SNSなどでのクーポン配信

香港人はお金好きの国民が多いため無駄使いせず投資で増やし、旅行や趣味などの自分が好きなことにはしっかり費やすというお金の使い方にメリハリがある国民性です。そのため訪日香港人へ向けて「●%OFF」「●円引き」と記したクーポン発行でお得な割引によって、訴求効果が得られる傾向にあります。発行方法はSNS、旅行サイト、インバウンドメディアサイトなどが一般的ですが、ターゲットの属性によって使い分けると効果が出やすくなります。

さらに旅ナカはもちろん、旅マエのタイミングで消費者にお得情報をリーチできれば、商品の購入率やお店の来店率が上がりやすくなるでしょう。クーポンの発行以外にも購入とともにサンプルを配るということも効果が得やすくなります。

対策③香港人インフルエンサー(KOL)を活用

香港人KOLのインフルエンサーを活用して、自社の商品やサービスの魅力を発信していく方法です。「KOL」とは「キーオピニオンリーダー(Key Opinion Leader)」を略した言葉で、ブログやSNSで発信した情報によって消費者に購買意欲を与える人の事を指します。「インフルエンサー」も消費者に影響を与える人として同じと思われますが、明確に異なるのは「専門性の有無」です。

インフルエンサーは一言でいうと「人気者」ですが、KOLの場合はある特定の分野やジャンルで「深い知識、実績、経験、信憑性の高さ」などが評価されたプロフェッショナルのことを指します。具体的にどのような違いがあるのか、例を見ていきましょう。

例①「SNSフォロワー100万人!旅行マニアが教える、お得で便利な航空券の取得方法」
例②「SNSフォロワー100万人!現役CAが教える、お得で便利な航空券の取得方法」

上記の場合、前者がインフルエンサーで、後者KOLです。この例ではFacebookやインスタグラムなどのSNSでフォロワーが100万人いるとなれば、いずれも相当消費者への影響力がとても強い人と言えます。しかし実績や経験があった上で専門性・信憑性が高い後者の方が、説得力や訴求力が高いと言えるでしょう。このKOLを使ったマーケティング方法は香港だけでなく、台湾や中国本土でも近年人気の手法です。

有給取得率100%、訪日リピート率世界一の香港人を集客しよう

この記事では「香港の祝日・休日カレンダー」と「訪日香港人に効果的なインバウンド対策」について紹介してきました。香港は1997年までイギリスが統治していたため、未だイギリス文化が多く残り、祝日はキリスト教に関することがあります。その他に仏教、香港固有の記念日、中国伝統行事と国際色豊かな祝日を楽しむことができます。

さらに日本の祝日には無い「旧暦と新暦」が混在している祝日ということも非常に面白く、中華圏ならではの暦の数え方が特徴です。ここで気をつけなければならないことは、旧暦を使っている祝日は毎年日付が異なることです。訪日香港人を集客したい方は「今年の香港の祝日はいつなのか」ということをしっかり確認し、リピート数世界一の香港人を多く呼び込んでいきましょう。

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