「旅券の日」というのをご存じでしょうか?
外務省で定められた「旅券の日」に、パスポートの発券数を1年ごとに集計・発表しています。
日本人はどれほどのパスポート取得率なのか、気になる方はいるのではないでしょうか。
そこで今回は2022年の
・日本人のパスポート発券数
・世界の最強パスポートランキング
・日本人のパスポート保有率
について解説していきます。
毎年2月20日は旅券の日
1878年(明治11年)2月20日に「海外旅券規則」が外務省布達第1号として制定されました。そこで「旅券」という言葉が初めて法令上で使われたことを記念して、1998年(平成10年)の2月20日から「旅券の日」として定められました。
外務省は暦年(1月から12月まで)で集計された旅券統計を、旅券の日に合わせて発表しています。次の項目では2022年の旅券数について紹介していきます。
*2023年(令和5年)の旅券統計は令和6年2月20日に外務省のホームページにて公表予定です。
外務省ホームページ:旅券統計
2022年の日本人パスポート発券数
ここでは2022年の日本人パスポート発行数、有効旅券総数、一般旅券年代別・性別発行数(国内)を詳しく紹介していきます。
一般旅券:
公用旅券以外の旅券であり、有効期間が5年、10年及び有効期間を限定したものがある
公用旅券:
国の用務のため外国に渡航する者等へ発給される旅券(外交旅券を含む)
発行された旅券数の内訳
■発行された旅券(パスポート)発行総数の直近3年の推移
・2020年(令和2年):1,338,904冊(前年比 - )
・2021年(令和3年): 628,228冊(前年比 46.9%)
・2022年(令和4年):1,366,581冊(前年比 217.5%)
■2022年(令和4年)発行総数の発行場所内訳
・日本国内での旅券発行数:1,238,935冊(全体の90.7%)
・在外公館での旅券発行数: 127,646冊(全体の 9.3%)
■2022年(令和4年)発行総数の種類別内訳
・一般旅券:1,344,940冊(旅券発行数の 98.4%)
・公用旅券: 21,641冊(旅券発行数の 1.6%)
■2022年(令和4年)一般旅券発行数(1,344,940冊)の発行場所内訳
・国内発行数 :1,218,692冊(全体の 89.2%を占め、前年比は137.1%増加
・海外(在外公館)発行数: 126,248冊(全体の 9.2%を占め、前年比は 27.6%増加
有効旅券総数の内訳
■2022年(令和4年)の有効旅券総数は21,750,358冊で、前年比では2,654,425冊減少
・ 5年旅券は 4,396,045冊(有効旅券総数の20.2%)
・10年旅券は17,312,308冊(有効旅券総数の79.6%)
一般旅券年代別・性別発行数(国内)
■2022年(令和4年)一般旅券で国内発行数は1,218,692冊のうち
・男性:597,238冊(全体の49.0%)
・女性:621,454冊(全体の51.0%)
■2022年(令和4年)一般旅券で国内発行数は1,218,692冊のうち
・19歳以下:254,282冊(全体の20.9%)
・20~29歳:263,595冊(全体の21.6%)
・30~39歳:175,339冊(全体の14.4%)
・40~49歳:183,904冊(全体の15.1%)
・50~59歳:166,718冊(全体の13.7%)
・60~69歳:105,413冊(全体の 8.6%)
・70~79歳: 58,029冊(全体の 4.8%)
・80歳以上: 11,412冊(全体の 0.9%)
30歳未満が全体の42.5%を占めています。
世界の最強パスポートランキング
イギリスのコンサルティング会社「ヘンリー&パートナーズ」では国際航空運送局(IATA)の独自データに基づき、ビザ(査証)なしで訪問できる国・地域の数(=パスポートの強さ)をランキングにしています。(199カ国・地域のパスポートを比較)
2023年1月現在の最新版では、日本が5年連続1位(世界最強)で193を獲得しています。シンガポールも同点の193の1位となっています。
つまり、日本のパスポートを持っていればビザの取得を事前に行わなくとも、世界227都市のうち193都市に行けるというものです。
ランキングトップ10は以下の通りです。
- 日本、シンガポール(193)
- 韓国(192)
- ドイツ、スペイン(191)
- フィンランド、イタリア、ルクセンブルク(190)
- オーストリア、デンマーク、オランダ、スウェーデン(189)
- フランス、アイルランド、ポルトガル、イギリス(188)
- アメリカ、ベルギー、チェコ、ニュージーランド、ノルウェー、スイス(187)
- カナダ、オーストラリア、カナダ、ギリシャ、マルタ(186)
- ハンガリー、ポーランド(185)
- リトアニア、スロバキア(184)
*11位以降は英コンサルタント会社「ヘンリー&パートナーズ」のサイトより、年数別でご確認いただけます。
日本人のパスポート保有率の減少
新型コロナウイルスの影響で旅券(パスポート)の発券数は2年連続で大きく減少したものの、水際対策の緩和などで回復傾向にあります。
先ほどもお伝えしたように世界最強を獲得している日本のパスポート。
しかし、日本人のパスポート所有率はコロナ以前で4人に1人、コロナ後では5人に1人も保有しておらず、富裕国と言われる中で最も低いレベルと言われています。
その原因となっているのは
- 若者の海外旅行離れ
- 経済的に苦しくなっている
- 日本国内における生活や将来の不安な報道がされている
- ネット環境が充実したことで、国内で気軽に情報が手に入る
- オンラインサービスが充実したことで、国内にいながら海外旅行や海外留学が安くできる
などがあげられます。そのため海外に行かなくても「国内で十分」と思っている人も少なくありません。
しかし、海外に行くことで
- 豊かな経験ができる
- 日本の良さを改めて感じる
- 新たな刺激や考え方が見につく
- ハンデやアウェイ感を感じることで精神的に鍛えられる
- どこでも生活・仕事ができるという、生き方の選択肢が広がる
- 生活水準を下げずに、労働の質や年収をアップできる可能性が広がる
などの良いこともたくさんあります。
まとめ
今回は日本のパスポート事情について詳しく紹介しました。
日本国内では少子高齢化や経済の落込みなどの影響が続くことで、パスポートの保有率がさらに減少してしまう可能性が高まります。
海外に興味を持ち、海外の人や文化と触れ合う経験を増やすことで新しい自分を見つけたり、企業にとっては海外からの優秀な人材を採用・管理しやすくなることなどメリットがあげられます。
日本人のより多くの人がパスポートを取得・活用することで、将来的に日本の未来を大きく変えていくことにもつなげていけるのかもしれませんね。